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2023年8月の読書まとめ


読書数

読書数トータル---10冊

  • 紙の本---6冊

  • Audible---4冊

  • Kindle---0冊


ひとこと

7月に引き続き、めちゃくちゃ暑くて字が目に入って来ないし、夏休みでイレギュラーな行事が多くて、全然読書が進みませんでした。

それでも、冊数が少ない中で、私の読書スタイルである『リレーションを意識した読書』が出来ていたと思います。
リレーションを意識した読書(略して『リレ読み』)とは、本と本との共通点や関連を、意識的に見つけながら読んでいく事で、本から社会問題や世の中のトレンドを見つけていく読み方です。
今月から、各本の感想だけでなく、私の『リレ読み』についてもご紹介していきたいなと思っています。


今月読んで良かった本5冊の感想(読み終えた順)

ニッポンの正体;漂流を続ける日本の未来を考える 白井聡

私自身の予備知識の足りなさから、理解を進めながら読むのに少し時間がかかってしまったのですが、対話方式なので基本的には読みやすい形式の本だと思いました。
タイトルである『ニッポンの正体』についてですが、私たちが日本だと思っているものが実は違うものである、という事が書かれています。
当初は意図的であったのでしょうが、今では何を守ろうとしているのか認識出来ていない政治家によって守られている状態なのである、と理解しました。
日本とアメリカ、日本とアジアの関係について、俯瞰的に考えられる方に政治家になって欲しいものです。

世界と比べてわかる日本の貧困のリアル 石井光太

途上国の貧困は目に見えてわかる絶対的貧困で、日本の貧困は一見それとはわかりにくい相対的貧困である、という事はこれまで読んだ書籍などで学びました。
この本では、その2つの貧困について具体例を紹介しながら深掘りしていきます。
相対的貧困の問題点は、貧困が引き金となって心が貧しくなり、負のループに入ってしまう事。
それは個人の問題だけでなく、世代をまたがってループになっている場合もあったりします。そこから抜け出すには、誰かと心の通ったやり取りをするなど、ちょっとした事だったりすると思います。
私に出来ることは何かな。

ストロベリー戦争 南原詠

このミス大賞受賞の前作『特許破りの女王』の続編。2作目のこちらの方が格段に面白いと思いました。
前作は登場人物が多く、各人の思惑や権利関係など色々と盛り込み過ぎた印象でしたが、今回はシンプルに、いちごの商標をめぐる生産者と商社の攻防をメインに描いているところがわかりやすくて良かったですし、オチもお見事。
ある程度知識があれば、あるいは予想出来た読者もいるかと思いますが、私は全然思いもしなかった結末で、楽しかったし、勉強にもなるし、大満足の一冊。
今回は、相棒の姚の活躍があまり見られなかったのがちょっと残念だったかも。

名もなき毒 宮部みゆき

杉村三郎シリーズ第2段。同名のドラマも観ていました。
大昔に既読ですが、Audibleで再読(聴)。
主人公とその家族のおっとり感がなんとも言えず癖になるシリーズです。
意図せずして人生2回目の探偵もどき業に携わることになる三郎でしたが、調査中に出会った本物の探偵、北見氏の存在が、その後進む道に多大な影響を与えるのだな、と知っていて読むとそのあたりを深く読み(聴き)込むことができました。
ただ、この後でこの家族がどうなるか知ってしまっているので、三郎の家族とのやりとりが切なく感じてしまいます。
続編も聞く予定です。

日本の一番長い日 半藤一利

毎年8月には戦争に関する書籍を1冊読む事にしています。
今年は、先日読んだ『ニッポンの正体』で紹介されていたこちらの本を選んでみました。
終戦と昭和天皇の玉音放送を巡るドキュメンタリーですが、終戦時の総理大臣は東條英機と思い込んでいた私は、鈴木首相ってどなた?と、いきなり自分の無知さを思い知ることになりました。
言われてみれば、大昔日本史で習ったような気もしますが…。
また、玉音放送はてっきり生放送だと思っていたのですが、録音だったんですね。
戦争を終わらせようとした人、続けようとした人すべてが、『国体の護持』というひとつの目的のために行動していたのだなと感じました。


今月のリレ読み

※『リレ読み』とは、リレーションを意識した読書の略。
例えば、フィクションであるファンタジー作品とノンフィクションであるドキュメンタリー作品など、
まったく関係のない本と本との共通点や関連を、意識的に見つけながら読んでいく事です。
本から社会問題や世の中のトレンドを見つけていく読み方です。
  • 世界と比べてわかる日本の貧困のリアル 石井光太

  • 夜が明ける 西加奈子

今月読んだ、石井光太さんのノンフィクション『世界と比べてわかる日本の貧困のリアル』
タイトル通り貧困を題材とした著作で、絶対的貧困と相対的貧困の違いがとてもわかりやすく示されています。
この一冊だけでも皆さんにおすすめしたい本なのですが、リレ読みとして合わせて読みたいノンフィクション作品が、西加奈子さんの小説『夜が明ける』です。
私は昨年読んだのですが、こちらも貧困や虐待、ブラック職場など、人々の心を傷つける様々な『社会の歪み』がテーマである作品でした。
高校で出会った主人公と友人のアキ、二人が自分自身を蝕む環境から抜け出せず、蟻地獄のような人生を送っていく様に息が詰まりますが、読み応えのある一冊でした。

世の中で叫ばれている、格差や貧困にピンときていない人、もっと深く知りたいなと思っている人におすすめの二冊。
もしよかったら、合わせて読んでみてくださいね。

今月読んだ本一覧

  • こんな日は喫茶ドードーで雨宿り 標野凪

  • ニッポンの正体;漂流を続ける日本の未来を考える 白井聡

  • 世界と比べてわかる日本の貧困のリアル 石井光太

  • ストロベリー戦争 南原詠

  • 名もなき毒 宮部みゆき

  • アミュレット・ホテル 方丈貴恵

  • 神時間力 星渉

  • すごい言語化 木暮太一

  • 日本の一番長い日 半藤一利

  • Go To マリコ 林真理子


今読んでいる本

  • 極楽征夷大将軍 垣根涼介

  • この夏の星を見る 辻村深月

  • 頭のいい人が話す前に考えていること 安達裕哉

  • 鈍色幻視行 恩田陸

  • レーエンデ国物語 多崎礼

  • 黄色い家 川上未映子


来月に向けて

まだまだ残暑が続きそうですが、暦の上ではやってきました読書の秋。
8月中に読み終えるはずだった直木賞受賞作『極楽征夷大将軍』、、、9月こそ読み終えたいです。ちなみに、あと半分のところまで来ました。
また、それを読み終えたら、ずっと積読本になっていた鈍器本『リバー』に着手しようと思っています。

読むのを楽しみにしていた辻村深月さんの『この夏の星を見る』は、静かにゆっくりと読みたい本であるため、こちらも8月は全然進まずでしたので、9月には読み終えたいですね。
Audibleのライブラリーにも辻村さんの本を何冊か登録してあるし、面倒くさくて図書館に行けていないために上巻で止まっている『子どもたちは夜と遊ぶ』の下巻も読みたいし、私の中で辻村深月作品が渋滞中。緩和の方向に向かいたいと思います。

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