若く苦く、そして誰でも共感できる
本当に好きな人ができるってこういうことよね、と思わせてくれた本がある。
それは森見登美彦著の『太陽の塔』という本だ。
随分前に読んだ本で内容は詳しく覚えていないが、京都の大学生を主人公にこちらが苦しくなるほどに若く、胸を締め付けられるような青春の恋愛を描く。
作者自身が京大卒で、京都をよく知る人は読みながら情景が浮かぶだろうなと思う。
最後の最後に主人公が彼女との思い出をただ羅列するシーンがある。
私はそのシーンが本当によく若い時の恋愛を現わしているなと思い、ノートに書き込めた。
物語を全て読んだ後のこのシーンだから効いてくるというのはもちろんあると思うのだけど、本当に好きな人との思い出って彼(彼女)がしてくれた特別なことでも、特別なプレゼントでもなく、記念日に行ったちょっとお高いレストランでもなく、日常のふとした瞬間のことだったりする。
主人公は彼女との色々なことを思い出す。
時系列に沿ってとか、連想とかそんなんじゃなくて、溢れ出すように自然に彼女のことを色々思い出す。
これから読む人皆にこのシーンを堪能して欲しいので、一行だけ引用させてもらう。
7月6日 木曜日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?