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作品の紹介 ( 第5回、虎吉の交流部屋プチ企画 1/3 )

今週、実施させていただいた、「虎吉の交流部屋プチ企画」に投稿していただいた全記事を紹介します。
  (次回募集、10月23日(月)〜10月28日(土)


  💡 お題 : 秋の思い出


① 🌳 とび さん (大賞) 🌳


愛煙家の主人公は職場の目の前にある森のような公園に、喫煙所を見つけ、足繁く通うようになる。
ある日、喫煙所から出てきたご老人と会釈を交わしたことから、手紙等を通した「無言のやり取り」を通じて絆を深め合うストーリーです。

読み終わった時に、絆、という言葉がふいに浮かんでくるような感動を覚えました。孤独な主人公と同じく孤独なご老人。2人のやり取りの中にたくさんの優しさや感謝が込められています。

この物語の最大の特徴は、最初から最後まで一切2人は会って話すことがないという点です。
手紙等のやり取りだからこその温かさ、感情の強さが2人の絆を深めていきます。
この辺りに作者の発想の見事さが読み取れます。

こんなこと本当にあったら素敵だなと思いました。
決して孤独という寂しさの埋め合いではない、血の通った人間どうしの心の交流があるからだと思います。会って話さなくても気持ちを通わせ合うことができる。そんなことも考えさせられました。

最後の部分も思わず感情移入して共感させられるような締めくくりで、今回の応募作の中で一番、心を強く打たれたのが大賞の決め手になりました。


② 🌳 虎吉 🌳


みなさんと一緒に楽しみたかったので、今週もあつかましく参加させていただきました。

今回応募したのは過去記事で、社会人として初めてもらった初任給で1人暮らしを始めた時のお話です。
よかったらご一読ください。


③ 🌳 青豆ノノ さん (準大賞) 🌳


柿をテーマに書かれたオムニバス小説です。

どの作品も、短い物語の中に深い意味が込められていて、読み手の解釈の余地を存分に与えてくれる作品でした。

noterのひいろさんやアサさんもそのような作風の記事を読ませていただいたことあり、深く感動したのですが、今回の青豆ノノさんもそうした印象を強く受け、感動しました。
他の記事も今後、読んでいきたいです。

3本とも、おもしろいなぁと思える作品だったのですが、準大賞になった決め手は最後の部分でした。

くるくると巻き取るように柿の皮を剥いて、捨てる。
いらないもの。
汚いもの。
全部、全部、捨てられたら。

オレンジ色の柿を見て思った。
「オレンジ色じゃない。これは柿色だよ」

綺麗な柿色を今年も見ることができた。
汚れたものの中に必ずある。
きれいな柿色の、柿。

青豆ノノさんの記事より


僕はこの文章をこのように受け取りました。
一見いらないものや汚いものの中にも必ず大切なものや光るものがある。それを見つけられることがいかに幸運なことか知っている、と。

色んな解釈があっていいと思います。
素晴らしい作品でした。


④ 🌳 チズ さん 🌳


子どもの頃に通っていた小学校の横に生えていた椎の木を思い出しながら、秋という季節を振り返っていく作品です。

流れるような美しい文章で、読んでいるだけでチズさんの当時の田舎の風景にタイムスリップしてしまいました。椎の木の実が落ちてくる様子が目の前に浮かんでくるようです。

桐や椿、柿や栗の木などに混じり、普段は全くと言っていいほど、存在感のない椎の木なのだが、ひとたび秋がはじけて、アキアカネの大群が、いわし雲の下を南西へ南西へと向かって、ひたすら飛ぶころになると、きまって色づいた柿の葉とともに、椎の実がボロボロと大地に向かって踊り始め、椎の木の存在を再認識させた。

冒頭の文章。これほど美しい文章、僕も書いてみたいです。


やっぱり子どもの頃の思い出っていつまでも心に残りますよね。懐かしいような、どこか切ないよう
な。田舎って自然も多くていいですね。

秋の思い出というとつい色々書きたくなりますが、この作品は椎の木にまつわる思い出という1つのテーマで秋を思い出している点に感激しました。

味や匂いから思い出が呼び起こされ秋を振り返るお姿も目の前に浮かんでくるようです。

椎の木や柿の木、ご実家やお母さまの思いに至るまで、変わっていくものの中で変わらないものへの愛情も伝わってきました。

切なくもあり、清々しくもあり、とても魅力的な作品でした。受賞候補の作品でした。




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