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「夫とハグをした話」 byとけいまわり

この前Superflyのコンサート行ってきましてね
電車で片道二時間弱
「夫とこんなに二人きりでいることなんてひさしぶりすぎる。電車の中で何を話そう…やべえ…」って頭グルグルしてたら、
電車の中で席が2つポツンポツンと離れて空いてたのでバラバラに座ったのね。

お互い「へへっ、じゃあ…」て感じになって、本とか読んでぼんやりしてたのよ。
夫が何か歴史の難しい分厚い単行本で、私は林雄司さんの「死ぬかと思った2」ね。ちょっときわどいページはささっとめくって読んでたら電車が到着して。

コンサート会場に着いたら夫が「ファンクラブの更新してくる」って長い列に並んだのね。一緒に列を待ってたら「先に席に座ってなよ」と言ってきた。コンサートとか初めてだから、挙動不審な感じでオロオロ会場入りして席で一人待ってたのね。
私達はそれぞれにぼんやりすることに慣れてしまっているから、こんな時にどんな事を喋ればいいのか分からない。

しばらくしたら夫がやってきて隣に座った。曲が始まるまでまだ40分もあるから、パンフレットとかアンケート用紙とか、とにかく何でもいいから文字を読みあさった。「あ~、人が増えてきたね~」ぐらいの見たら分かることをボソボソ話して、「二人でキャッキャしてじゃれ合ってた日はもう遠いな」って思った。

そしたらSuperflyのコンサートが始まってね、夫も私もド真面目キャラだから縦にとか乗れないのよ。
ぎこちなく横に手をカクカク振ったりしながら曲を聞いた。
体が勝手に踊り出しちゃう!って人を「いいなあ」って思いながら、「いええーーーい!」とか「ふーーー!」とか周りに合わせて言ってみる。めっちゃ慣れてない。

最後に「愛を込めて花束を…」って歌が始まった。そうだ、私一回だけ夫から花束もらったことがあったな。夫が単身赴任をしていて、一人で子どもを3人抱えてたときだった。保育園の帰り道に、お花の配送の人が「あ!今お帰りですか!」って道ばたで渡してくれた花束。

カードが刺さってて、「愛してます」って書かれてて、いきなりトップスピードで泣いちゃたから配送の人を困らせちゃったやつ。

今でも夫は私の事好きなんかな。もう、だいぶんおばちゃんになっちゃったからなあ。私の事そんなに好きでもないけど、子どもがいるから今も一緒に暮らしてるんかもなあ。毎日仕事ですれ違って、「あ~もう寝るね~」ぐらいしか会話してない事多いからなあ。

色々考えながら曲を聞いてたら、涙で顔がベタベタになった。

そうだ、今日帰ったら夫とハグをしよう。

そう決めたら、帰りの電車の中でドギマギした。
会場には17460人も人がいたのに、電車はそんなに混んでなかった。
私達は隣同士で座って、本を読んだ。
帰ったら夫とハグをしよう。

家に帰ると、夫はお父さんモード全開になった。
頼んでいたファミサポさんにお礼を言って、長女を抱きしめたり、次女を肩車したり、末っ子をくすぐったりしていた。
よし、私もこの勢いで夫とハグしようと思ったが声が出ない。
「ハグして」って言ったとき、「いいよ」と言いつつもちょっとめんどくさそうな顔をされたらどうしよう。

時間が経って、子どもも二階に上がった。
子ども達が「おかーさーん、一緒に寝よー!来てー!」って上から呼ぶ。
まあいいか。別にいつもハグなんてしてないし。
でもなあ…今日は勢いで夫とハグできるかもなあ。
でもなあ~「はいはい」って顔でおざなりにされるのもなあ…
私、すっごいおばちゃんだしなあ…

とりあえず無言で夫の前で両手を広げてみた。
夫は瞬時にニコ!!!ってなって、顔にくしゃくしゃのシワをよせて、笑って私をハグした。
何度もポンポンって背中を叩いて、私が満足するまでずっと抱きしめてくれた。
ありがとうSuperfly…
巡り巡って時が越えていく


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