あっ、そろそろくるかも
夜中に目が覚めた時、そう思って慌てて部屋の押し入れを開けた。
切ったばかりの爪を立ててその袋を開けようとするが、これがなかなかうまくいかない。
今のところ下着に水滴がたれ落ちてくるような感覚はないので、たぶんまだ本番ではなさそうである。しかしいつそれがきてもいいように、一応準備しておかなければ。
もしこれが実家だったらまだしも、今は施設入所なので、椅子などの共用の備品を汚してしまう恐れがあるからだ。だからそれがくる少し前から、多い日用の大きいナプキンをつけるようにしている。
ところがようやく開いた袋の中身を触って呆然とした。多い日用だと思って買ったそれは、普通の日用の小さいやつだったからだ。年末に買いに行った時に対応してくれたドラックストアの店員さんが男性の方だったからそこまで分からなかったのかもしれない。
まあそんなこともある。普通の日用のナプキンもたくさんあることに越したことはないだろう。丁度翌日に調理のプログラムで使う材料を買いにスーパーに行く予定なので、そのついでにドラックストアにも行けばいい。
とりあえずその時は普通の日用のナプキンでどうにか凌いだ。まだそれがくる前でよかった。
と、このように全盲者である私は、生理がくる少し前から多い日用の大きいナプキンをつけるようにしている。さきほども書いたように、施設に入所している今は、万が一生理がきたことに気づかず、共用の備品を汚してしまわないようにしたいからである。
ところで目が見えない状態で、生理がきたことやその予兆をどうやって判断しているのか。
例えば織物や鮮血の匂いとか、下着の中のそれらの物を触った感触など、これも人によって様々あるようだが、私の場合は、だいたい生理がくる数日前から下腹や腰が痛くなったり、妙にいらいらするなど精神的に不安定になったりすることが予兆として現れる。
そしてそのうちに下着の中にポタっポタっと少しドロっとしたような液体がたれ落ちてくる感覚を覚えたら生理になったと判断している。
ちなみに前回の生理がきてから約1週間遅れで今月のやつがきた。11月から始まった施設の修繕工事の影響で、部屋移動など急な環境の変化によるストレスが原因かもしれない。
そんなわけで、週の後半からはずっといつそれがきてもいいようにと、いつもの銭湯には行かずに施設内のシャワーを使わせてもらっている。
生理が1週間近く遅れてしまうと、その分1日の楽しみでもある銭湯への復帰がドンドン遠のいてしまう。
そういう意味でも生理の遅れは少し憂鬱だったりもするのだ。
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