「お父さんみたいな人と結婚ね、まあいいんじゃない？別にありだと思うよ」の話　byとけいまわり

私はATフィールドがグダグダの人間なので、周りで誰かが叱られていたら自分も叱られた気になるし、誰かが泣いていたら自分も悲しくなるし、誰かが笑っていたら私も嬉しくなる。

だから、夫が子どもに歯磨きをしようとすると、「パパ嫌！ママがいい！」って言われているのが辛かった。
夫は全く動揺せずに、「そう？でも磨かせてね？」って歯磨きをして、「長女ちゃんは本当かわいいねえ、お口を大きく開けて賢いねえ～、お父さんは長女ちゃんの事が大好きだから歯磨きさせてくれて嬉しいんだよ」って歯磨きをしながら語りかけていた。
歯磨きタイムは、子どもを褒める時間だった。

そんなに一生懸命子どもと向き合っていたのに、子ども達はいろいろな場面で「パパ嫌！ママがいい！」と言った。
私はハッとして夫の顔を見たが、夫はいつもの穏やかな顔をしていた。

ある日、いよいよ「いやあああ！！！！ママがいいーーー！！！」と子どもが泣いて、床でバタバタし始めた。
夫を見ると、眉が下がって一瞬とても悲しそうな顔になった。
ああーーーー！！！夫が悲しそうな顔をーーーー！！！！
もう駄目だ。こんなに優しい人をこんなに傷つけて！！！！！

「もういいよ、私がやるよ」と言うと、夫は「それは違うと思う」と静かに言って、いつものように「よしよし、すぐ終わるよ」と言いながら歯を磨いた。

あの時、「もういいよ、私がやるよ！」と、歯磨きの係を全部私がやったら今頃どうなっていただろうか。

夫はできるだけ子どもと関わり、子どもを褒め、宿題を付き合い、子どもを抱きしめ、毎日部屋で子どもを肩車しては「天井に手が届いたね！」といって笑った。

今では、「お父さんみたいな人と結婚するのどうよ」と聞いたら、長女が「お父さんみたいな人と結婚ね、まあいいんじゃない？別にありだと思うよ」って真顔で言う。

夫が腕立て伏せをしていると、3姉妹みんなで上に乗って「お馬さん！」って言って「パカパカして！」って笑うし、合計60kgは超えてるのに夫もパカパカし出す。

そして、末っ子が「パパァアア！磨いてえ～！」と歯ブラシを持って夫の足に絡みつくのだ。