見出し画像

専門家目線になる漢方薬の使い分け11〜ダイエットに使える漢方薬〜大柴胡湯


大柴胡湯の合うタイプ



大柴胡湯は、前回の『防風通聖散が合うタイプ』と同じ、「胃腸の消化・吸収能力以上に食べ過ぎてしまっているために、痰湿がたまり体重が増えてしまっているタイプに適する漢方薬です。

では、何が違うかというと、大柴胡湯はその名前の通り、『柴胡』がメインとなった漢方薬で、いわゆる ストレスで食べ過ぎる! という方にピッタリの漢方薬。


生薬の「柴胡」は、ストレス緩和や自律神経の調整、炎症の抑制、抗アレルギー作用をもつ生薬で、特にストレスが身体に負担となっている時に役立つ生薬です。

大柴胡湯は、骨格ががっちりしたタイプで、熱がこもりやすく(暑がり、冷たいものをよく食べるなど)、ストレスによって高血圧や糖尿病などの生活習慣病が悪化しやすい状態に良いとされています。

このタイプでは、気血のとどこおりがあるため、かなり頑固で慢性的な頭痛や肩こりが起こりやすいことも特徴です。


また、気の流れが悪くなっているため、胸につかえる感じがあったり、胃や脇がはって苦しいということが多いです。

『炭酸をよく飲む』『ため息が多い』なども気の滞りが原因です。

また精神面ではイライラしやすく、興奮しやすい(何かあるとカッとしやすい)ことも特徴です。

大柴胡湯を構成する生薬

柴胡:肝気のめぐりをよくして鬱々した気分を除く 
黄芩:体内の余分な熱を除く
半夏:痰湿を除く 
芍薬:血を補い、筋肉の緊張を和らげる
枳実:痰を除き、気のめぐりを良くする
大黄:熱を冷まして、めぐりを良くする 便通改善
生姜:痰湿を除き、胃腸の働きを良くする
大棗:血を補い、胃腸の働きを良くする


柴胡と黄芩の組み合わせが含まれる漢方薬は、『柴胡剤』と呼ばれており、特にイライラしたり、興奮しやすいといった精神神経症状を抑えたり、抗炎症作用や抗アレルギー作用を目的とした漢方薬に配合されることが多い組み合わせです。


大柴胡湯を使うなら、『便秘』があることを目安に!



大柴胡湯には、体内の熱を冷ます働きがあり、体内にこもった熱と気のとどこおり除きます。

また、血のめぐりを良くするのと同時に、便通をよくして便秘を解消するするはたらきがある『大黄』が含まれます。

なので、便秘の方に良い方剤です。



反対に、体の冷え(手足や腹部など)があったり下痢や軟便の方には適していません。

その他



「大柴胡湯」という漢方薬名の他、小林製薬から、「ビスラットゴールドEX」、クラシエ製薬株式会社から「コッコアポG錠」としても販売されています。


防風通聖散よりも、構成生薬数は少なく、精神面でのイライラなどの解消や便秘の解消の効果は比較的早い段階で実感できるでしょう。

瀉下(下剤として使われる)作用のある『大黄』が入っているため便秘があることが大前提ですが、該当するようなタイプで便秘があまりない場合には、『大柴胡湯去大黄』という、大柴胡湯から大黄が除かれたものをおすすめしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?