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わかりやすい!漢方薬Vo.3〜くすり箱にあると便利な漢方薬①葛根湯

今回から、ドラックストアやネットなどで購入できる漢方薬について、少し詳しくみていきましょう。

日本漢方の考え方では、『この症状があればこの漢方薬』という選び方をするのですが、今回は中医学的な考え方を交えてご説明していきます。


葛根湯


葛根湯の中医学的な解説

頭が痛い、節々が痛い、寒気が強い、鼻水や鼻詰まりがひどくなってきた・・という場合には、からだを温めて体温をあげ、戦う力をアップする必要があります。

風邪をひいたときの初期の症状は、症状が内部(内臓)ではなく、表面(鼻や喉など)に現れるため、中医学の基礎講座でご説明した『表証』
でからだが外部から侵入してきたウイルスや細菌と闘っているため、『実証』に該当
します。

寒気や悪寒があれば、寒邪によって体表部位が侵されているため
『表寒実証』ということになりますね。


表寒実証:寒気・頭痛・鼻水(サラサラ)・くしゃみ・喉が痛い など

体力がある方の、援護射撃として使うのが『葛根湯』なのです。


葛根湯が合わない風邪の症状


葛根湯は、自分でウイルスや細菌と戦うための力が残っている方の援護射撃をする漢方薬です。

風邪をひいて食事もできず、熱を出すための体力もない・・ずっと寝ていたい・・という方には葛根湯は適しません。

また、葛根湯だと胸がドキドキして合わない、ゆっくり寝たいのに眠れない などと訴える場合にも葛根湯は適しません。


葛根湯の生薬の構成


葛根湯の生薬構成

葛根湯は、からだを温めるはたらきがあり汗として外邪(病原菌)を体外に出すはたらきがあるため、飲むとからだがポカポカしてきます。

また、芍薬・甘草という、筋肉の緊張をやわらげる生薬が入っていて、特に首から肩にかけての痛みやコリにも効果があります。

葛根湯が合わない可能性がある方

●日頃から胃腸が弱く、食べるとすぐに胃もたれやむかつきなどが起こる方●心疾患がある方(動悸・息切れなどが起こりやすい方)
●血圧が高い方(高圧剤治療中も含む)
●コーヒー、紅茶などを飲むとドキドキする方(カフェインに敏感な方)
●コーヒー、紅茶などを飲むと眠れなくなる方

は、服用する際には注意が必要です。

ご自身で判断せずに、薬剤師に相談の上購入しましょう。


葛根湯を服用する際の注意点


葛根湯は、体温をあげることにより、体の免疫力を上げ、じんわりと汗をかかせて病邪を発散させる(これを解表と言います)ことで、風邪の症状を和らげます。

頭が痛いから、熱があるからといって、市販の痛み止めを一緒に飲んでしまうと、思うように体温を上げることができず、葛根湯の効果が弱まってしまうこともありますので、痛み止め(いわゆる解熱鎮痛薬)とは一緒に飲まないようにしましょう。

また、より効果を高めるために、エキス剤であればお湯で溶かし、生姜の絞り汁を少し入れて飲むとより汗が出やすくなります


生姜のしぼり汁を入れると発汗力アップ!

汗は、じんわりとかく程度にし、汗をかいたと感じたらそれ以上葛根湯を飲む必要はありません。暖かくして布団で横になりましょう。(こまめな水分は必要ですが、胃腸に負担がかからなように常温以上の水分補給をしましょう)

葛根湯は、慢性疾患(鼻炎や神経痛など)に使われることもありますが、自己判断での長期服用はしないでください。
長くても3日、3日飲んで症状が回復しなければ病院を受診しましょう。




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