揺れ動く。振れる。波打つこころまるごと、
目をキラキラさせて喜ぶ。
感動を最大限受け取る。
興奮した気持ちを爆発させる。
好きなものを好きと叫ぶ。
心底落ち込む。
プツンと糸が切れる。
心はいつも不規則に揺れ動く。
わたしは波が激しいからこそ、落差をなくすため、抑制するために、不快になりそうな事柄に対して過剰な防衛反応を起こしているのかもしれない。
出てくるなと抑えるほどに行き場のなくなる波がうねる。
猛烈な濁流となって表情や体に現れる。
不機嫌も無関心も嫌悪感も全部顔に出る。
周りの人が離れていってしまう。
ダメだ、こんな気持ち、表に出てきちゃダメだ。
そっか、ダメなんだ…
ずっと穏やかな人に憧れていた。
いつも凪のようで。
なんて大人なんだろう。
こうなりたい!
どうしてわたしはできないんだ。
社会人として失格だ。こんなんじゃ馴染めない。やっていけないよ。
他者からの言葉だったか。
いつの日か自分からの言葉として自分に刺していた。
でもやっとわかった。と思う。
いつも穏やかに見えるあの人のように、わたしはなれない。
かわりに凪のようで素敵に見えるあの人も、わたしにはなれない。
そして、外から眺めただけで全て知っているかのようにひとことで形容すること自体烏滸がましいのだ。
別の人になろうなんて、無理だったんだ。
無理だったんだなぁ。
潔く諦めることにした。
明らかにして、極めることにした。
対話しているとき、当たり前のように心が揺れ動くことを他者に許容している自分に、振り返って気付いた。
許容などという言葉も仰々しく、ただ当たり前のことだと眺めている感覚だった。
他者に許容するのなら、自分もその範疇にいて良いんじゃないか。
ハッとした。
心が海なのか川なのか池なのか、その違いだけで、水であることには変わりない。
水は形を変える。
地形が変われば、天候が変われば、人の手が加われば、その都度形を変えて当たり前。
そう、ごく当たり前のことだったんだ。
排水口の準備をしよう。
また少し、軽くなった気がする。
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