パブコメ06

第2 父母の離婚後等の親権者に関する規律の見直し
1 離婚の場合において父母双方を親権者とすることの可否
2 親権者の選択の要件

(意見)
甲①案を支持する。
(理由)
現行単独親権制度では、単独親権者の意向次第で面会交流が容易に反故にされたり、審判まで全く引き合わせられないことが多発している。更には審判で間接強制が認められる程度までの面会交流が認められることも少ない。
斯かる中で、面会交流比率30%(令和3年度全国ひとり親世帯等調査/表18-(3)-1)、調停の結果としての月1回を超える面会交流比率母子世帯13%、父子世帯24%(同調査/表18-(3)-10)と、社会的な親子断絶が実態として存在する。
この根本的な原因は、非親権者との面会交流を実施するか否かについて、僅かな間接強制の事例を除けば、(子では無く)、単独親権者が何のペナルティも無く一存で決定できてしまう単独親権制の制度的欠陥にある。通常離婚する以上、相手方に対して良い感情を持たないことが多く、ただでさえ相手方となるべく関わり合いを持ちたくないとの動機が働くし、場合により不倫した場合などは、子に自身の不貞行為を告げられるのを恐れて一層相手方と関わり合いを持ちたくなくなるような動機が働く。これと前述の制度的欠陥が合わさり、社会的な親子断絶が行われている。
原因が、制度的な欠陥にある以上、対応策としては単独親権者が面会交流を何のペナルティも無く一存で決定してしまう状態を解消する必要があり、この実現の為には父母の権利の均衡を取る必要があり、これが即ち共同親権であることから、先ず甲案を支持する。
次に、原則共同親権とするか、原則単独親権とするかであるが、これは原則と例外がある事象への制度適用を検討する際に、
①例外の事例に含まれるものの精査をする方が、精査に係る社会的コスト、リソース投下が少ないと考えられること、
②共同親権に相応しい夫婦と、(子を虐待する片親が存在するとの理由で)共同親権に相応しくない夫婦では、共同親権に相応しい夫婦の方が多数であり、こちらを原則とすべきと考えられること、
③原則単独親権とすると態様次第だが、双方が希望した時のみ共同親権とするような運用では親子断絶を招く前述の制度的欠陥を全く解消できないことの3点から、
甲①案の通り、原則共同親権とすべきである。原則単独親権としてしまうと、本来共同親権に相応しい夫婦が、本当に相応しいのかの精査のコストを多数派に対してかけてしまうことになる為、社会的コストが高くなってしまう。この為、どちらかの親が単独親権を申し立てた時若しくは子が片方の親のみの監護を強く希望した場合に限って、少数派であると考えられる、子の虐待を行う親を排除することの精査にリソースをかけた方が良いと考えられる。
また、単独親権制度に関する種々反対意見があるが、以下東京弁護士会の意見が比較的網羅性を持つ為、本項目乙案賛成意見に対する反論を以下に記載する。
20230118ikensho (toben.or.jp)
(1) 特に離婚後に父母が共同で親権を行使することは困難であること
離婚した両親が子について共同親権を行使することは、とかく困難を伴う。すなわち、親権を共同で行使するということは、子どもについて重要 な決定が必要となるたびに、父母が接触し、話し合いをしなければならない」ことだが、相手に憎しみを持つ者が、嫌がらせのために、その場面を 13 利用することは十分あり得るから、適時・適切に親権行使に関する決定が できなければ、子どもが重大な不利益を受けることもあると考えられる。
親権を共同行使することを前提とした時に、離婚後に父母の協力関係が相対的に取りづらくなることで、意見調整が整わず、子の為の決定が遅れるとの指摘である。
先ず、離婚時に関係悪化するのは父母であり、親子では無い。この為、父母自身の権利行使に際しての嫌がらせは可能性としてあるかも知れないが、そもそも子の進学・医療・就労等は子の幸せの為の検討であり、父母の関係悪化は当該検討において関係は無い。もし意見調整が整わないとすれば、それは父母の子の養育方針の違いに起因する者であり、父母の関係悪化とは無関係であるから、当然婚姻中にも発生するものである。
他方、もしこの懸念が大きいのであれば、諸外国の様に、共同監護計画にて、父母の意見調整の枠組みを規定しておくことが対応策として考えられる。 具体的には、共同監護計画にて、親権行使の枠組みとして、交代監護中の日常事項は当該交代監護者、医療や進学、就労等のライフイベントについては、父母の協議の上定めるが、議論の不調時は(項目毎に)父/母の一方、その他監護計画に記載の無い事項については、議論の不調時は(項目毎に)父/母の一方と定めることで、基本的に意思決定が出来なくなる事態は回避出来る。これは企業間のパートナーシップアグリーメント等で一般的に見られる意思決定の枠組みであり、父母より、より一層利益の相反する企業間での意思決定ルールとして実際に過去蓄積から積み上げられてきたものであり、信頼性と実効性の高い紛争回避の枠組みであると考える。

(2) DVやモラハラが離婚原因の多くを占めること
DVは日本では1990年代に認識されるに至り、2001年には配偶 者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律が制定されること等 で周知されるにつれ、身体的暴力に代わって精神的暴力、特に経済的締付や威圧的態度を示す等して巧妙に相手を支配するモラハラが問題化してき た。現在、離婚原因としては性格の不一致が最も多いとされているが、実 は、モラハラの立証上の困難性を勘案すると、その中に相当数のモラハラ が含まれていることが容易に推測され、被害者本人もその構造に気付かず、 心身ともに不調になりながらも、加害者から責められ続けるために、自ら に非があると思い込んでいる場合が多い。このような現状であっても、離 婚後単独親権制度下では、子と共に別居に踏み切った被害者は、離婚によって加害者との支配従属関係から抜け出すことが可能だが、もし離婚後共同親権制度が導入されれば、子を監護する被害者は、子が成長するまでは 加害者からの支配を受け続けることとなり、被害者にとって極めて甚大な 心身へのダメージをもたらすのみならず、子の健全な発育・成長にも悪影 響を及ぼす結果に繋がる。実際、「DVや児童虐待のように家族間に暴力 や支配があるケースにおいては、親権行使を口実に加害者がつきまとい、 極端な言い方をすれば、公認ストーカーを承認することになりかねない」 という指摘もある(水野紀子・前掲 63 頁)。
先ず令和3年度の全国ひとり親世帯等調査によれば、面会交流の取り決めをしていない理由としてDV等を理由として回答したのは3.8%(表18-(3)-11-1)、面会交流を現在実施していない理由として暴力を上げた比率は3.3%(表18-(3)-11-2)である。これは、面会交流をしている世帯では、更に数値が低くなることは自明であることから、「DVやモラハラが離婚原因の多くを占める」というのは明確な誤りである。また、本調査はアンケート回答であるから、立証上の困難性は一切関係が無い。

(3) わが国はDV被害救済制度が貧弱である等、離婚後共同親権を導入している諸外国と前提が異なること
わが国のジェンダーギャップ指数は 156 カ国中 120 位と諸外国と比べて 大きく後れをとっており、離婚後の父母の生活実態も、母子家庭の貧困が かねてより指摘されているように、対等とは言えない。他方、早くから離 婚後共同親権制度を導入した諸外国では、共同親権による深刻なDV被害 の報告を受けて様々な法改正を行い、裁判所が加害者に自宅から退去する ことを命ずる制度や加害者更生プログラムを裁判所が義務付ける制度を設 ける等、DV被害者救済制度を充実させてきた。 これに対し、わが国のDVや虐待に対する被害者救済制度は極めて遅れており、いまだに被害者が逃げる以外の選択肢がない。そのためDVにお いては、多くの場合女性が、極端に言えばすべてを捨てて逃げる現状があ り、共同親権が導入された場合の弊害は、諸外国以上に深刻なものとなる ことが容易に予想される。離婚後共同親権の方向に将来的には進むとしても、離婚の際に子を連れて逃げるという自力救済が禁止され、DVを始め 14 不適切な親権行使への公的介入が充実している諸外国と異なり、それらの 環境が整っていない我が国に離婚後共同親権を導入することは時期尚早で あるという指摘もある(水野紀子・前掲 63 頁)。
このように、諸外国が離婚後共同親権を導入していることは、前提が異なるわが国で離婚後共同親権制度の導入を正当化する理由にならない。実 効性のあるDV被害者救済制度を導入しないまま、離婚後共同親権制度の みを導入するという意見は、日本のDV被害状況に対する理解が十分でなく、少なくとも現時点では相当でない。日本でのDV救済制度が貧弱である根拠として諸外国で加害者更生プログラムや、加害者を自宅から退去することを命じる制度を挙げている。これに対して、日本には加害者を退去させる制度が無いから、被害者が逃げるしかないことから、共同親権が導入されると、被害が諸外国と比べてより深刻になるというものである。
この議論は共同親権でDVが拡大することを何の論拠も無く、前提として出発しており、そもそも意見として成り立っていない。 共同親権制度の下でも、父母は別居するのであるから、物理的な接触は、父母双方が望まない限りは、子の受け渡し時点のみに限られる。子の受け渡し時点というのは、現在単独親権制度下でもあるものであり、共同親権によって、交流の機会が増えるとしても、滞在期間を延ばせば受け渡しの回数は同数に出来る為、限界的に増えるものでは無い。子の養育方針等を巡った意思疎通の機会は増えるものと考えられるが、これはLINE等のメッセージアプリを通常使用することが想定され、この際、子の利益にならないようなやり取りがあれば、申立てによって親権制限、監護割合の減殺等の措置を取ることで、精神的DVや親権者として不適格な者の排除も可能となる。
また、やや逸れるが、配偶者DVとは別に、虐待を単独親権制度維持の論拠とする意見も見られるが、そもそも虐待の事実が確認されるなら、共同親権下でも単独親権とされるべきであり、共同親権になったからと言って、虐待のリスクが増えるということにはならない(逆に言えば、虐待の事実が認められる際には共同親権を認めるべきではない)。 勿論、警察や司法のスクリーニングをもってしても、虐待が見逃される場合も有り得るが、これは当然同確率で単独親権制度でも見逃され得る。実際、「心中以外の児童虐待死事例が生じた世帯のうちひとり親世帯は 27.3%であり、 子がいる全世帯のうちひとり親世帯の割合が約 7%であることを考えると明らかに 高く、4倍近い数字である(家族法制部会第21回会議北村参考人提出資料1)」ことからも、単独親権制度の虐待に対する無防備が露呈している。 ひとり親家庭で虐待死率が高いことについては、婚姻中乃至共同親権下では、父母の双方監視が実現するので、虐待が発生する比率は虐待をする親の存在確率の積となるが、単独親権制度では、虐待親に親権が亘る可能性もあり、その場合は虐待する可能性が100%となる為、理論的に虐待比率が高くなる。これは先に述べたひとり親家庭の虐待死比率が高いことと整合的である。

(4) 離婚後共同親権を導入する立法事実が存在しないこと
現在の離婚後単独親権の法制度においても、離婚後に子育てを協力できる夫婦は存在するし、現にそれで困ることはない。離婚後共同親権の法制 度が必要とすれば、それは離婚後に子の養育に関与できないと考えている 別居親側の意見が強いと考えられるが、それは、子の重要な決定に関与できない関係性を作ってしまった原因は当該家族の関係性の問題であって、 法制度の問題ではない。 諸外国で別居親の関与が多い権利の具体例として、居所指定や、医療同意、進学の際の同意などがあげられるが、居所指定においては、子がどこ に住むのが良いかということは日々子の養育を担当する監護親と共に暮ら すべきであって、その決定は監護親自身の事情が最も優先されるべきであり、離婚後にまで元配偶者に通知や同意を必要とすることが、子の最善の 利益に資するという場面を想定しえない。医療同意についても、子どもが 事故や病気で手術が必要だとなった場合、その必要性は医師の判断が最も 重要であって、別居親の意見を入れる方が子の最善の利益に資するという 場面を同じく想定できない。さらに進学についても、子の進学で最も優先されるのは子自身の意思であって、親は子の相談を受け、アドバイスをすることはあっても「権利」として子の進路を決定するわけではない。
このような具体的な事案を一つ一つ検討すれば、深刻な弊害が指摘される中で、あえて別居親の関わりを「親権」という強い権利に「昇格」させるほどの必要性はなく、法改正を正当化するほどの立法事実は存在しない。子の重要な決定に関与できない関係性を作ってしまった原因は当該家族の関係性であって、法制度の問題ではない、とあるが、これは前述の通り、明確な誤りであり、法制度の欠陥である。 居所指定の文脈では、監護親自身の事情が優先されるべきとあるが、本来優先されるべきは子の最善の利益であり、それは問題の無い父母から等しく養育される権利を担保するということである。 別居親の権利を親権にまで昇格させる必要は無いとするが、子の最善の利益を担保する為には、少なくとも居所指定権は同格まで昇格させる必要があるし、もしその後の意見調整で懸念があるというのであれば、先述の通り、共同監護計画にて、意思決定の枠組みを定めれば足りる話である。

(5) 選択性であっても問題は解決しないこと
共同親権に賛成する意見の一つ に、「【甲案】(特に後述する【甲②案】)は、単独親権か共同親権かを選択 する提案で、選択肢を増やすのは家族の多様化に必要だ」とする意見があ る。 しかし、前述したように、わが国はDV被害について極めて保護が薄い 国で、モラハラ含む多くのDV離婚において、対等で真摯な同意は極めて 困難である。特に協議離婚においては、すでに支配従属関係にある夫婦が 15 対等に協議することは困難であり、加害者の意向のまま共同親権を選択するリスクが高く、たとえ弁護士が当事者の真意を確認する制度を設けたと しても、わずかな時間で弁護士が当事者の関係を見抜くことは難しい。離婚後共同親権で参考とされている諸外国は、協議離婚ではなく全件裁判離 婚であり、その段階で裁判官が親権行使の方法等についてきちんと関与しているから成功している、という指摘もある(法制審家族第 14 回会議議 事録 39 頁[水野紀子委員])。
協議離婚においては、支配関係がある場合は、加害者が求める共同親権になってしまうので、不味だとの指摘であるが、これはそもそも片親が単独親権制度を望めば、単独親権制度とすべきだと言っているのと同義であって、独立して反対意見の一つを構成するほどの論拠にはなっていない。 片親が単独親権制度を望めば、単独親権制度となるのであれば、先述の通り親子断絶の解決は有り得ない。また、実際にDV等の事実があるのであれば、司法や警察のスクリーニングを通して単独親権制度とすれば足りる。

(6) 比較考量論
父母が共同親権を選択した場合であっても子の安全と情緒に弊害が生じるような共同親権を選択するのが不適切な事案や、父母の一方が不本意に 共同親権を選択せざるを得ずDV虐待が継続してしまうような共同親権が 不適切な事案(以下併せて「不適切事案」という)が誤って共同親権に紛 れ込んでしまう弊害と、離婚後も父母の関係が良好で共同親権が子の利益に合致する事案において共同親権を選択できない弊害を比較考量すると、 前者の弊害は看過しえない。
このように、離婚後共同親権を選択する制度を導入した場合に、離婚全体の約9割を占める協議離婚において、前記のような不適切事案を誤りなく除外することは期待できず、相当でない。
「父母が共同親権を選択した場合であっても子の安全と情緒に弊害が生じるような共同親権を選択するのが不適切な事案や、父母の一方が不本意に共同親権を選択せざるを得ずDV虐待が継続してしまうような共同親権が 不適切な事案(以下併せて「不適切事案」という)」とあるが、これは正に単独親権制度でも同様に起こり得る事例である。
父母が共同親権を選択して子の安全が脅かされるのは、父母双方が虐待する、若しくは虐待を止めない・無関心な場合であって、このケースでは、単独親権制度でも親権者が虐待する可能性が高く、結局救われない。親権制度とは別軸で対策を講じるべき事案である。 また、父母の一方が不本意に共同親権を選択せざるを得ずDV虐待が継続してしまうケースは、まさに単独親権制度で、離婚したければ親権を渡せ等の要求で実現してしまう。この際、単独親権では、密室となり子を虐待から救うことは不可能に近いが、共同親権では、このケースでは一定のモニタリング効果が期待できると言えよう。
従って、そもそもここで指摘されている弊害が共同親権と単独親権を比較したときの弊害として成立しておらず、本号意見もまた成立していない。

第2
父母の離婚後等の親権者に関する規律の見直し
3離婚後の父母双方が親権を有する場合の親権の行使に関する規律
(1) 監護者の定めの要否
(2) 監護者が指定されている場合の親権行使

(意見)
B案/γ案を支持する
(理由)
前述の通り、甲①案を支持する中で、監護者を一方に定めてしまうと、実質的に監護者が居所指定権を独占することになり、現行単独親権制度と何ら効果として変わらないものとなる為、B案の通り、監護者の定めをしないことを認め得る制度とすべきであるし、更に言えば、原則共同親権との関連性を踏まえれば、監護者の定めをしないことを原則とすべきと考える。
同様の理由で、α案、β案では実質現行単独親権制度と何ら変わらないのであるから、γ案とすべきである。

(3) 監護者の定めがない場合の親権行使
(意見)
項目毎に専決者を定めた共同監護計画を策定すべきである
(理由)
監護者の定めがない場合の親権行使については、父母の協議が整わない場合は、家庭裁判所の審判を定めるとあるが、調停の社会的コストを踏まえれば、親権行使が必要となる事項につき、予め専決者を定めるべきと考える。
すなわち、
①日常監護に伴う事項の親権行使は監護期間中の片親
②医療、進学等の重要なライフイベントについては項目毎に専決者
③その他①、②に記載の無い事項は父又は母というように、MECEに各項目毎の専決者を定めることが必要だと考える。

(4) 子の居所指定又は変更に関する親権者の関与
(意見)
Y案を支持する
(理由)
上記(3)の意見にて述べた、財産管理に係る事項や法定代理に係る事項については、子の意思を重視の上、基本的にそれに追従する権利であり、その後の紛争を回避すべく、項目毎に専決者を定めるべきだし、弊害も少ないと考える。
他方、居所指定権については、正に共同養育の根幹であり、また親子断絶を解消する為に最も均衡を保つべき権利(※本来、監護権は子が監護を受ける為の権利であるが、子は明確に意思を表明することが出来ない場合であることが多い為、子が父母の双方から満足に監護、教育、愛情を受ける為に逆算的に父母の権利の均衡を図るのである)であることから、こちらについては離婚時に父母双方が話し合い、必要に応じて調停等を経て、共同監護計画にて、居所の指定の合意をするべきである。 居所指定権を決定後に、何らかの理由で変更の必要が生じた場合で、父母の意見が整わない場合は、調停等の手続きを経て、継続性の原則並びに子の最善利益を前提に、家庭裁判所が居所を決定することが求められると考える。

第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直し
2 父母の協議離婚の際の定め
(1)子の監護について必要な事項の定めの促進
(意見)
甲①案を支持する
(理由)
上記(4)の意見にて述べた、共同親権の本質たる居所指定権については、単に当該権利を共有するだけでは、後の協議不調を招くことは必須であり、共同監護計画等の策定を必須とすべきである。 他方、父母が婚姻時と同様に子の柔軟な父母双方との交流に寛容である場合等、父母双方が共同監護計画の策定を不要として、双方が申請する場合には、社会的コスト削減の為に、共同監護計画を策定しない取扱いも認めるべきであると考える。

第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直し
3 離婚等以外の場面における監護者等の定め
(意見)
相手方配偶者の同意の無い子の別居に法的不利益を制度設計すべきである DV防止法の支援措置に事実認定のプロセスを導入すべきである
(理由)
現在、離婚前に婚姻中の父母が別居するに際し、他方の親の同意を得ないで、子を連れて別居する事例が相当数散見される。
この状態が一度発生すると、親権を失いたくない別居親は、審判にて親権を失う可能性が高い場合は、審判を避ける為、調停を長引かせざるを得ず、その間間接強制の手段も無いことから、容易に長期の親子断絶が実現する。
DVや虐待等の事実が確認されているなら別だが、本来片親の親権並びに子の父母双方からの監護を受ける権利、夫婦の相互扶助義務を侵してまで子を連れた別居を認めるべきでは無いが、現行の法制度にはこの行動に伴う法的不利益が一切無い為、現実的に横行している。
これを防ぐ為には、事後的にもDVや虐待等が確認されない子連れ別居の事実があれば、諸外国のように、誘拐罪として取り扱うか、そこまで行かずとも、その後の共同監護計画での監護割合の減殺要因として勘案する必要があると考える。
また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律で認められる、支援措置が、訴えた当事者の意見のみを、真実性の確認のプロセスも無く認め、片親が連絡を取れなくなってしまう事態を招いている事実も、由々しき問題である。この支援措置を使い、子連れ別居が簡単に実現できることや、そもそも制度として虐待親がこの支援措置を使って、非虐待親からの子の引き離しが出来る状態にあり、一刻も早く、支援措置に事実認定を必須とすべきである。

第3 父母の離婚後の子の監護に関する事項の定め等に関する規律の見直し
4 家庭裁判所が定める場合の考慮要素
(1) 監護者
(意見)
監護者としての適格性の判断には収入も重要な要素として考慮すべきであるし、DV等の理由の無い場合の子の連れ去りは監護者としてのマイナス要素として明確化すべきである。
(理由)
監護者の定めをする際の考慮要素については、原則そもそも監護者の定めをおかずに、共同監護計画にて定めるべきだと考える。
他方、敢えて監護者の定めをする際の考慮要素とすべきなのは、これまでの監護実績に加えて、収入や今後の監護能力も重要な要素として考慮すべきである。父母は、どちらかが監護、どちらかが収入を得るような役割分担が行われるかたちが多く、この場合、監護者のみを監護権者とする現状の運用実態が、ひとり親家庭の貧困、ひいては虐待を招いているし、事実収入が多いと考えられる父子家庭の方が、親子交流に積極的であるとの事実もひとり親調査等で見られる。
また、子の連れ去りについては、DVや虐待等が確認されない子連れ別居の事実があれば、諸外国のように、誘拐罪として取り扱うか、そこまで行かずとも、その後の共同監護計画での監護割合の減殺要因として勘案する必要があると考える

(2) 親子交流
(意見)
相手方配偶者の同意の無い子の別居に法的不利益を制度設計すべきである
(理由)
親子交流については、実施すべきか否かの考慮要素に加えて、より頻度を向上させるべきである。
現状、月1回を超えての面会交流が実施されている例は極僅かであり、これでは子の最善の利益は担保できない。
諸外国のように、年間100日以上の交代監護を前提として、交流の頻度まで含めて明文化すべきである。

第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直し
3 親子交流に関する裁判手続きの見直し
(1)調停成立前や審判の前の段階の手続
(意見)
調停成立前から家庭裁判所が親子の頻回交流を認めるべきであり、これに応じない親の親権者適格性をマイナス評価すべきである。 (理由)
離婚調停が始まると、母子優先、主たる監護者優先の原則から、親権を諦めざるを得ない者は、以降の親子断絶が想像されることから、心情的にも、調停を長引かせてしまいがちとなる。
他方、調停中の面会交流を強制させる方法が無いこと、面会交流をさせてしまうと、別居親に子が懐いてしまう(親権争いをする上での)リスク、子の連れ戻しをされるリスクを同居親が懸念することから、容易に数年間の親子断絶が生じてしまう。
これらの解消の為には、調停中だとしても暫定的に親子の頻回交流を家庭裁判所が命じるべきであるし、親子交流に消極的でない親の親権者としての不適格性を厳しく評価すべきであると考える。

第5 子の監護に関する事項についての手続に関する規律の見直し
3 親子交流に関する裁判手続きの見直し
(2)成立した調停又は審判の実現に関する手続等
(意見)
相手方配偶者の同意の無い子の別居に法的不利益を制度設計すべきである
(理由)
調停が成立したとしても、間接強制が不可の形態も有り得るし、間接強制にすら従わない事例もある。
実効性の担保の為には、共同親権とした上で、監護計画に従わない親の親権制限を実施する他無いと考えられる。

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