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別居親Shが体験した「試行面会」

試行面会、親子交流観察調査、交流場面観察とも呼ばれます。

そもそも、そういう制度があることは聞いていたので保育園の園長先生にも事前に相談していた。

もし、裁判所で息子に会える流れができた時は息子に不要な体験、記憶を残したくないので普段過ごしている保育園をお借りできないか、と。
保育園の園長は、快く受け入れてくれ、ぜひ、協力させてくださいと言ってくれた。

試行面会を裁判所ではなく、保育園でやってもらえないか、保育園の園長の許諾もとっている旨を伝えた。
「保育園では出来ません」とだけ言われた。

結局、保育園にそのあと、調査に出向く日程がある。
その時に、抱き合わせで行うことも出来るはず。
5歳の息子の体験としてまったくもって不要。
申し訳ない気持ちになった。

2023年1月
面会交流調停と調査官調査の流れで行われました。

7ヶ月ぶりに会う息子との絆を見せつけてやりたい、そう思っていました。
ただその日が近づくにつれ、やはり不安ばかり大きくなった。

片親疎外は起きてないのか?
引き離された時間がある。一緒にいない時間が長すぎた。

2022年10月から始まった月1のテレビ電話10分。
1回目は問題なかった。息子は変わってなかった。
「まだ話し足りない」「あっち行ってて!」と義父に自分の気持ちをきちんと主張していた。
11月末の2回目 すでに何かがおかしかった。
たった、半年もしない間に4歳の息子は、言葉づかいも表情も仕草も変わっていた。おどけ方も照れ方も変わっていた。これが成長なのかもしれない。

その3回のテレビ電話で培った空気感があれば、なんとかなると思っていた。
「父子の絆を見せればいいだけだ」何度もそう言い聞かせていた。

いかなる持ち込みも禁止されている。
それなら身につけて行こうと、Tシャツ、パーカー、靴下、ピンバッジ、ボールペンなど息子の大好きなものをいろいろ身につけていった。

裁判所内の一角にある6畳くらいのプレイルーム。
マジックミラー越しに観察できる狭い通路のような部屋。
プレイルームの様子は3台の固定カメラで録画されている。
プレイルーム内の様子を音声マイクが拾っていて、マジックミラー越しでもやりとりが聞けるようになっている。

調査官の1名は、プレイルーム内に。
もう1名は、マジックミラー越しに。
自分は、自分の弁護士と相手弁護士とともに、まずマジックラー越しの狭い部屋にまず入る。
「なかなかない機会なので若手の弁護士を経験のために今日は連れてきました」と相手弁護士から説明を受ける。まじで見せ物だと思った。

しばらくすると、息子と妻がプレイルームに入ってくる。

①同居親が15分
②別居親が30分
③同居親が15分

という流れに沿って進行される。
ずっと画面越しでしか会えなかった息子がマジックミラーの向こうにいる。
あと、ちょっとでリアルに会える。触れることができる。抱きしめることができる。
息子は走ってくるだろうか?抱きついてくるだろうか?
自分なら大丈夫だと何度も言い聞かせてただただ待った。

自分の時間になり、部屋に入る。
開口一番「キミはむかつく顔をしているね」とニヤニヤしながら息子に言われた。
息子は部屋の奥から近づいても来ない。
一瞬でパニくった。
ここからの対応ひとつひとつ全てが観察されていると思うと、
残り30分の中でどう対応するのが正解なのかわからなくなった。
悪い言葉を注意するほうがいいのか、本心がわからないから、対応もわからない。
どちらいにしろ30分しかない。
どうせなら楽しい記憶だけを残したかった。

一緒にいない時間が長すぎて、息子にとって、これが最近の流行りのセリフなのか、ふざけて言ってるのか、本気で言ってるのか、はじめて言う言葉なのか、なにもわかりませんでした。
さらに、マスク着用が義務付けられていた。

息子が笑っているのか、表情も目でしかわかりません。
4歳の息子の顔の大きさにとって、マスクが占める面積が多すぎます。

親の自分がここまで、息子の意図がわからない。
時間の経過をただただ痛感しました。

とにかく空気を変えねばと、
「そんなこと言ったらパパ悲しい気持ちになるなぁ」
と言いながら抱っこをして、
室内の掛け時計に近づき、指をさしながら
「この針がここまで行くまで一緒に遊べるから」
「何して遊ぼっか?」と聞きました。
抱きかかえたことで、息子も安心したのか
窓から見える電車を見て「今日あれに乗って来たんだ」と会話が続き
「UNOできるようになったからUNOやりたい」と言った。

それからは、UNOをしたり、プラレールをしたり、そこにあるいろいろなおもちゃで遊んだ。おもちゃを出したり、片付けたり、持ち時間の30分をどのように使うのか、息子とどう接するのか、とにかく詳細にメモを取る調査官。

息子となるべく普通に接しようと何かをするたびに、メモの音が聞こえる。
これがひとつひとつプレッシャーでしかない。

この30分で今後息子と会えるかどうか決まる。
そんなバカな話あるか。

「今度〇〇しようね」など勝手な約束禁止の中、おもちゃ出したり、片付けたり、会話など親子交流の様子をマジックミラー越しに観察される動物園です。

あっという間の30分でした。
同じおもちゃを使った遊び方でも
妻と自分では全然違うことも実感した。
もちろん息子の接し方も違う。

マスクをしているのもあり、自分ですら、息子のことがわからないこともあった。
正直、特殊な環境下で緊張もした。
もし異変があっても調査官は気づかないだろうと思った。
なぜなら同居時の様子を知らない。
何と比較して、判断をするのか。むちゃくちゃすぎる。
そして、その頃と息子は変わっていた。
ただ、それが成長なのかどうなのかもわからないこともあった。

部屋を出た。最高の30分だった。
最後の妻のタームでは、
「このあとトニカ見に行くんでしょ」
「はやく片付けないと、行かないよ」
と言った。

そのセリフはありなのか。
正直、不公平だと思った。

そして、またいつ会えるのか、まったくわからないまま裁判所から帰った。
面会交流でもでテレビ電話でも「次はいついつ会えるからね!」と
最後に約束できるか、できないか
この違いは子どもにとっても非常に大きな違いだと思う。

父親の自分ですら次、いつ会えるのかわからない状態、こんなにしんどいことはない。

ただ、このマジックミラーでの試行面会を経て調査官調査の報告書には、月2回程度の面会交流を行うべき、との記載があった。
報告書には、妻の面前DVがあった記載もあったが、自分のDVや虐待があったなどの記載は一切なかった。

そして、この一文だけを武器に9ヶ月ぶりにリアルで息子に会えるようになった。
その時、息子は、目が合った瞬間、これまで見たこともないダッシュで遠くから走って来て、そのまま抱きついて来た。
これがリアルなんだ。
あんな試行面会で調査官にわかるはずがない。
なにがわかるというのだ。
試行的面会を裁判所でやったあとに
調査官は、親子交流にも立ち会うべきだと思う。
最初の30分でもいい。いや5分でわかるはずだ。
ほんとの親子の関係性を。親子の絆を。
それぐらいの責任をもってほしい。

それを見た上でも、
「月に1回会えれば充分でしょ。それが普通です」
と果たして言えるのか。

息子と9ヶ月振りに会った時、息子はこう言った。
「あ、前にさ、モノレールで行ってさ、会った時あるじゃん」
「その時さ、パパと遊んだ時に着てた洋服と今日同じじゃん!」
遊んだ記憶になっていてほんとに良かった。

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