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サブプロジェクト開発インタビューvol.3 「六ツ獄恋いろは」 編

この記事は「Happy Elements カカリアスタジオ デザイナーアドベントカレンダー2023」の18日目の記事です。

今回のアドベントカレンダーでは、Happy Elementsが近年取り組んでいる「サブプロジェクト制度」を使い、新規アプリの開発にチャレンジしてくれたメンバーにインタビューを行いました。

サブプロジェクト制度:
普段所属するプロジェクト以外に新規開発の取り組みとして、小規模な別プロジェクトに参加する制度

第3弾はカジュアル恋愛ノベルゲーム「六ツ獄恋いろは」のイラストメンバーにインタビュー!
こちらのゲームはAppStore、GooglePlayで好評配信中です。
ぜひ一度遊んでみてください♪


本日のインタビューメンバー

ー 本日はお忙しい中ありがとうございます。
今回は好評配信中の『六ツ獄恋いろは(以下、六ツ恋)』のイラストをメインで担当されたお二人にお話を伺っていければと思います。
それでは、お二人から自己紹介をお願いします。

Y.M.:
Y.M.です。「あんさんぶるスターズ!!(以下あんスタ!!)」チーム所属で、イラストレーターをしています。社歴は7年半ほどで、今はずっとあんスタ!!のイラストの線画を描いています。

Y.M.さんの担当したイラスト業務実例

【略歴紹介】
Y.M./イラストレーター。入社後『あんさんぶるガールズ!』などに携わり、現在『あんさんぶるスターズ!!』でイラストレーターとして活躍中。

A.S.:
A.S.です、同じく「あんスタ!!」チーム所属で社歴は6年半ぐらいで、イラストレーターです。主にスチルイラストの背景などを担当しています。

A.S.さんの担当したイラスト背景業務実例

【略歴紹介】
A.S./イラストレーター。『あんさんぶるスターズ!!』で背景を中心としたイラストレーターとして活躍中。

ー 早速ですが、今回制作されたアプリはどんなゲームですか?

A.S.:
乙女ゲーム…という表現しかできないです(笑)。
ファンタジー要素のある恋愛ノベルゲームという感じでしょうか。

Y.M.:
乙女ゲームが初めての人でも遊びやすいものを目指していたので、「乙女ゲームを今までプレイしたことがない若年層の方にもとっつきやすい、最近のゲームやアニメっぽい絵柄」というのがポイントです。
妖怪ものだったり、少年漫画っぽい世界観が好きな方にも刺さるゲームだと思います。

「いつもと違った絵が描いてみたい」


ー まずはお二人がこのプロジェクトに参加した経緯から訊いていければと思います。今回A.S.さんはどういう形で参加されたんですか?

A.S.:
実は、今回「六ツ恋」の企画を担当したM.T.さんからある日突然DMが来て、「こういう感じの乙女ゲーム作りたいんですけど、興味ありますか?」とお誘いいただきました。元々恋愛ものという点では少し興味があったので、「やってみたいです」とすぐお伝えしました。

ー「やってみよう」と思えた決め手はなんでしたか?

A.S.:
私自身が「あんスタ!!」チームに長く居るのもあり、違うことをやってみるのもいいのかもと思いました。そのときはそんなに深く考えはしなかったんですが(笑)、「ちょっと興味あります」という感じでお返事させていただきました。

ー 普段から企画のM.T.さんとの間でやり取りはあったんですか?

A.S.:
普段は業務のやり取りをしているぐらいですが、その中でも「なんとなくこういう感じがいいのかな」とM.T.さんのイメージを汲み取って制作することが多かったので、やりやすい部分はあると思っていました。それもあって興味が湧いたという感じです。

ー 一方で、Y.M.さんは企画を立案されたメンバーのひとりです。企画立案の経緯はどういったものでしたか?

Y.M.:
一緒にアイデアを考えていた企画のN.T.さんとの、流行っている作品だったり「こういうゲームほしいね」というちょっとした雑談から「妖怪のイケメンと恋愛する、学園ものの乙女ゲーム」に発展して、設定とかを二人で考えていたところ、それをM.T.さんに話したら「こうしたらいいんじゃないですか」って企画が練りあがってきたので、じゃあやろうと。自分でも元々乙女ゲームのキャラクターを描きたかったのもあります。

ー 前から「自分の絵柄でゲームを作りたい」というのもあったのでしょうか?

Y.M.:
人にもよるかもしれないですが、自分の場合は最初「あんさんぶるガールズ!」のイラストを描いていて、そこから「あんスタ!!」チームだったので、他のことをしてみたいっていうのはありました。
ずっとカードイラストという形式で描いているので、また違った形や表現で絵を描きたい、挑戦してみたいとは思っていたので、それがサブプロジェクトで実現できたのはうれしいですね。


「空気感・臨場感を大事に」


ー それでは、もう少し具体的な内容も訊いていきたいと思います。
まずは今回、アプリ制作においてそれぞれ何をご担当されましたか?
A.S.さんからご紹介をお願いします。

A.S.:
メインはストーリー背景やスチルイラスト背景を担当し、世界観のイメージを作るところから携わらせていただきました。他にもキャラクターの塗りの一部、スチルの最終的な加工調整なども担当しました。

ー 中でもどういったところにこだわりましたか?

A.S.:
背景で言うと、最初に和風と中華風をミックスした感じのテイストと聞いていたので、それをどう落とし込むか悩んでデザインしました。中華風単体でも特徴があるので、和風とバランスを取るのが大変でした。

特徴的なデザインで描かれる背景

ー 確かに中華風と和風どちらも感じられる背景ですね。

A.S.:
どちらの要素も感じ取っていただけたらうれしいですね。中華風というと特徴的な格子状の柄がイメージされるかと思うのですが、そういった特徴的な装飾をアクセントとして入れようと考えました。ベースは和風でまとめつつ、装飾に中華風を入れることでなんとかバランスを取るようにしました。

背景のテイストとしてはリアルな風景というよりイラスト寄りで、デザイン的な要素が強く、少ない情報量でリッチさを出すことにこだわっていて、色味のまとまりのいい背景を目指しました。

ー スチルの塗りや加工面ではいかがでしょう。

A.S.:
スチルの塗りはチーム全体で試行錯誤して、「絵が描ける人がそれぞれ一度塗ってみよう」と何人かで試作し、最終的に私が整えたものを選んでいただきました。特徴としては背景に対してキャラが馴染んだような塗りに仕上がったと思います。

「あんスタ!!」だとアイドルを目立たせたいので、人物の色を前に出すようなことをするんですけど、六ツ恋では全体の空気感・臨場感を大事にして、絵としてのまとまりを意識して制作しています。最初の一枚目は手探りで描いていましたね。

恋愛ノベルゲームだからこその空気感、臨場感を感じるイラスト

作品全体を通して「六ツ恋」のキャライラストの塗りは影と光の境界線が縁取り処理のようになっているのが特徴なのですが、スチルイラストになったときに浮いて見えないよう色味にこだわって制作しています。

「最初は、うまく落とし込めてるか不安でした」


ー 次にY.M.さんにもお話をうかがいたいのですが、今回初めてのキャラクターデザインということでやってみていかがでしたか?

Y.M.:
普段のカードイラストを描く業務に対して、自分で1からキャラデザをすることはなかったので、M.T.さんからいただいたキャラデザのイメージに沿って作ってたんですけど、最初はうまく落とし込めてるか自分でもわからず不安な部分もありました。

そこで「あんスタ!!」より若い世代向けの乙女ゲームということで興味を持ってもらうために、今どきの絵とか色味とかを研究して…。
最近は、乙女ゲームはしたことがないけど比較的ライトにキャラクターとの恋愛を想像する…という方も多い印象なので、そういった方にもとっつきやすい絵柄を目指すことにしました。

少年漫画やアニメらしさのある頭身と可愛さもある絵柄で、今どきっぽいデフォルメを入れつつ、縁取り風の処理とかピンク系の色味にしたり。
乙女ゲームということで、まず絵とかキャラに興味をもってもらって、「推せる」、「この子と恋愛したい」と思ってもらえればいいなと。
また、「あんスタ!!」と違ってヒロインの絵がしっかりと出るので、5人の男の子たちともバランスがとれるように特徴をだしつつ、かわいくなるようにデザインしました。せっかくしっかり出るのであれば、ヒロインもユーザーさんに気に入ってもらえるといいなと思って。

ー そのヒロインを含めたキャラクター6人それぞれにこだわりがあると思います。Y.M.さんの中でこのキャラは気に入っている、ここを見てほしいというポイントはありますか?

Y.M.:
企画が立ち上がったあと、まず最初に制作したのが月読 尊人(つくよみ みこと/以下、尊人)で、優しいけどからかったり翻弄してくるような先輩で、立ち絵やキービジュアルでもそういった優しく余裕のある表情を描くことも多かったんですが、シナリオも読み込んで意外な一面が見えたり、描いていく中でどんどん可愛く見えてきました。幸せになってほしい……みたいな(笑)。
表情差分もたくさん描いたので、その時々の細かい表情のニュアンスだったり、ヒロインとの関係が深まるにつれ移ろっていく表情も見どころかなと思います。

先程も少し触れましたが、自分の中で絵柄を落とし込む段階が不安で、言われたものを描いてる感じがあり、これは本当に良いものが描けているのか曖昧になった時期があったんです。
そこでM.T.さんから「一度Y.M.さんの好きなように、キャラクターを1人描いてみてください」と言われて、自分の手癖で好きに描いてみたのが常呼 夜叉丸(とこよ やしゃまる)でした。
そのときに、自分の中でキャラクターや絵柄の落とし所が見つかったというか、自分で描いたものの手ごたえとして落ち着いた感じがあったので、これでいこうと思えましたね。


「新たにチャレンジした仕事と
これまでの仕事がすごく繋がってる」


ー サブプロジェクト終了後、「こういうのやりたい」から実際に「やってみた」という状態だと思いますが、今感じていることはなんですか?

A.S.:
緊張しましたし、どんな反応をされるのか不安はありましたが、無事にリリースすることができた達成感と安心感はあります。「もっとこうしたらよかったかな」という部分や、時間をかけたかったけどかけられなかった部分もやっぱりありますね。

Y.M.:
「あんスタ!!」で自分が描いたカードが出るのとは全然違いますね。「あんスタ!!」は「あんスタ!!」を背負ってる。そのプレッシャーが怖いんですけど、こっちは自分のキャラデザと絵なので、それに対する反応がやっぱ気になっちゃう。「六ツ恋」を最初に公表したときに、「Happy Elementsが出した初めての乙女ゲーム」と言われていたのでプレッシャーを感じました(笑)。

ー 今回のプロジェクトを通して成長したことはありますか?

A.S.:
「六ツ恋」は和風と中華風のファンタジー寄りな背景ですが、普段制作している「あんスタ!!」は現代じゃないですか。「あんスタ!!」のスカウト等でファンタジー風の背景を描くことはあっても世界観としてガッツリ作ることはなかったので、資料集めに時間がかかったりして、試行錯誤しながら制作しました。おかげで「あんスタ!!」のスカウトで中華風の背景を描くことになったときに、「今回の経験があったから思い通りに描けた」と感じたので、新たにチャレンジした仕事とこれまでの仕事がすごく繋がってるなと感じましたね。

ー 0から作る経験を乗り越えてこそですね。

A.S.:
世界観を作るというのが初めてだったので「どうしたらいいんだろう」と不安でした。自分自身ではファンタジーな背景を得意とは思っていなかったのですが、「六ツ恋」で経験してみて「こういう感じでデザインしたらファンタジーらしくなるのかな」となんとなくですがわかるようになりました。「ファンタジー得意です」とまではいかないですが、「ちょっとはファンタジーわかるかも」にはなれたかもしれません。

A.S.さんが制作した街や学園の設定資料。まさに「世界観」を作っている。
※画像は初期構想であり、実際の設定とは異なる部分があります。

Y.M.:
私は、目に見えて成長できたかと言われるとわからないんですが、「六ツ恋」はスチルも見せ方から違うのでそこが勉強になりました。横画面なのもそうですけど、画面の中で、ヒロインとの距離感がどう変わっていくか、シチュエーションの温度感を表現するのが「あんスタ!!」とは考え方が違って面白いなと思いました。また、自分の絵を基準に他の方に絵を描いていただいたので、その辺りも試行錯誤したり責任を感じたこともありましたね。

ー いつもは逆の立場ですもんね。監修やフィードバックの作業はいかがでしたか?

Y.M.:
「六ツ恋」はデッサンや線画の描き方、制作の流れなどが「あんスタ!!」寄りなので、「あんスタ!!」チーム以外のイラストレーターに描いていただくときに合わせていただいたり、絵柄の統一感だったり、自分の絵が基準のはずなのに、逆に自分の絵がわからなくなってきて悩むこともありました。あとは物理的に時間が足りなくて大変でしたね(笑)

ー ボリュームが小さいサブプロジェクトとはいえ、キャラクターも6人いて、すべて作りきるというのは大変でしたね。

Y.M.:
運用するとなるとまた違う大変さだとは思うんですけど、絵だけじゃなくてどうアプリをリリースすればいいかを考えたりするのが大変でした。誰かから渡された作業をこなす、というよりはチームで一体となって作ってる感があったのでそれはとてもいい経験でしたね。

普段カードイラストだけだと淡々と絵を描いている感覚が強いので、「六ツ恋」ではコンテンツを作る方やシナリオを書く方とミーティングしたりして、全員で作ってる感がよかったなと。チーム全体が話しやすい空気感だったのもよかったと思います。みんなでコンペしたり、2人でポーズを取って「尊人が無理やりキスするシーンはどう手をついたらドキドキするか」とか、「どれぐらいの近さがいいかな」って試行錯誤も楽しかったです(笑)。「あんスタ!!」だとキャラが引きになるんですが、「六ツ恋」だと距離やポーズから二人の空気感が伝わる絵が引きになるので全然違うなと思いましたね。

最初に制作された「尊人」スチルイラストの構図案。
ここに上げている以外にもたくさんのアイデアが検討された。

ー 楽しそうな風景が浮かびます。
それでは最後に、今後も弊社ではサブプロジェクト制度で新しいアプリ開発に取り組む方がたくさんおられます。社内外問わず、新しいアプリを作ることに興味がある方にメッセージをお願いします。

Y.M.:
「やろうよ」「大丈夫大丈夫」って(笑)。
とりあえずやってみたらいいと思います。

A.S.:
同じような感じですね。悩んでいるなら一度やってみるのがいいのかなと思います。

ー Y.M.さん、A.S.さん、本日はありがとうございました!

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