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【前編】徳島県上勝町にてゼロ・ウェイストを考える

2022年10月、バカルディジャパンさん、Liquid factory斎藤恵太さん率いるScotch egg clubという取り組みに参加させていただき、徳島県上勝町に伺った。サスティナブルというテーマでツアーを巡り、帰京後サスティナブルなカクテルを制作という流れだ。

カクテル制作にあたりかなり上勝町について調べたので、そのままにしておくのは勿体無いと思い、備忘録的に記しておく。
拙文で恐縮だが、読者の方のなにかしらのお役に立てたら嬉しく思う。

はじめに
─上勝町とはどんな町か

上勝町は徳島県の中央部に位置する小さな町だ。人口は令和4年現在1457人、うち65歳以上(高齢者)は771人と、総人口の約53%を占めるいわゆる限界集落の定義に当てはまる町である。そんな小さな町ながら、つまものを売る「葉っぱビジネス」を積極的に行ったり、日本の自治体で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を採択し独自のゴミ処理を行うなど、町おこしにも成功している町である。

赤い点線部上勝町
空港から車で1時間半程度の田舎だ
Googleより引用

上勝町のゴミ処理システムとは

上勝町では、町で一つしかないごみ集積所(ゼロ・ウェイストセンター)まで自分達でごみを持ち込み、その場で45分別に分ける。
また家庭でコンポストを買うための助成金があり、生ゴミは各家庭でコンポストによって処理されている。

上勝町ゼロ・ウェイストセンター
ここがいわゆるごみステーションだ
上から見ると「?」の形になっている
公式サイトより引用

なぜそんなに多くの分別をするのか

 ではなぜ上勝町ではそこまで多くの分別をするのか。理由の一つはコストの削減だ。
 上勝町ではもとより、ごみ処理の方法は野焼きであった。平成9年に廃棄物処理法の改正(要はダイオキシンが出るので野焼きをやめてごみ焼却場を造りなさいという意)を受けたものの、上勝町には資金力がなく、焼却場を造ることができなかった。

そこで平成15年、「ゼロ・ウェイスト宣言」を採択し、ごみをそもそも出さない方向へと大胆に舵を切ったのである。
分別を細かくすることによってリサイクルの数が増え、資源として買い取られるごみの割合が多くなり、経費削減に繋がるのだ。

 またもう一つの理由は、ゼロ・ウェイスト自体を町おこしとして積極的に推進するという試みにある。まだまだ町全体の人口が増えているとは言い難いが、ゼロ・ウェイストは世界的にも注目され、ゼロ・ウェイストセンターの宿泊施設「HOTEL WHY」が日本の民間企業の研修に使われるなど、町民たちのゼロウェイストへの取り組みは充分な宣伝効果になっている。

後半へ続く

《参考文献》
『科学的に見る SDGs時代のごみ問題』, 松藤敏彦,2019
『徳島県上勝町における廃棄物政策の歴史と「34 分別」の背景』, 藤本延啓,廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 23(0),57-, 2012
『徳島県上勝町における地域ブランドの確立と移住者による認知』,石川菜央,広島大学総合博物館研究報告,7号,p1-14,2015
『徳島県上勝町における阿波晩茶の商業化と社会変容』,水上亮・木村自,応用社会学研究,63巻, p175-183,2021
上勝町人口状況(住民基本台帳), http://www.kamikatsu.jp/docs/2011012800173/(最終閲覧日12/12)
上勝町ゼロ・ウェイスト政策, http://www.kamikatsu.jp/zerowaste/sengen.html(最終閲覧日12/12)

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