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キッチンのリノベーションが終了しました - in アメリカ

こんにちは。ハピネコ(@happyneconyc)です。

2020年に家を購入し、2021年3月からキッチンリノベーションを開始、6月のはじめにやっと完成しました。

アメリカでも通常2ヶ月くらいでキッチンリノベーションは完了できるそうなので、私たちは長くかかった方だと思います。アメリカあるあるな、ちょこちょことした問題発生のために少し延びてしまったのでした。

前回の記事にも書きましたが、私は日本ではインテリアデザイナーとしての経験があるため、自分でデザインし(素材選択も含む)、図面を書いています。通常はデザイナーがこの作業をし、ディレクターが現場を監督すると思いますが、私たちはジェネラルコントラクターにデザインを渡し、直接お願いする形で進めました。

アメリカでキッチンリノベーションを考えている方、またはアメリカでのキッチンリノベーションに興味のある方の参考になればと思います。


リノベーション前のキッチン - Before

前回の記事でも少し載せましたが、家購入時のキッチンはかなり古く、扉の中の棚がたわんだり、特に下段の戸棚は中が暗く全然見えなかったりと使い勝手も悪くなっていました。

最近のキッチンではあまり喜ばれない素材のリノリウム(床材)やメラミン(カウンタートップ)も、キッチンを即リノベしたい理由の1つでした。ぶどう柄のバックスプラッシュタイルもなかなか時代を感じさせるものですね。

キッチンがきれいかどうかは、家を売りに出すとき価値を上げるかなり重要なポイントです。しかもキッチンの工事は家の中でも1番お金がかかる部分なので、バイヤーはそこにお金がかかりそうな家は避ける傾向があります。そのため、この家を売りに出すときのことも考えて、奇抜すぎずシンプルなキッチンのデザインでリノベをすることにしました。

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長細いキッチンの奥はライトがあっても暗く、どよんとしたコーナーになっていました。奥の右側にサンルームへつながる窓がありますが、それでもかなり暗いのでこれは解決必須なポイントです。

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リノベーションが始まる前にしたこと

私たちはジェネラルコントラクターと相談して、私たちが購入するもの、コントラクターが購入するものを仕分けました。

例えばガスレンジやディッシュウォッシャー。これは私たちが購入しても、コントラクターが購入しても価格は変わりません。最近はポイントサイトを使ったり、クレジットカードのポイントが溜まったりすることもあって、ユーザーが買った方がお得ということが多いため、自分たちで調達しました。実際にこのタイミングで私がChaseのカードを新たにつくり、そのカードで全て買ったので、すぐにポイントリワードの金額に達しました。

逆にフローリングやペイント、タイルなどの資材はジェネラルコントラクターのツテや業者割引が使えるので、そちらはコントラクターに仕入れをお願いしました。

これらはきちんと管理した方が確実なので、Notionで商品リスト、リンク、発注日、納品日、金額などのリストを作ってこまめにチェックしました。

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実際に使っていたNotionのリスト


3ヶ月続いたリノベーション

こちらはリノベーション当日。キャビネットや床材を全て取り去るデモリションです。(みんなこれを「デモ」と呼びます。最初はデモンストレーションだと思いました...)。床材のリノリウムははなんと4重にもなっていました。

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1番下のベースになる床材がかなり痛んでいたので、新しい床に取り替えました。こういったものは剥がしてみないとわからないので、予想済みではありますが、コストも追加になります。フローリングが入る前に壁、天井をペイントします。

キッチン奥が暗い問題は、スカイライト(天窓)をつけて解決します。

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だいぶ端折ってしまいますが、フローリング、キャビネットが入り、エントリーアーチが作られ、それっぽくなって来ました。この時点でリノベが始まって1ヶ月ちょっとくらいでした。ファームハウスシンクやガスレンジなどの機器の設置はまだですね。

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ファームハウスシンクやガスレンジなどの機器の設置がされて、さらにそれっぽくなって来ました。実際にはこの時点でディッシュウォッシャーやガスレンジはまだ電気が繋がっていないので使えません。

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リノベ開始から2ヶ月半の5月中旬、やっとクウォーツのカウンタートップと、バックスプラッシュタイルがつけられて、完成まであと少しとなりました。タイル職人さんはポルトガル人の方で、タイルといえばポルトガルなのですごく喜んでしまいました。(NYのアパートでは、バスルームのタイル技術がいまいちだったのもあり、技術を心配していたのです)。心配をよそにとても美しい仕上がりになりました。

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あとは電気系統、配管、ハンドルの取り付けで完成になります。


リノベ中に発生したいくつかの問題


● ベースの床が痛んでいる ー 追加料金発生

デモの後に発覚した、ベース床(フローリングの下の床)の痛み。これを補うために新たにプライウッドを敷き詰める必要があり、追加料金発生となりました。実はこれはキッチン下の地下室から見るとかなり痛んでいるのがわかるので、予想済みではありましたが、今は木材の値段が上がっているのもあり、なかなかの出費でした。


● 届いたファームハウスシンクのサイズが注文と違う

リノベが始まったと同時くらいにすでに納品されていたファームハウスシンク(陶器製のシンク)。届いた時に割れていないか確認しましたが、それから2ヶ月後、いざ取り付けようとした時に気づいたのが、予定よりも幅が大きい...。自分のオーダーを見ても届いた箱のラベルを見てもサイズは合っているのに、中身だけが3インチ大きかったのです。

すでにリターンポリシーの期間は超えているけど、メーカー側のミスだしな...と思って店に連絡すると、丁寧に対応していただき、2日後には正しいサイズを送ってくれました。

しかしリノベーションの嵐なNJ。職人さんたちはその間に他の家のリノベに忙しくなり、1週間リノベ再開を待たなければいけなかったのでした... 。


● バックスプラッシュタイルがなかなか届かない

これだ!と思うタイルを見つけたものの、どうやら相当人気なタイルだったらしく欠品中で、次回入荷分もすでにオーダー受け済み。次の次の入荷までしばらく待つことに。しかし入荷日が近くなると入荷日遅延のお知らせがありました。スペインから船便でやってくるそうで、その船が遅れているとのことでした。

似たような違うタイルに変更も考えましたが、それらのタイルの状況も同じで、入荷日がかなり先。結局このタイルを1ヶ月間待ちました。


完成!- After

ちょこちょことした問題もありましたが、やっと完成!前回の記事でご紹介したデザイン図と全く同じイメージに仕上がりました。

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ここにキャスターで可動式の長細いキッチンカウンターが入ります。(それはWayfair*で購入)*アメリカの大手家具販売サイト

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ネットで見てかわいい!と即買いしてしまったキッチンランナー(キッチンマット)ですが、なんと寸足らずでした...。本当はシンク周辺からガスレンジまでカバーしているのが正解です。

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冷蔵庫はそこまで古くなく、新たに買い換えるのも罪悪感があるほどだったので、以前のまま使用しています。キャビネット類がイエローベースのホワイトなのに対し、冷蔵庫はブルーベースのホワイトなので、今後フィルムを貼るなどしてもっと空間にマッチするように変更したいです。

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家自体は1920年代に建てられたもので古いので、いろいろな場所にそれらしき雰囲気が残っています。キッチンだけがモダンにならないようにデザインしましたが、さらにFacebook Marketplaceで見つけたアンティークのカップボード($100!)を置いてモダン×クラッシックのバランスをとっています。

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コンクリート製のペンダントライトのコーナーは下のイラストのような小さなNookになる予定です。料理中に座ったり、たまには仕事なんかもできるスペースになります。ベンチは自作予定で、丸テーブルはまたFacebook Marketplaceで探しています。窓の向こう側はサンルームです。

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【追記】ヌークにベンチをDIYしました!


こだわりポインツ

● アーチ状のエントリーウェイ

アメリカの古い家でよく見られるのが、アーチ状のエントリーウェイ。例えば玄関ホールとダイニングエリア、またはリビングエリアに続く、ドアのないゲートのことになります。

我が家のダイニング、リビングのエントリーウェイも幅広のアーチ状なので、キッチンも合わせて半円状のアーチにしました。

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もともとのエントリーウェイの幅が狭く息苦しい雰囲気だったので、幅を100mm広げ、モールド(枠)ではなくコンパウンド+ペイントで作るアーチ状にしました。

四角いエントリーでモールドをつけて仕上げる方がよっぽど楽なので、ここは結構な追加出費になってしまいました...が、クラッシックな要素がとても気に入っているので、その価値はあると思いました。


● テクスチャーのあるバックスプラッシュタイル

バックスプラッシュタイルは、凸凹感があり、ホワイト1色だけではなくいくつかのグレートーンが入ったタイルを選びました。そうすることで、真面目すぎずに自然な質感のある柔らかな印象のあるキッチンになります。

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真面目な印象のタイルというのは、例えばホワイト1色で平たいフラットな表面のもの。モダンでシャープな雰囲気を作りたい時にはそういったタイルを選ぶといいと思いますが、この場合は、Transitional Style というモダンスタイル×伝統的スタイルのミックスなので、自然な風合いがマッチします。

バックスプラッシュタイルは天井まで貼らずにカウンタートップから数十センチほどまでにする場合もありますが、うちのキッチンでは天井の高さまでタイルを貼り、しっかり作り込んだ雰囲気を出しました。このタイルを1ヶ月待ったかいがあり、とても気に入っています。


● 質感のよいフローリング

フローリングはEngineered Hardwood のフローリングを選びました。これはラミネートやVinyl (ヴァイナル)とは違い、プライウッドの上に本物の木のシートを貼り付けているものです。日本では突板フローリング(つきいた)と呼ばれます。

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値段のわりに見た目も高級感があり、裸足で歩いた時もとても質感が良いです。オーク材で程よく節もあり、敷き詰めるととても美しいので、リノベの色々な業者さんから褒められました。


プロとしてのアドバイス

僭越ながら、インテリアデザイナーとして仕事をしていた経験から、これからキッチンをリノベする方々にいくつかのアドバイスです。

● フローリングはキッチンの印象を1番左右する素材

フローリングはキッチンの中で1番面積を占める素材なので、どんな柄(木目)、色、素材(例:ラミネートや突板)を選ぶかでかなりキッチン全体の印象を左右します。必ず必要なのは、サンプルを取り寄せてしっかりと品質を見ること。できるだけ複数のサンプル、違う素材を取り寄せて、見比べることをおすすめします。ショールームで確認してその場で決めるよりも、持ち帰って次の日などに新しい目で改めて見て、1番ピンとくるものを選ぶのが確実です。すでにキャビネットの色が決まっていてサンプルが手元にあれば、それと合うかどうかも確認します。

今回私が選んだフローリングのEngineered Hardwoodは、マットな仕上がりで高級感があり、肌触りもとても自然です。Solid Hardwood Flooring に比べると安く、木の伸縮もないので、品質が安定しています。

ラミネートやVinylはさらに安価で、施工しやすくメンテも簡単なため人気なのですが、木目が印刷されたシートをトップに貼っているので、ツヤが安っぽく見えてしまったり、木目自体が明らかにデジタルで作られたものなどがあるため、サンプルで自分の美意識の許容範囲かを確認したほうが後悔がありません。

今回私はEngineered Hardwoodとラミネートの両方をショールームで確認して合計10種類サンプル持ち帰り、比較検討した結果、1番質感がよかったEngineered Hardwoodに決めました。

特に要注意のフローリングは、1枚の板の中にとても明るいカラーと暗いカラーが混在しているフローリングです。これは1枚で見た時にはそれほど違和感がないと感じますが、敷き詰めた際に色の混在がとてもうるさくなり、がやがやした落ち着きのない空間になってしまいます。ラミネートやVinylにこういった柄が多い傾向があります。

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要注意フローリングの例1

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要注意フローリングの例2

また、キャビネットの扉に明るい木目のカラーを選んだ時に、フローリングも明るい木目を選んでしまうと、メリハリがなく、ぼやぁっとした空間になってしまいます。

最近はフローリングメーカーのアプリで自分の部屋に当てはめてどう見えるかを見せてくれる機能もあるので、それを使うと敷き詰めた時のイメージが確認できるので便利です。


● バックスプラッシュタイルも必ずサンプルを確認

フローリングより雰囲気作りへのインパクトが少ないタイルですが、こちらも必ずサンプルを複数取り寄せて、見比べることをおすすめします。つやの出方やサイズは実物でしっかり確認します。アメリカではタイルのサンプルは有料なところが多いかもしれません。タイルは壁のペイントや壁紙と違って、一回貼ってしまうとやり直しがかなり大変なため、納得のいくものを選びます。今回私が使ったような、1色だけではないタイルの場合は、サンプルを2セットほど取り寄せてどんなトーンのカラーなのかを確認します。

貼り方によってもかなり印象が異なります。私が使ったのはタイルを1列づつずらすブリックという貼り方。シンプルでオーソドックスな貼り方です。ただ、正方形の場合はグリッドという碁盤のように貼っていくやり方の方がよく見られるので、少し珍しいかもしれません。

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他にも、長方形のタイルならヘリンボーンというV字に貼るやり方や、正方形なら45°回転させてダイヤモンドという貼り方もあります。こちらはブリックやグリッドよりもモダンな印象が強くなります。

目地の色によっても印象はかなり変わり、ホワイトがよく選ばれます。ブラックにするとインダストリアルな雰囲気が強くなります。要注意なのは、もしタイル職人さんの技術が低い場合、ブラック×ホワイトタイルだとアラが目立ちやすくなります。


● ハンドルは重要な最後のお化粧

仕事で家具のデザインをしていた時、1番悩むのがどのハンドルを選ぶか、ということでした。それはどんなハンドルを選ぶかで印象ががらりと変わってしまうから。キッチンの場合、フローリング、タイル、キャビネットデザインまでは良かったのに、選んだハンドルのスタイルがマッチしない場合、残念な結果になってしまいます。

私のキッチンの例で言えば、Transitional Style というモダンスタイル×伝統的スタイルのミックスというディレクションだったので、もしここでモダンすぎるハンドル(例:角ばったシルバーの長いハンドル)を選んでいたら、かなり違和感が出てしまっていました。

ハンドルはサンプルを取り寄せるということがあまりできないので、ベストなものを選ぶのは想像力と経験が必要かもしれません。ただ、デザインと品質はかなり値段に比例していると思います。

幸い、ハンドルはピッチ(穴から穴の長さ)が同じであれば、別のものに取り替えることができるので、万が一違和感があったり、デザインに飽きてしまっても買い替えれば大丈夫です。

品質、デザインともにおすすめなのは、Rejuvenationです。なかなかのお値段しますが、納得がいくと思います。

● リノベーションのタイミングは入居後6ヶ月以降が最適

中古住宅を購入した後、引越し前にキッチンやバスルームをリノベーションしてから、綺麗な状態で入居したいと考えるかもしれません。
しかし、オススメのリノベーションのタイミングは最短でも入居後6ヶ月以降です。

実際に住んでみてから自分たちなりの使い方や使い勝手、動線がはっきりわかってくるのに6ヶ月ほどかかります。6ヶ月だと、寒い時期から暑い時期、暑い時期から寒い時期のように、季節をまたぐことができるので、季節による気温、日当たりの変化などにも気づくこともできるからです。それがはっきりしてからリノベーションを計画すると納得のいくものになり、後悔がありません。

また、アメリカでは作業オペレーションが日本ほどきっちりしていないので、短期間でリノベーションを計画→完成させるのはかなり至難の技です。そのため、計画時から完成期日まで1ヶ月しかないような時(例えばJuly 4thやクリスマスの家族パーティーに間に合わせたい、など)には、一旦リノベーション計画を延期して、じっくり時間が取れる時に計画し直すことをオススメします。

▼ クライアント様のリノベーションの話はこちら。


まとめ


長くなってしまいました!最後まで読んでいただいてありがとうございます。

また何かアップデートしたら記事にしたいと思います。

ではでは。

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