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いよいよか?日本のファイブアイズ入り

 昨年誕生した岸田政権が矢継ぎ早に打ち出す数数の政策の一つ、経済安全保障。

 これまでのどの政権も実現しなかった(できなかった)この機微情報流出に関する歯止め政策はなぜ今この時期に本格化したのか?

1  ファイブアイズについて

 ファイブアイズとは?

 第二次世界大戦のミッドウェー海戦をご存じだろうか?あの日本海軍が大敗して以後の戦況・形勢を一変させた有名な海戦だ。

 敗因は諸説あるが、米国の日本軍に対する暗号解読能力が格段に進んでいて日本軍の動きは全て「筒抜け」だったという。山本五十六元帥が乗機した航空機が急襲を受けて墜落した件もこの暗号解読によるものと言われている。

 この米国の通信傍受体制をそのまま引き継いで現在に至るのがNSA(国家安全保障局)でありこの技術を基盤とする体制を英語圏アングロサクソン諸国で共有するというスキームが「ファイブアイズ」である。

 加盟国には、英国・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドでこれに米国を足して「ファイブ」となる。

 加盟国は世界中に傍受網(エシュロン)を整備して収集した情報を各国情報機関にて共有して政権のディシジョンメイキングに活用しているという話である。

 最近の出来事では、豪州がフランスと進めていた原子力潜水艦の建造に関する条約を破棄して米国からの技術協力に乗り換えたこともファイブアイズの実利的な結びつきを示唆するものとして注目される。

2  ファイブアイズに日本が加盟?

 平成の時代における中国の台頭と香港返還後における数々の諸問題はこれまで媚中政策を展開してきた英国に冷や水を浴びせ、ようやくジョンソン政権に至って「正常な」対中姿勢に軌道修正されているように見える。

 その英国が中国と至近の極東地域に位置し中国との関係も歴史的にも文化的にもファイブアイズとは 比較にならないほど深い関係にある日本に対してファイブアイズ参加の秋波を送ったとする記事が日経新聞に掲載され当時話題となった。

 現時点でも日本の防衛省がファイブアイズに傍受情報を供与しているものとみられることから、今後日本がファイブアイズに加盟する可能性は排除できないのではないか。

3  日本側の問題点

  ファイブアイズに加盟すればこれらの国々が有する(収集する)数多の傍受情報を共有できるという大きなメリットがあることは言うまでもないが日本側には以下の問題点が存在している。

 🔹 対外情報機関の不在と有効情報の欠落

    これは情報共有するコミュニティつまりファイブアイズ加盟国にとって致命的かつ決定的な不安要素である。

    対外情報機関を有しない日本から有益かつ国策に反映できる有効情報を取得できるのか?というファイブアイズ側の懸念を払拭するだけの体制が日本に存在していないことが最大のネックであることは言うまでもない。

    まずは日本に対外情報機関を創設することが先決かと。

    さもなければファイブアイズ加盟国からの信頼も得られず加盟そのものが頓挫することとなる。

    日本は過去にも米国のイージズ情報という超機微な情報をまんまと中国に掠め取られた苦い経験(※ 海上自衛隊員が中国のハニートラップに嵌った件)と稚拙な情報管理体制があり米国からの信頼を大いに失墜したこともありこの失墜した信頼を回復するのは容易では無いかと。

  🔹 情報アクセス権限の整備

     日本には上記の「イージズ情報漏洩」事件という暗い過去があることからより一層厳しい機微情報へのアクセス権限の整備・構築が喫緊の課題となる。これには相当の時間を要するものとみられる。

  🔹 対中政策

     日本のファイブアイズ入り=中国への敵視 という図式が成立することになり中国側からの猛反発と報復が容易に予想でき、今後の日中関係に多大なる影響を及ぼしかねないことから安易な加盟判断は禁物でここは慎重かつ難しい判断が要求されるかと。

4  岸田政権が打ち出した経済安保政策の意義

  こうしてみると、岸田政権の経済安保政策と強化はファイブアイズ加盟への布石地ならしと見ることもできなくは無い。

  まずはこの政策によって国内(国民)の意識を改革

   ▶︎ 国民の「機微情報」の取り扱いに関する認識・スタンダードを上げ

   ▶︎ファイブアイズ加盟国への安心感の付与

  と段階的にステップアップしてゆけば日本のファイブアイズ加盟も絵空事ではなくなるかも。

5  時間の猶予は無い

  報道によれば中国の習近平が12月31日の「2022年年頭所感」で台湾問題について「祖国の完全な統一は両岸の同胞(中国と台湾)が共に願っていることだ」と昨年の年頭所感にはみられなかった台湾問題についての欧米各国の関与を完全否定する発言を行なっていることから、遅くとも2027年の人民解放軍建軍100周年までにはこの「所感」実現に向けた具体的行動が行われる可能性は排除できないものとみられる。

 時間の猶予は無い。













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