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継続の力を信じる

毎日1時間、通訳学校の勉強をしています。通訳学校も結構上のクラスになってくると1日1時間くらいの勉強じゃ全然足りないという意見もあるでしょうが、それは一旦置いておきます。今日は、毎日継続して勉強する中で考えたことについて書こうと思います。

私は継続が大の苦手です。自分で決めたことも大抵続けられずすぐやめてしまいます。昔から結構器用な方で、求められるタスクの習得は早かったので、それでもなんとか色んなことをやり過ごしてきました。小中学校の勉強だってそんなに苦労しなかったので、コツコツ勉強するという習慣がつかず、高校以降は結構苦労しました。似たような方、多いのではないでしょうか。

なまじコツコツする努力を避けて生きてこられたということは、苦手なことやできないことを避ける人生だったとも言えます。そんな私が通訳学校に入ったのは、このスキルが容易に身に付くと舐めていたところがあったからです。事実、通訳学校に入学してから一学期目はかなり余裕があって、物足りないとまで思っていました。単語テストがあったのでそのための勉強はしましたが、授業を聞いていて分からないことなんかなかったし、学期が終わってみれば次のクラスの学費の一部をカバーする奨学金までいただきました。

問題は二学期目となる今期でした。第一回目の授業から、私は落ちこぼれました。教材の内容が複雑になり、一文の長さが先学期の倍くらいに長くなると、私は聞いたことを何も訳せなくなりました。他の人が苦労しながらもちゃんと訳出していく中、先生に当てられた私は「すみません、内容が頭からとんでしまったのでもう一度聞かせてください」と言いました。恥ずかしかったし情けなかった。その場にいる人の中で一番できないという経験を初めてしたかもしれません。このクラスでは、ついていくために絶対予習復習が必要でした。

先述した通り、私はコツコツ努力するのが苦手です。でも、今毎日1時間でも勉強を継続できているのは、アカウンタビリティ・パートナー(スタディ・バディ)がいるからです。私は友人に頼んで毎日1時間同じ時間に一緒に勉強してもらっています。その子にも目標があって、私とは違う内容の勉強を毎日続けています。私たちは決まった時間になるとメッセージを送りあって、その日の勉強を始めることを宣言します。そして、1時間経って勉強が終わると、その日の首尾を報告し合うのです。正直、彼女がいなかったら毎日勉強できていたか分かりません。私は色んな理由をつけてすぐサボってしまうので。継続が苦手な私のような人間には、このような仕組みの構築が有効でした。

先週の通訳学校の授業では、予習復習の甲斐あってこれならなんとかついていけるのではないかと思えました。そして、今後授業についていくためにはこれからもこのように毎日勉強しなくてはならないという事実にうんざりしました。でも、1日1時間の勉強は、集中していたらあっという間だし、本当にわずかだけど毎回何か新しくできるようになることがあります。少なくとも今学期中はこの習慣を続けられたらいいな、そして学期の最後には今できないことが少しでもできるようになっているといいな、と思います。

有名な「ウサギとカメ」の話で言えば、私は間違いなくウサギタイプです。小器用で色んなことがどうにかなってしまうので、努力をしません。学生時代もそうでした。人間、簡単にできてしまうことは舐めがちです。だから、地道に取り組んでその道を極めたりはしないのです。しかも、ちょっとでも難しそうなことは、その時必要なければ避けて通る。

この歳になって振り返ってみると、これは本当に愚かで不幸なことだったと思います。周囲を見てみると、何かを成し遂げた人は軒並みコツコツ努力しています。できなくても、放り投げたりしないのです。

正直、通訳の勉強はしんどいです。自分のできないこと、苦手なことに向き合わなくてはならないからです。私は瞬発力に欠け、記憶力が悪く、表現力も乏しい。Twitterでよく見る語学の勉強をコツコツする人たちもこんな気持ちなのかなと想像します。全然英語が分からないところからTOEIC900点を取りました、みたいな話を聞くと、英語力よりもその不屈の精神に感心します。だって、努力が実を結ぶとずっと信じてたってことじゃないですか。

私の弱いところは、成果が保障されていないと何事にも労力を割きたくないところだと思います。このまま通訳の勉強を続けたとして、教材レベルの難度の内容をプロとして通訳できるようになる保障なんてありません。でも、それでやめてしまっては人間としての成長がないままです。通訳の練習は、「成果が出ないかもしれなくても取り組むこと」の練習でもあります。継続には力があると信じられたら、何事にも後ろ向きになりがちな私の中で何かが変わる気がします。

継続の力を信じることは、言うほど簡単なことではありません。不安や疑いをねじ伏せつつ、実際に実行し続ける強さが私は欲しい。通訳になるならないは一旦気にしないことにして、少なくとも今期はできないことに向き合い、くらいつき続ける経験を楽しもうと思います。

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