犯歴証明書の話と、前歴証明?の話。どこが違うの?
前回は犯歴証明(正式には「犯罪経歴証明書」。「警察証明」とも言います)を取得する際のプロセスを詳しくお話ししましたね。今回は、犯歴証明と前歴証明の違いについてお話しします。
1 犯歴証明とは?
警察が発行する「この人はこれまで警察に逮捕されたことはありませんよ」という証明書。それぞれの都道府県警察本部長(東京都は警視総監)又は警察庁長官名で出される公的文書のことで、被疑者として逮捕された際に採取される「指紋」をもとに警察が持つ膨大な記録をチェックして、その結果を報告書として皆さんにその事実を証明するものです。犯歴がある方は、「あり」と記載してあります。気になるところではありますよね。自分が犯歴あるかどうか?ただし、証明書が発行される際は封がしてありまして開封した犯歴証明書は無効となりますので注意が必要です。絶対に開封しないでくださいね。まあそもそも論として嘗て自分が警察に逮捕された事実がない方なら「犯歴なし」で回答されますので心配ご無用ですよ。あと、外国に居住している方々は日本の在外公館を通じて所定の県警本部に請求できます。
2 前歴証明書とは?
これに対して「前歴証明書」というものがあります。これはどこの官庁が発行するのでしょうか?
答は「検察庁」です。理由は、次のとおりです。
🔹 警察は法執行機関であるが、起訴権限を有していない。逮捕した被疑者は必ず検察庁に送致(全件送致主義。マスコミは「送検」と言いますが)するまでが警察の仕事であとは検察官任せ(起訴、不起訴など)
🔹 起訴権限は検察にあり起訴した事件で裁判官が出した判決が「前歴」「前科」として記録されるため、警察は送致後の事実をフォロー或いは記録管理する権限を有しない。記録を持っているのは検察庁。
つまりは、「犯歴証明書」は「被疑者」の段階で警察において指紋などの個人資料を保管管理しているので警察が発行権限を有しますが起訴後の判決によって決まる有罪無罪、有罪の場合の刑に関する情報となる前科・前歴は検察のマターであり、警察はこれに関与できないという事実。これ案外現職の警察官も知らないことがあるんです。
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