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日本サッカーとDAZNの功罪

日本サッカーはJリーグ開始、ワールドカップ出場に始まって、順調に力をつけてきたと思います。
今では多くの日本人選手が欧州リーグで活躍しており、日本人として嬉しい限りです。

そして、日本のサッカーファンはJリーグを愛しており、比較的にマナーも良く、順調とはいえないものの若い世代を中心にファン層を獲得していると思います。ところが、そんな状況の中で、水を刺す様な状況が生まれています。

DAZNの値上げ


DAZNはネットによるスポーツ配信の世界的トップ企業です。特徴はスポーツ関連に特化しており、格安で莫大な数のスポーツ番組を生で見ることができるということです。

ところが、DAZNはここに来て、運営コストの上昇を理由に世界的値上げをどんどん進めています。
これまで、各国では民法や衛星放送などがDAZNによって駆逐され、日本よりも寡占が進んでいます。
そんな中での値上げは批判を受けるところですが、海外ではインフレから給与も上昇傾向であり、それほど問題にはなっていません。

一方、日本でも同様な値上げが行われています。2022年は月々1925円だったのが、年々値上げされ、2024年2月から何と4200円になります。
欧米や経済の好調なアジア各国と比べて経済の低迷が続く日本では、その負担は看過できないものになっています。

悪いのはDAZNなのか、それとも景気(給与)を上げられず、逆に増税を標榜している岸田内閣なのか、それとも企業なのか?
その評価は難しい。
しかし、ひとつだけ言えるのは、このままだと、Jリーグはもちろん、日本のスポーツ界が衰退してしまうということです。

事情とは

特に莫大な放映権で契約したJリーグですが、思ったほど契約者が伸びず、それを補填するために値上げをせざるを得ないとの報道がされています。
多くのファン層がそのまま支払い続け、収益は増えると考えているのでしょうか。

欧州のサッカーファンはそうなのかもしれませんが、日本のJリーグファンでそうした熱狂的ファンはごく一部です。
多くは比較的に冷静でドライなファンなのです。
それは、日本代表戦をDAZNが独占し、現在アジアカップが行われている中、登録者数が増えるどころか逆に減っていることにも表れています。

つまり、日本におけるDAZNのビジネスモデルはほぼ崩壊したわけです。日本サッカー協会側も多額の契約金で毎年ホクホクだったわけですが、まもなくそういうこともなくなり、さらにJリーグ自体のファンも大幅に減少するという逆ザヤ状態が起こると思われます。

DAZNの功罪


DAZNはJリーグに莫大な資金を提供し、当初は視聴者を増やし、ファン獲得に寄与したことは否定しません。それは、バスケットボールやプロ野球だけではなく、比較的にマイナーなラグビーやバレーボール、F1などへも波及しました。しかし、これだけ値上げし、熱くなりきれないファンがどんどん解約すれば、そのスポーツの発展も頭打ちになるでしょう。

これまで民法は衛星放送も含め、プロ野球以外は中途半端な形でしかJリーグを放送してこず、ファン層の大幅拡大に寄与してきませんでした。それを低価格でマイナーチームでも全部見られるDAZNの功績は大きかったわけですが、DAZNが亡き後、日本のスポーツ界はどのように発展するべきなのでしょうか。

次世代のスポーツ放送

ひとつは「YouTube動画」の活用です。日本の音楽業界と同様にYouTube動画などでファンを獲得し、ライブ会場やコンサートに来る客層を増やすという戦略。特に、マイナーなリーグなどではより求められる戦略でしょう。無料とは言わないまでも安価に放映すれば、地域のファンを中心に確実に視聴者を獲得できると思われます。
JリーグではJ2,J3であっても放映権料という概念に縛られるため、逆にゲーム自体を観る人が大幅に減るのではないでしょうか。

DAZN自体が現在の衛星放送各社の様に個別のチームやリーグ別に切り売りして、その分、値段を下げる、複数契約させて利益を確保するという形のビジネスモデルに移行することが考えられます。
たとえば、プロ野球なら、セリーグ公式戦とパリーグ公式戦に分け、それにプラス交流戦と日本シリーズといった個別の組み合わせで料金設定を行うわけです。
筆者なら、F2だけ観たい(F1はフジテレビNEXTで観る)などです。
さらに、それならペイパービュー方式も考えられます。試合ごとにアプリケーションの様に都度アップルペイなどで支払うといった形です。

マイナースポーツやリーグはYouTube動画で、一方、メジャーなリーグは切り売りのDAZNもしはペイパービューで。お互いを補完し合うことができたなら、形を変えて日本のスポーツ界発展に寄与すると期待します。

なんにせよ、今のDAZNが行っているビジネスモデルが破綻したことだけは確かなようです。


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