パブコメ05

家族法制見直しに関する法務省中間試案について、多岐にわたる選択肢があるた め、個々の論点が非常に分かりづらく、この問題に関わる当事者でなければその 本質についての判断も付きづらいというのが正直なところである。

「中間試案」 として開示するにはほど遠い内容については、以下に記す最も基本的な事由に即した根本的な法整備のあり方が必要とされ、そのためのたたき台として既に提出がなされている「民間法制審議会」作成の「民法の一部を改正する法律等 (案)」に則した議論が必要とされる。

とりわけ離婚問題に直面する家族には、離婚後の子どもの親権の取り扱いが大きな問題となる。
現行の「単独親権」によっては、実の親子であってもその関係を維持することが困難で、現実的には、知人程度の関わりを維持することがせい ぜいのところである。
また、長年我が国において問題とされる「実子誘拐」の観点からすれば、離婚後(あるいは婚姻期間中にあってすら)の親権を一方の親が 独占したいがためにDV事件を捏造し、監護実績を積むという事案も多々報告され ている。

こうした問題が生じるそもそもの理由は、我が国の家族法制が「単独親権」を採用していることに拠る。
両親のもとに生を授かった子どもにとっては、如何なる理由があろうとも、両親だけが実の親である。
そして、両親の間で如何なる衝突が生じようとも、多くの子どもにとっては、両親との生活が継続することこそが願いなのである。
勿論 、特殊な環境下にあって両親との生活を最善とはしない子どもも存在するが、 大多数の子どもたちは両親との生活を望んでいる。

子どもの利益を最大限に尊重するのであれば、社会のあり方が子どもの思いを疎外するものであってはならない。
この最も基本的な考えに拠れば、両親の都合 で一方の親を「親ではない」と法的な観点から断じることは決して許されるものではない。
法的な問題と併せて、両親も、我が子にとっての最善の利益とは何かを真剣に考え、そのための努力をする必要があるが、こうした心遣いがないままに、子どもを一方の親から連れ去り、その後一切の関係を断とうとする親が多数 存在し、長年にわたり我が国において社会問題化してきたことは周知の事実であ る。
また、近年ではこうした我が国の家族法制の異常さゆえに、子どもの連れ去りが国際問題にまで発展しており、グローバルな視点から様々な問題に向き合わ なければならない現代社会にあって、そのことによる弊害はあまりにも大きい。
こうした点を踏まえ、中間試案で提示された試案にあっては「甲1案」だけが 有効な案になるわけだが、離婚後の「原則共同親権」を実現するためには、同時に、「実子誘拐」に対する毅然とした対応も必要となり、現行の「DV支援措置」に関する抜本的な改正も必要とされる。
法制審議会が提出した中間試案には、後者の視点(実子誘拐の抑止とDV支援措 置の改正に関する視点)が不足している。ゆえに、共同親権が実現されたとして も、相変わらず子どもが連れ去られたままであり、別居親との交流も十分に行わ れないケースが生じてしまうと思われる。

したがって、子どもの最善の利益とい う観点からは、法制審議会の中間試案で示されているものでは十分であるとは言えない。
「共同親権」と「実子誘拐」の抑止という観点は、民間法制審議会作成 の「民法の一部を改正する法律等(案)」には組み込まれているのであるから、 この法律案をもとに「共同親権」に向けた法整備が早急になされるべきである。

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