日曜劇場「ドラゴン桜」と水平思考

 「下町ロケット」でお馴染みの阿部寛が主演の「ドラゴン桜」。出来の悪い生徒を東大合格させるため「あの手この手」で個々の個性を引き出し、やる気を惹起させてゆくという痛快学園ドラマです。毎回実際に出題された東大の過去問を例に引いて各科目ごとの「東大合格へ向けた戦略」とものの考え方が紹介されるのが「お約束」ですがこの戦略が実に水平思考的で興味深いのでご紹介します。

1  従来型のガリ勉(垂直思考)を否定、合理的かつ科学的な勉強法(水平思考)を紹介

 ドラマでは、優秀で出来の良い兄貴達に対して劣等感を抱き、ひたすらガリ勉と自己流・独りよがりのやり方で東大合格を目指す、言わば垂直思考で従来型の勉強法に固執する学生が主人公の提唱する水平思考的な勉強法により開眼していく様が描かれています。従来型の闇雲な「掘り下げる」勉強法が東大合格の王道ではなく「理論的かつ科学的な勉強法と生活習慣」こそが本当の王道であり、それがひいては勉強時間の合理的な使い方となり、更には受験勉強が無駄ではなく将来の人生に役立つ意義あるものであることも教えている、そんな大変興味深い内容になっています。

2 コーチングの大切さ

 暴走族上がりの弁護士という型破りな設定の主人公が、弟子の女弁護士(前シーズンで登場していた長澤まさみ。出来が悪かったが主人公の指導により見事東大合格して司法試験に合格したという設定)と共に個性の強い学生相手に毎回勉強法などをコーチングする場面が多用されているが、このコーチングの根底に流れているのが相手が歳下の学生であろうと相手を尊重する人間愛とその個性を生かした勉強法を個別に教示してそれぞれの個性に応じたやり方を開眼させて導いてゆく考え方です。これは、企業の経営者などビジネス界でも応用できそうなコーチング法ではないのかと毎回感じながら番組を楽しんでいます。

3 水平思考とコロナ禍

 2020年の年初から世界を揺るがしているコロナ禍。この災禍を悲観ばかりせずチャンスとして捉えて現状維持或いは成長している産業企業には自身が置かれた現状を深掘りするのではなく、周りを見渡し創造的かつ革新的なやり方を導入する何かしらの「水平思考」が生かされ成功しているのではないかと思われます。      1970年代にエドワード・デボノ博士によって提唱された「水平思考」は、このコロナ禍の今こそ活用されるべき考え方ではないかとつくづく感じさせられます。水平思考は、先天的な能力ではなくパズルやクイズなどを通じて後天的に身につくものだとされています。

     

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