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口紅を塗り忘れない

色を選んで、筆にそっと取って、輪郭を縁取って、丹念に埋めていく。
少し塗り足したりして、満遍なく色付けたつやのある唇に、恥ずかしながら自分でも少し見とれてしまう。



誕生日に、もう7年目となる友達二人がくれたプレゼントが、ADDICTIONのパレットだった。
選んだ理由が、蓋の方に描かれたウェーブヘアの女の子が私に似ているから、らしい。その理由も嬉しかった。



その蓋を、開けてびっくり。
ちょっとお高いチョコレートのように整列した10色、それらが全て口紅だったのである。


どうしよう! 使い込める?
そんな贅沢で甘い不安に包まれた。

だって、10色ですよ。


新しいリップの表面にだけある、マットでつるりと滑らかな艶。それに筆で触れる瞬間は、とても特別で、至福だ。
それが10色もあると、その幸せな瞬間を10回も味わえてしまうのである。
凄い。スペシャルすぎてくらくらする!





これを機に、口紅を塗り忘れないひとになろう!と決意した。





ちゃんといつも口紅を塗っている女の人は、すごい。
似合う色を身につけた女の人は、きれい。



朱赤をまとった黒髪の女の子はとても強くて素敵だし、
ピンクみのある赤をつけたおばあちゃんはとってもチャーミングだ。
たまに青や黒のリップを塗ってくる友達のセンスも、私はとても好き。


青みがかったピンクや、余りに原色な赤は、少し怖いけど…




わたしには何が似合うのかわからないから、このリップパレットで探していこう。


似合う色が見つかったら、一本素敵な口紅を買おう。
買ったこともないような色に出会いたいなぁ。



赤って良いね。
時に闘志や火を、時に危険を、時には酔ってるあの人の顔を、時にあの子のTシャツを、時にランドセルとその帰り道の落ち葉を、本のしおりの糸を思い出す。






秋。
一番すきな季節に、一番綺麗でいたいなぁ。


そんなことをふと思ったので、
#秋にやりたいこと




口紅を塗り忘れない。

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