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そうだ!生徒に授業を作ってもらおう!

中学校社会科の実践のお話です。
今思えば、同じ学年に社会の先生が複数いた唯一の年だった1年目。指導教諭の先生と組んでおり、教育実習ですら中学校で教えていない私は、その先生から教わった通りの授業を自分の持ちクラスでやっていました。

その先生が、1年生の地理の「世界人々の生活と環境」という、気候帯ごとの特色とその地域での人々の生活を扱った単元で、学年で統一して、調べ学習→発表の形にしようということになりました。

当時タブレット端末なんかないので、生徒には、1班5~6人で、教科書見開き2ページを担当してもらい、A3用紙1枚になるように手書きで「レジュメ」を作ってもらい、レジュメを人数分印刷して、レジュメを見ながら発表を聞くというスタイルでした。

初任の時、2年目で再び1年生を持った時、同単元で同じ形で
授業を行いましたが、次に異動して2校目で同じことをしようとしたら「この学校ではそれはできないんじゃないかな~」というようなことをやんわり言われ、結局講義型で授業をしたような気がします。先生が教えた方が安心ですからね~。教科書があるとはいえ、生徒に授業を作ってもらって発表して、それで終わり、だと不安な気持ちは分かります。

昨年度再び異動し、タブレット端末を使えるようになったので、以前紙のレジュメでやっていたことを、Googleスライドでやってみよう!と思いつきました。

さすがに、気候区分のところは講義形式で授業をしましたが、それ以外の部分「寒帯での暮らし」などは全て生徒のスライド発表に任せました。
今年2年生の日本の地域的特色でも同じようにできないかチャレンジ中です。1年生の実践と2年生の実践をまとめて紹介します。

単元名

・1年生「世界の人々の生活と環境」〔8時間程度〕
・2年生「日本の地域的特色と地方区分」〔8時間程度〕

単元計画

① 導入、単元を貫く課題の提示・予想、グループ分け
② グループ内で担当分け・個人で調べる
③ グループ内で調べたことを共有・グループのまとめを考える
④ 発表原稿づくり・発表練習・質疑応答対策
⑤ グループごとに発表(1年生は1班5分で2時間、2年生は1班5分~15分で4時間確保)
⑥ 単元のまとめ

事前に必要な準備

① 発表順などの計画を改めて行い、生徒にも示す
② Googleスライドで型を作る。ある程度発表してほし項目を、タイトルとして入力しておく。(例:気候の特色・衣・食・住・生活の変化など)
③Googleスライドを全部の班の分作成し、生徒に共有をかけ、各クラスのクラスルームにリンクを貼る。
④教科書や資料集の図表はあらかじめ用意し、NHKforSchoolなど参考にできる動画などのリンクをGoogleクラスルーム貼る。
⑤授業の振り返りシートをGoogleスプレッドシートで作成する。
⑥発表を聞きながらメモを取るワークシートを作成する。
 (2年生はそれに加えて、地形や典型的な記述問題などを確認できる簡単な問題プリントを配布)

生徒に授業を作ってもらうメリット

① 7・8つぐらいあるテーマの中で、自分の興味の持ったことを選択して、調べることができる。


 例えば2年生の場合、登山が趣味な生徒が「日本の山」のグループに入り、電車好きな生徒が「日本の交通」のグループに入っています。もちろん全員ではありませんが、自分の得意や好きを活かせる場面ができます。

② 教科書の内容を読んで、自分の力で内容を理解し、短い言葉でまとめ、人に伝えることができる。

全てこれができれば、教科書さえあれば生徒たちだけで学習ができます。とても理想的な姿なのではないかと思います。
生徒が担当するのは、本来の50分の授業で扱う内容の5分の1ぐらいです。トータル3時間を使って準備ができ、分からないことは同じグループの生徒に教えてもらいながら発表の準備ができます。

③ 生徒同士だと話を聞く


最近、ほとんど毎回学び合いスタイルなので、以前のような講義型の授業をしようとすると、「早く学び合いのじかんにならないかなー」という感じの生徒の目線がとても気になります。説明してもらうより、自分で理解したい!と思ってもらえているようです。
生徒に授業を作ってもらうと、「聞く」スタイルにしばらく戻るのですが、生徒が楽しんで発表を作り、また生徒同士の発表ということで、教師の話より面白がって聞き、質問まで意欲的にしています。

④先生の負担が・・・・

単元が始まる前は沢山準備がいります。それから教師も中身を理解しておかないといけないので、始めてこの単元を扱う場合は、事前に7・8回分の範囲を勉強しておかないといけません。過去に授業を行った単元である場合は、大まかに内容を把握しておけば大丈夫です。
ただ、単元が始まってしまえば、生徒が準備をして、発表までしてくれるので、最後のまとめの授業以外は基本的にワークシートも作らなくてよいし、板書計画もいりません。
授業中も、教室内をうろうろして、発表内容のアドバイスや、タブレット端末の操作方法を教えたりするのみになります。
この単元を行っている2週間、毎回作っていたワークシートを作る必要がなく、ワークシートの点検もないため、定時すぎに帰ることが出来ます。同僚の先生方に何かあったのか心配していただけるぐらい、早く帰れます。


心配されること・注意点

① タブレット端末が必須

レジュメを手書きしていた時代は良いのですが、タブレット端末での発表準備にしたため、タブレット端末を忘れた、電池が切れた、なぜかWi-Fiに繋がらないなどの生徒が1時間なにもできなくなります。
タブレット端末がないと何もできないから忘れてこないように伝えていますが、それでも各クラス各時間1人か2人は何かしらの状態で使えなくなっています。
あまり良いことではないのですが、貸出用のPCを用意して対応しています。

② 間違った内容になっていないか確認が必要

教師としての自分はワークシートを作らず、説明も基本的にはしません。教科書がベースとなっているとはいえ、発表内容が正しいかどうか、重要なポイントが入っているか、確認する必要があります。Googleスライドの素晴らしいところが、生徒が準備している間に、教師も作業中のスライドを見ることが出来ます。毎時間全担当班のスライドをチェックして、内容について、不足があったり誤解があった場合は直接伝えに行っています。

③ オンライン参加組は難しい・・

最終ゴールが、「スライドを使った発表」なので、発表準備段階で、同じ班のメンバーがチームとして、発表内容を分担したり、アドバイスし合ったり、調整したりする必要があります。また、発表は質疑応答などもありやはり対面だからこそ効果があると思います。
たまたま1日だけ休んでしまった生徒は、ZOOMを使って、作業内容を打合せしていましたが、オンライン参加のみ生徒は、発表準備の3時間は何もすることができません。
ハイブリッド型のオンライン授業は今のところやはり授業の様子をただただ流すことしかできず、いわゆる「講義型」の授業が一番有効な気がしています。


そのぐらいです。説明が難しそうなところは、担当の生徒に事前に説明できるか確認しておけばよいので、この授業方法のデメリットはあまりないです。
全単元でこの形だととっても理想的だと思います。
が、教科書を読んだだけでは全く内容が入ってこない歴史は難しい気がします。地理はやろうと思えばどの単元でもできるのではないかと思っています。
1年に1単元分ぐらいは生徒たちに授業を作ってもらうことがあっても良いと思っています。
1,2年の内容ではできたので、3年の内容でもどこかでできないか考えてみたいです。…近代史はとっても厳しいので、公民かなーとなんとなく思っています。

同じようなスタイルで実践されている方、他教科でも小学校や高校でももちろん大丈夫なので、是非コメントいただけると幸いです。


 








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