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UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビの石油施設がドローン攻撃されて死者が出た件

 外信は、死者重傷者が8名に及び実行犯による犯行声明が既に出されたと報じています。

 その主体は?

1   イエメン国内でサウジアラビア相手にかれこれ7年間戦っているアル・フーティー派

  あまり聞きなれない名前なので、少し詳しく説明します。

  イエメン国内ではこれまでも各種内戦が行われてきましたが、2015年頃からイランをバックにしたアル・フーティー派という戦闘勢力が首都サナアを陥落させるなどして現在もイエメン国内の一部を占拠するとともに、サウジアラビアの背後から同国との交戦を続けています。

  戦闘が長期化していることから最近では学徒出陣ならぬ、少年兵まで動員する事態に陥っており国連も憂慮しているとのことです。

  詳しくは私のYoutubeをご覧ください。

  https://youtu.be/Q5KPqfPMPb0

2  これがあろうことかUAEの首都を攻撃してしまったという話

  私の知る範囲内では、これまでUAEが他国から爆弾などで攻撃されたという話は独立以来皆無ではなかったかと思います。

  そのUAEに対して大胆にも、それも首都アブダビの石油施設とは。

  ご存知の通りUAEはサウジに次ぐ産油国であり、とりわけアブダビ首長国は石油収入が国家歳入の80%以上を占めるという重大産業であるところその施設を狙ったテロ攻撃という、いわば前代未聞の出来事が発生してしまったということです。

  今の所UAEによる政府声明が出ていないことから今後どのような報復措置をUAEがとっていくのかは判然としませんが、この件タダで済むとは思えません。

3  今後の展開予想と主なプレーヤー

  上記のイエメン国内アル・フーティー派はイランの代理として戦闘しているのでここでは数に入れないとして

  🔹 サウジアラビア

  🔹 アラブ首長国連邦(UAE)

  🔹 イラン

  🔹 イスラエル

辺りが今後の同地域におけるメインプレーヤーになってくるのではと思っています。UAEが今後も積極的にイエメン問題に関与してイランとの対決姿勢を明確にすればイランとの関係もさらに悪化することが予想されます。

 これに、最近UAEと国交樹立したイスラエルがイランを共通の敵として参戦することも考えられます。

 そうなれば、サウジアラビア・UAEなどのイスラム教スンニ派連合軍VSシーア派筆頭イランという構図にイスラエルが加わり混沌状態に陥る可能性も否定できません。まして、これに米英が加わると。。。。

4  東アジアでは北朝鮮のHGV、中国の台湾問題、ロシアのウクライナ

  上記のUAE攻撃問題に加えてこれらの一触触発問題が同時に進行しつつあるなど、2022年は波乱の幕開けとなりましたね。

  本気でイランが対スンニ派シフトを取るならば、ホルムズ海峡閉鎖という日本にとっては最悪のシナリオもオプションとしてあることを忘れてはなりません。

  どうも中国、イラン、ロシア、北朝鮮は米国の出方を窺っているようですね。極めて短期間の間にほぼ同時に四面で米国の関与を試すような動きが見られます。米国がそれぞれのディメンションで武力介入するのか?

  それとも口先だけで実力行使してこないのか?

  現在米国内での支持率低下(40%を切ったとの調査結果も)、米国民主党内における造反、カマラ・ハリス米国副大統領の不評など問題山積のバイデン政権がこの難局をどう乗り切るのか?

  そして日本の役割は?

  21日の日米テレビ首脳会談で経済安全保障政策の強化(日米経済2プラス2の創設)、Quadの実質的強化によるインド太平洋地域の安全保障強化など将来へ向けた日米の建設的な意見交換が行われたようです。

  今後の推移を見守りたいと思います。

    

    

   

   



  

  

  

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