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ベートーヴェンを毎日聴く183(2020年7月1日)

『ベートーヴェン/プードルの死に寄せる哀歌 WoO110』を聴いた。

プードルとベートーヴェン。「かなり離れた存在同士だな」という印象を持った。プードルはフランスの洒落たペット犬というイメージ。ドイツ生まれのベートーヴェン、そしてベートーヴェンの時代より後にプードルはペットになったのではないか、と思っていたからである。

でも、プードルの原産はドイツで、プードルは昔から狩猟犬として飼われていたという。この作品に出会わなければプードルの歴史を調べてみようなんて思わなかっただろう。

作者不詳の詩は、タイトルからすると、とても可愛がっていたペットのプードルが死んでしまったことを嘆くというものだろう。

死はそれまでの楽しみを一瞬で奪ってしまうものだ。でもおまえが一緒にいてくれたことは、多くの幸せをもたらせてくれた。短い命だったがそれは無駄ではなかった。お前には多いに感謝したい。私も運命に抗ってはいけない。お前との幸せな時を心に思いながら喜びを求めていこう。

要約するとこのような詩なのだが、これを読んだとき、なんとなく、これはプードルではなく、大切な人の死によって書かれた詩なのではないか?ということを思わせるものだった。この詩にはタイトル意外にプードルという単語は出て来ない。大切な人はというと、親とか友、というより小さい子供。「短い命」という部分がそうだと思わせる。

この作品は1787年に作られたのではないかと言われている。この年には母親マリア・マクダレーナを病で無くしているが、2年前に生まれた妹マリア・マルガレータも亡くしている。

幼かった妹の死を重ねた詩による作品。曲は悲しく始まるが途中で明るく転調していく。

運命に抗うことなく生きていこう。

これはベートーヴェン自身にこれから降りかかる運命。特に作曲家としては致命的な難聴という運命。その運命をまだ知ることはないのだが、どんな運命が降りかかっても乗り越えていこう、という決意のようにも思える。

Please Don't sell My Artwork AS ISによるPixabayからの画像

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