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彼らは勤務が明けてもエンジ色の作業衣のまま街に出た。三菱で働くのはそれほど誇らしかった。

彼らは勤務が明けてもエンジ色の作業衣のまま街に出た。三菱で働くのはそれほど誇らしかった。
2023年11月02日
以下は本日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。

随分前に、世界中のプリマから大変な尊敬を受けているモナコ王立バレエ学校の老女性教授が来日した。
その時に彼女が芸術家の存在意義について語った言葉である。
『芸術家が大事な存在なのは、隠された、隠れた真実に光を当てて、それを表現する事が出来る唯一の存在だからです。』
彼女の言葉に異議を唱えるものはいないだろう。
高山正之は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであるだけではなく、戦後の世界で唯一無二の芸術家と言っても全く過言ではない。
一方、大江…彼については、故人を悪くは言いたくないが。
村上等、作家と称する人間達、自分達を芸術家だと思いこんでいる人間達の多くは、芸術家の名にも値しない存在なのである。
何故なら、彼らは、隠された、隠れた真実に光を当てて、それを表現する、どころか、朝日新聞等が作り出した嘘を表現して来ただけの人間達だからである。
彼らの様な存在は、日本に限らず、世界中の国においても同様なはずである。
つまり、真の芸術家とは、極少数しか存在していないのである。
私が、今の世界で、最もノーベル文学賞に相応しいのは、高山正之を措いて他にはいない、と言及している事の正しさを、本論文も見事に証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
見出し以外の文中強調は私。

素敵なスト
三菱自工が米国進出を決めたのは1980年代。
不況に苦しむ米政府から雇用の創出を、と頼まれたからだ。 
進出先のイリノイ州も税免除とか飛び切りの優遇を約束していた。 
でも行ってみたら約束も優遇もみんな反故。
米国人は開拓期、インディアンと370の条約を交わしたが、みな踏みにじった。
三菱は371番目だった。 
まあそれは堪えて工員を募集しラインを動かし始めた。
職場環境は日本と同じにゴミーつない。
福利厚生も厚かった。 
あの時代に年収5万㌦は破格で、ラインエに学卒まで応募してきた。 
中には元大学教授もいて、この人には相応しい事務職に就いてもらったと当時の幹部は語る。 
彼らは勤務が明けてもエンジ色の作業衣のまま街に出た。
三菱で働くのはそれほど誇らしかった。 
零戦のメーカーが作る車も人気が出始めたとき米政府機関、雇用機会均等委員会(EEOC)から妙な訴訟を起こされた。 
副委員長ポール・イガサキは「三菱の職場では男の従業員が日常的に同僚女性の胸を揉み、股間を弄り、壁は卑猥ないたずら書きで溢れている」
「女性蔑視の日本的伝統を米国に持ち込んだ」と訴因を発表した。 
彼はもともと日系への偏見を糺すNGOにいたところをクリントンに一本釣りされた。 
もろ日本人顔の彼が「日本は女性蔑視の国」と言えば説得力がある。
逆に白人がそう言えば明らかな人種偏見になる。
クリントンはその一事で彼を雇った。 
イガサキの告発を受けて米紙が騒いだ。
「日本には女の組立工はいない。日本では男が劣った女とは仕事をしないからだ」(ユーヨーク・タイムズ)とか朝日新聞並みの嘘っぱちを書き並べた。 
差別を嫌うジェシー・ジャクソン師も出てきて「日本人を差別しろ」と同調して三菱車の不買運動まで起こした。 
三菱自工は米国の官民挙げての中傷に驚くが、もっと驚いたのはセクハラの加害者と被害者にされた従業員たちだ。 
だいたい職場の壁に落書きなどないし、同僚に胸を揉んだり揉まれたりした人もいない。 
日本嫌いのクリントンは日本企業苛めを趣味にしていたが、米国人従業員を巻き込んだのは初ケースだ。 
まるで色情狂集団のように言われたことに従業員は本気で怒った。 
三菱も怒った。
ラインを一日止めて従業員に事実の有無を含めて話し合ってほしいと提案した。 
従業員側は「ではその日を使ってEEOCにデモをかけよう」となった。
三菱は感激して当日を有給とし、ついでに足も用意した。 
かくて2900人の従業員が60台のバスを連ねてシカゴに乗り込み、マディソン通りは三菱従業員のデモとシュプレヒコールに半日占領された。 
参加者にはセクハラ被害者のはずの女性も多く交じった。
EEOCの言うままに被害者ヅラしていれば何万㌦も貰える。 
それを投げうって日本企業のために従業員がデモをやった。
それに米市民は吃驚した。 
だいたいストといえば全米自動車労組(UAW)のように企業に要求を突きつけ、職場放棄してデモをかまして、が相場だ。 
米国で過去にあったどのストとも違う。
己の欲得でなく正義のための初めてのストだった。 
邪悪な米紙も一瞬は黙った。
しかし60台のバスの費用が三菱持ちと分かると論評は変わった。 
「三菱は逆らったらクビだと脅して企業擁護のデモを強制した」と各紙が筆を揃えて、デモの評価を切り崩した。 
苛めは復活し、三菱は米国に49億円もの和解金を払った。 
「企業のためのデモなどあるものか」と嘲ったUAWが今ストを打つ。 
要求は一つ。支那が流行らせた電気自動車はペテンだ。
企業は早く目覚めてエンジンのある車に戻れ。 
これは正論だ。


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