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SOSは突然やってくる①

朝7時、大急ぎで朝ごはんの準備をしているとインターホンが鳴った。

モニターで見てみると近所に住んでいる
息子そらくんの親友のしゅんくんが映っていた。
朝の通学班の集合時刻は7時50分。

呼びにくるにはまだ、早いのだ。
なにかあったのかな。
私はソワソワした気持ちで
モニターに呼びかける。
「おはよう。どうした?」

しゅんくんは、息を切らしながら
「SOS、SOS!大変だから助けて!!」

私はびっくりして、パジャマのまま
玄関まで走っていった。

しゅんくんの家に何か良くないことでも起きたのかと
胸がドキドキしているのを
感じながら
何とか落ち着かせようと、平常心で聞いた。
「どうしたの?何がおきたの?」


私が想像していた表情とは
少し違ったしゅんくんが立っていた。
「家の前の畑に車が突っ込んで
大変だよ!
お父さんやお母さんが押してるんだけど
動かないから手伝ってほしい。」
目をキラキラ輝かせながら、
早口で話しはじめた。

家の中で
テレビをぼーっと見ていた
そらくんが、物凄い速さで着替えて
私が答えるよりも先に
飛び出してきた。
「しゅん、行くぞ!母ちゃんは、
父ちゃん起こしてすぐに来るように言って。」
二人は何か真剣な顔で相談しながら
キラキラした笑顔で走って行ってしまった。

物凄い行動力だ。
誰かか困っている。
すぐ、行こう。
自分の今やっていたことや、
朝ごはんのこと、
学校に、行く準備なんて
彼らは、完全に頭にない。

目の前に起きた
日常にはない、
事件にアドレナリンがでているのだろう。
自分たちに何ができるわけでもなくとも
ただその現場に立ち会いたいのだろう。


私は冷静に、
父ちゃんは仕事に行く準備をしないと
遅刻してしまうし、
妹のさくらちゃんを起こして
朝ごはんを食べさせないと
と、すぐには動けない。

やることをやってから
できることがあるか、見に行こう。
そう思って
朝ごはんの準備に戻った。

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