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もう、入園準備は怖くない。 #メルカリで見つけたもの

保育園に入園すると、そいつはやってくる。苦手だからと今までの人生で避け続け、なんとかして直面しないように生きてきた――「裁縫」が。

街中に布地やボタンなどの裁縫用品は使う店は多い。本屋にもコーナーがあることから、世の中の需要は高いのだろう。しかし、私は悲しいくらい裁縫が苦手だ。そもそも針に糸を通すことすらできない。諦めて針をその辺に置いといて、後で足や手に刺さってしまい「くそ、裁縫め……」と余計に嫌いになる日々であった。

もちろん「裁縫が苦手な俺だけど、どんな服でも破けないスキルなので無敵です」というわけではない。そんなありふれたファンタジー小説のように、人生はうまくいかない。洋服のボタンは取れるし、子どものお気に入りの服もしょっちゅう破ける。
以前は裁縫が得意なシッターさんが家に来てくれていたので、彼女にお任せしていた、しかし「母親の介護が必要になったから」という理由で、彼女が来れなくなった。そのため、それらの服は捨てられることになる。ダウンのように捨てるには高価な服は、ボタンが取れたまま冬を乗り切った。私は自転車によく乗ることもあり、めちゃくちゃ寒かった。

しかし、逃れられないのは「保育園の持ち物」である。「お昼寝のためのシーツ〇cm×〇cm」「通園バッグ〇cm×〇cm」など、保育園は発揮する必要のない独自性を出してくる。市販で探しても、ジャストサイズはなかなか見つからない。街中に裁縫を代行してくれる店があるが、正直バカみたいに高い。布地はこちらが持参するし、明らかに十分あれば縫える程度なのに、である。迷える親たちをターゲットにした、せこいマーケティング商法を取っている。そんなサービスが世の中には溢れている。はいはい、ビジネス、ビジネス。

うちには子どもが三人いて、第一子の長男の時はその店にお願いした。しかし、値段の割に出来上りはひどいものだった。在園の途中でお昼寝シーツの糸はほつれ、ゴムは取れてしまった。しかし直すこともできないので、「私なら絶対にこれで寝たくないな」という無様でボロボロのシーツで、彼には最後まで粘ってもらった。発育に問題があったかどうかは分からない。ここでその話題を書くと、また「親の責任ビジネス」をディスることになるので、避けておく。

そうして、第二子である長女の保育園入園が決まり、私は「持ち物リスト」を眺めて暗澹たる気持ちを抱えていた。そんな私を救ってくれたのは、メルカリだった。

メルカリでは「サイズを自由に指定できる商品」というものが出品されている。商品ページのコメント欄で「縦〇cm×横〇cmでお願いします」と書くと、専用ページを作ってもらえて、そこから購入できる。布地の種類も多種多様だし、現在流行っているキャラクターのデザインも選べたりする。

何より商品ページから「この出品者は、本当に裁縫が好きでやっているんだな」というのが伝わってくる。写真の撮り方や商品説明の文章に、愛があふれている。「好きで得意なことを仕事にするって、こういうことだったのか」と合点がいった。出品者たちはコメント欄や商品発送のメッセージでも、いつも機嫌がいい。商品発送の際に、オマケをつけてくれる率が高い。商品が届くと、なんだかこちらまで元気になる。

この春に第三子の次女が進級し、GW明けからサイズの違うお昼寝シーツを用意する必要性が出てきた。またメルカリで彼女に好きな柄を選んでもらい、購入するつもりだ。五月病を撃退するためにも、出品者の方から元気をもらおうと思う。

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