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マリー・ローランサンとモード展~東急Bunkamura休館によせて~

ずいぶん経ってしまったのだけれど、東急bunnkamuraザ・ミュージアムでの休館前最後の美術展になる、マリー・ローランサンとモード展に行ってきた。


画像はO‐チケさんからお借りしました。


何度か書いているけれど、ほぼ「転職中」の掛け持ち勤務の期間がほとんどだったので、前売りのチケットを買うのをものすごぉく迷ったが、マリー・ローランサンが好きなのとBunkamuraのあの場所での展示はこれが最後と聞いたので、なんとかなるだろうとチケットを購入した。

結局、当初の予定の3月はやはり無理で、日程変更して行ったのは、最終日を間近に控えた7日の金曜日だった。

マリー・ローランサンは学生の頃から大好きで、最初の職場の退職の記念品(何が欲しいか聞かれる)も、彼女の画集だった。

もちろん絵も好きなのだけれど、彼女が活躍していた1920年代のパリという時空間そのものが好きなのだ。

展覧会の解説は下記の書き出しから始まる。

1920年代パリ―
ココ・シャネル、マドレーヌ・ヴィオネも活躍
女性たちは羽ばたいた』


昔は全く意識していなかったけれど、まだまだ男性社会の中で、自分の力で自由に生きる、ローランサンやシャネルに憧れていたのだと、今ではよくわかる。

展覧会はローランサンを主軸に、シャネルとの関係や、他の芸術家、デザイナーとのコラボレーションや対比を見せていくものだった。

彼女の絵画だけでなく、シャネルやポワレのドレスの映像や実物、舞台作品の台本や映像と、さまざまな角度から時代そのものを映し出しながら、ローランサンの絵画の変遷も見ることができる、非常に見ごたえのある内容。

コロナの影響で良かったと思ういくつかのことは美術館が満員にならないことで、人の頭越しに作品を観たりはしなくてすむのはとてもありがたい。

今回は夜の時間だったこともあり、もともと混んでいなかったのかは不明だが、ゆきつもどりつゆっくりと展示を堪能できた。

週の終わり、金曜日の仕事の後だが、転職前には来ること自体がとても考えられなかったけれど、ちょっとへろへろだけれど、来ることができたこと自体に感動しつつ、元気になって、展示室を出てきた。

かなりの雨が降っていた日だったけれど、LES DEUX MAGOTS PARISは混みあっていて、吹き抜けのところにあるテーブルはほぼ埋まっていた。

最後にこの店に来たのは、コロナの前に逝ってしまった友人と来たときなのを思い出し、少し切なくなった。

東急へ続く道は閉鎖され、いつのまにか本屋はなくなっていたけれど、雰囲気はほぼかわりなく、これももう見られないのだと思うと、ちょっと哀しい。

Bunkamuraは、ル・シネマやオーチャードホールも含め、本当に本当にたくさんのものに出会った場所だ。

オープンの時は本当に画期的な総合施設で、建物そのものの造りも含め、本当におしゃれで気持ちのいい場所だった。

今は当たり前になったけれど、いち早く映画の座席予約をしたのも、ル・シネマだったと思う。もっとも今のようにネットではできなかったので、一旦窓口には来るのだけれど、予約をして、そのあと、ゆっくり食事やお茶をしてから観ることができた。

休日の昼間は、時々松濤のほうへ足を延ばしたり、松濤美術館とかけもちしたりもしたものだ。

ここ数年はすっかりご無沙汰だったし、コロナ前が最後だったぐらいだが、以前は私の中ではBunkamuraは、生活の中で欠かせない場所だったのだ。

しばらくの休館を経て2027年には再開予定とのことだが、今のBunkamuraとは全く異なるものだろうし、それを楽しみにもしているけれど。

昨年あたりから、本当に時代の変わり目というか、いろんなことが大きな節目を迎えているのを感じている。

新しい始まりのエネルギーを感じてわくわくする部分もあるけれど、やっぱりちょっとせつない気持ちを味わうことも多い。

そういった意味で今回の展覧会にこれたのは展覧会を観るということだけでなく、とても意味のあることだったと感じている。

ひとつの時代の終りに、きちんと挨拶ができた気がするのだ。

さようなら、Bunkamura
そして、本当にありがとう。

新しいBunkamuraを楽しみにしています。

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