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わかりやすい!漢方薬 Vo.2〜注意が必要な生薬〜

漢方薬には副作用がない?



ほとんどの漢方薬は、適切な量を適切な期間使用する場合には、西洋薬に見られるような重篤な副作用はありません。


 一般的には、『地黄』などの滋陰薬=からだに潤いを与えるはたらきのある生薬は消化不良を起こしやすいため、生姜や大棗といった消化機能を高める生薬を一緒に入れて胃もたれを防いだり、乾燥させやすい性質を持つ生薬は、潤いを与えるはたらきのある生薬と一緒にするなど、漢方薬自体に副作用を防ぐ工夫がされています


ただし、体質によっては、副作用が強く出る場合もあります。


漢方薬を購入する際に、特に注意するべき生薬は5つ


●麻黄(まおう)

麻黄(まおう)が入っている漢方薬
例:麻黄湯・葛根湯・小青竜湯・越婢加朮湯

麻黄には、交感神経を興奮させる『エフェドリン』という成分が入っています。
このエフェドリンを発見したのは、日本人の化学者 長井長義(ながいながよし)さんです。

エフェドリンには、動悸・頻脈・寝つきが悪くなる・血圧上昇などのはたらきがあり、心疾患・高血圧の方やご年配の方には注意が必要です。

●大黄(だいおう)


大黄は、瘀血を治療する代表的な生薬ですが、下剤としても使われており、腸を刺激して腸管運動をスムーズにするはたらきがあります。

大黄が入っている漢方薬を軟便・下痢気味の方が飲んだ場合には、下痢が悪化することもあります。
また、妊娠中の方は避ける必要があります。

●地黄(じおう)

地黄は、生命力の源である『腎』を養いからだに活力を与えるものとして
八味地黄丸や六味地黄丸などのエイジングに伴う症状を軽くする漢方薬に配合されています。

胃腸が弱い方では、消化に負担がかかり胃もたれを起こすことがあります。
そのような場合には、食後に服用したり、胃腸のはたらきをサポートする漢方薬を先に飲んでから地黄を含む漢方薬を飲むなどの工夫が必要となります。

●附子(ぶし)

副作用として、動悸・のぼせ・舌のしびれなどが報告されています。

ブシは猛毒、『トリカブト』のことですが、ドラックストアで購入できる漢方薬には無毒化したものが使われているため、ほとんど副作用の心配はありません。
ただし、からだを温める力が強く、お子様には適さない生薬ですので、子どもさんが飲む場合には注意が必要です。


●甘草

甘草、またはその主成分である『グリチルリチン』は漢方薬だけではなく、その他の医薬品にも配合されています。

知らずにいくつかの漢方薬・医薬品を一緒に飲んでいる場合、1日にとる量が極端に多くなった場合には、『偽アルドステロン症』が起こりやすくなります。

 


偽アルドステロン症とは? 

アルドステロンは副腎から分泌され、体内に塩分と水を溜め込み、カリウムの排泄をうながして血圧を上昇させるホルモンです。
このホルモンが過剰に分泌された結果、高血圧、むくみ、カリウム喪失などを起こす病気が「アルドステロン症」と呼ばれています。 
「偽アルドステロン 症 」は、血中のアルドステロンが増えていな いのに、「アルドステロン症」の症状を示す病態です。

【厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアル】 


甘草やグリチルリチンは、漢方薬、かぜ薬、胃腸 薬、肝臓の病気の医薬品などに含まれています。 

高齢者では若い方よりも起こりやすく、また病院でもらうステロイドホルモンや、利尿薬との併用で『偽アルドステロン症』が起こりやすくなる場合もあります。

*甘草は、医療用や市販されている多くの漢方薬に入っていますが、医療用医薬品の「芍薬甘草湯」には特に量が多く入っています。


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