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ドイツの冬の風景

今年は暖冬だったけれど、先日ようやく雪が降った。
午後から降り出した雪は長い間降り続き、窓から外を見ては、早く会社の外に出たくて、いつもよりソワソワした。

会社近くのKönigsalleという通りの川はすっかり凍り、氷の上に雪が積もり始めていた。

誰かが作った可愛らしい雪だるま。

私は暑さに弱いが、寒さはそれほど嫌ではない。
外に出た瞬間に、息が止まるほどの寒さの時、私はちょっとワクワクしてしまう。
鼻の奥がキーンと冷たくなる。
そして、鼻の中で暖められた水分が、鼻水のように出てくる。
角膜を守ろうとして、涙が出る。
あちこちから水分が出てきて、忙しい。

身体はこうして無意識ながら必死に、私を守ろうとしてくれているけれど、一方の私はそんな事も知らずに、ワクワクしている。
冬しか味わえない感覚。
それを楽しもうと思ってしまうのだ。

冬の散歩は、空気が綺麗でとても気持ちがいい。

ある週末のお散歩で見つけた、冬らしい風景。
それがヤドリギ。(Die Mistel)
木に丸いボンボンの飾りが付いたように見えて、私はこれ見つけると、ちょっと嬉しい気分になる。

ドイツでは、このヤドリギの下でキスをしたカップルは、幸せになれると言われている。
それを聞いたせいなのか、このヤドリギは私にとって幸せを運んでくるイメージだ。

全て葉が落ちた木々も、凛として見える。

こちらは、モグラたちの仕業。
自分の庭にこの穴があったら困るけれど、お散歩中は別だ。
モグラの穴は冬だけの光景ではないのだが、草が枯れる秋から冬の時期には、モグラの穴が良く見えるようになる。

モグラは、冬眠をしないのだそうだ。
寒い冬の間も、必死に食べ物を探している。
地下に住んでいるモグラが、一生懸命に土を掘っている様子を想像して、穴を前にして思わずニコニコしてしまう。

モグラは芝生を枯らすので疎まれているが、チェコのモグラのキャラクター クルテク
(Krtek) は、ドイツでも大人気だ。
クルテクとは、チェコ語でモグラの意味なのだそうだ。

綺麗に晴れ、雲までが美しい日。

日照時間の短い冬は、太陽を見るだけで嬉しくなる。
日照時間が短くなると、私は錠剤のビタミンDを摂取する。
これが不足すると、鬱になりやすいのだとか。

それでも、やはり太陽を浴びる事が一番気持ち良い。
晴れた日には外を歩き、太陽を見上げる。
自分が植物になったつもりで目を閉じ、静かに光合成をしているかのような気分を味わう。

私が冬も元気でいられるのは、太陽のお陰だけではない。
寒い日でも、大好きな人、大好きな友達、大切な同僚に会うと、心がポカポカする。
寒いからこそ、その温かさをより一層ありがたく思える気がするのだ。

そして太陽は、静かに沈んでいく。
落ちていく太陽を、愛おしく思う。
そして、今日一日を静かに暮らせたことに感謝し、明日に備える。

ソワソワ
ワクワク
ニコニコ
ポカポカ

私の冬の生活には、どうやら嬉しい擬態語が多いようだ。
ドイツの景色は、どの季節も好き。
その中でも、こんな風に空気が澄んでいる冬の季節が、私は一番好きかもしれない。

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