見出し画像

卒業をもって1

こんにちは、4回の小路です。

この度、無事大学の卒業が確定し、選手として最後の大会の学生選手権も終了したので、将棋部としての振り返りを書き残したいと思います。
ただ、4年間を振り返ると終わらなさそうなので色々あったこの1年をメインで振り返ります。

春季大会あたり

4回生になってまず印象に残っていることは、1回生たちの加入です。今年の1回生は例年より多く入部してくれた上に、お世辞抜きでみんな強すぎでした。1回生には絶対負けたくないので、練習でも本気で指すのですが、結構負けてます。特に福田くんには新歓1局目で負けてしまい、阪大将棋部が舐められないか不安でした。ほんとにみんな強かったです。

春季個人戦

そんなこんなで新歓や研究室配属をしていると、春季個人戦がやってきました。個人戦は残り2回のチャンスです。これまで個人戦では予選を抜けることすらできていませんでしたが、最高学年であり、将棋でも自分の型を見つけられたと感じていたため、今年はいけるという思いで臨みました。(毎回今年はいけると思っています)
結果は予選を通過し、本戦1回戦の相手が棄権するなどくじ運にも恵まれ、3位となり全国出場を果たしました。ついに大学将棋で全国にいけるという喜び、将棋を続けてよかったという思いでいっぱいでした。まじで嬉しかったです。阪大からの個人戦全国出場は16年ぶりだそうで、改めて自分がすごいことを成し遂げたんだなと噛みしめていました。
せっかくなのでこの大会で印象に残った棋譜を1つ紹介します。
本戦2回戦。京大のi藤くんとの対局。相振り飛車で、局面は仕掛けられたところ。

少し怖いですが、ここは▲18玉。なんとか端玉で耐えて、▲64歩を間に合わせようという方針です。こちらの陣形が低く攻めを繋げることが難しかったようで、相手は角を戻し△15歩から攻めを繰り出し、局面は進み以下の図。

ここで再び▲28玉。角切りからの攻めには同玉をし、今度は左部への脱出を図ります。玉がよく動く将棋はなんだか自分の棋風にあってる気がします。
以下は▲74歩△同歩▲65銀~▲74銀を間に合わせ、勝ち切ることができました。

春季全国大会

全国では入賞はもちろん目指すとして、大物をぶっ倒してやろう、団体戦に向けて勢いをつけようなど、モチベーションマックスで東京に向かいました。東京には前日入りして観光する気満々だったのですが、とてつもない大雨で新幹線は止まるほどで、ホテルにずっと閉じこもっていました。全国に知り合いもいないので、することもなくとても暇だったのを覚えています。
今思うと、この大雨はなにかしらの前兆だったのかもしれません。
迎えた大会当日。会場に着くと、新幹線遅延のために来れない選手の対応で運営の方たちが頭を悩ませており、さらにあんなことも起こったため、運営の方々は本当に大変だったと思います。いつも運営ありがとうございます、本当に頭が上がりません。
遅刻者の対応も決定し、いよいよ始まった1回戦。名前は言いませんが、自分はあの人と対戦。途中図が以下の局面。

駒得ながらも相手の玉は遠く、なんとか△25桂~△36歩を決めたいところ。相手からの攻めも難しいと信じ、ここは自分らしく△44玉と中段玉で対応しました。この後あまりにも的確な寄せでしっかり寄せきられて負けてしまいましたが、棋譜を見返してみると、我ながらかなり頑張ったと思います。
メンタルは参ってしまいましたが、この出来事も今では今年の飛躍の糧と思っています。

春季団体戦

この全国大会個人戦の1週間後、春季団体戦が始まりました。メンタルは回復しきっておらず、結果もボロボロでした。棋譜を探したところ、局面を見せれるような将棋はありませんでした。チームのおかげでなんとか第二代表戦に進出したものの、近畿大学に敗れ全国出場は叶いませんでした。
以上で僕の春季大会はとてつもない感動ととてつもない挫折を味わって終了しました。
ちなみに、春季個人戦の結果から関西九州選抜のメンバーとして、8月末に西日本大会の団体戦に出場させていただきました。そこには我らが大阪大学も出場しており、少し心苦しかったですが、きっちりと分からしておきました。またメンバーには高校時代の後輩のh山もおり、僕とh山は全勝でチームも優勝することができました。負けるとh山に何を言われていたか…
h山はもちろん、チーム全員心強すぎました。関西九州選抜チームは毎年強すぎでは。

秋季大会あたり

秋季個人戦

時間が経ち、秋季大会が近付いてきたころ。春季全国大会の救済処置により、僕を含む4名が特別招待選手として秋季全国大会への出場が決定されました。なんともう一度全国の舞台で戦う機会を与えていただけました。
またしても運営の方には感謝で、頭が上がりません。
これにより自分のメンタルも回復、気持ちをどんどん全国大会に向けて高めていきました。
ということで、秋季大会個人戦は阪大の応援に行きました。誰かひとりくらい本戦に進めるかなと思っていたのですが、全員予選敗退。あわよくば一緒に全国大会に行けるとか考えていたのですが、甘すぎでした。
全国出場の選手にはh山の名前もあり、絶対に当たりたくないけど全国の舞台で当たれたら熱いななど考えていました。

秋季団体戦

そしてついに秋季大会団体戦が始まりました。最後の一軍戦です。僕はありがたいことに1回生の頃からメンバー入りさせていただいていましたが、毎年惜しいところまではいくものの全国に届くことはありませんでした。
ですが、今年は主力の4回生と笠原さんが仕上がっており、1回生の福田くんも加入したことで十分に戦えるメンバーが揃っていました。なによりチームの雰囲気もよく、適度な緊張とリラックスができていました。自分も個人戦を経てレベルアップしており、今年こそは全国に行くぞという思いで臨みました。(毎回今年は行くぞと思っています)
そして始まった1回戦。相手は龍谷大学。オーダー表を確認すると、なんと相手はエースがいない状態での対戦。さすがに負けないだろうなどと思っていると、結果は自分が負けての3-4。1回戦から大戦犯をしてしまいました。
純粋に龍谷大学のh井さんが強かったです。チームメイトには本当に合わせる顔がなく、その日は静かにしていました。その後、なんとか残りの試合を勝ち切ることができ1日目を終えました。やらかした自分を登板させてくれたり、第二代表戦の進出条件を計算してくれた参謀陣。本当にありがとうございます。

2日目が始まりました。2日目初戦は京都大学。これまで勝つことができていない因縁の相手です。自分の相手はo中くん。彼は春季個人戦で快進撃をしており、強敵です。戦型は相振り飛車で自分は玉を中央に構えました。

この局面でチャンスがあると読み、▲84歩△同歩▲同角△83歩▲75角△34飛から▲95歩と端攻めをしました。しっかりと読みをいれて、進んだ次の局面。

歩の枚数までぴったりの端攻めを炸裂させ、さすがに勝ちを意識しました。ところがここから負けてしまうんですね。もちろんo中くんの終盤力がすごかったのですが、勝負所で勝てない自分が情けなかったです。結果京都大学には2-5で負けてしまいました。
2日目2回戦は立命館大学。自分はお休みしましたが、1年生から鍛えた小林が立命相手に詰みのある局面まで善戦していたのは嬉しかったですし、強敵相手に後輩みな全力で臨んでいました。そして2日目3回戦を勝ち切り、第二代表決定戦の進出を決めました。1日目は自分のせいで本当にどうなることかと思いましたが、なんとか次に繋げることができました。本当によかった、チームに感謝。

第二代表決定戦

第二代表決定戦が始まりました。1回戦の相手は本割の方で負けた龍谷大学。当然相手エースも来ています。初日の返すため、気合十分で登板。
自分の対戦相手はo津くん。強敵ですが、阪大の勝利のためには負けられません。戦型は相手の居飛車穴熊に対して真部流に構え、得意な戦型に。
危ない局面もありましたが、なんとか勝利。ようやく仕事らしい仕事を果たせました。結果は5-2の勝利ですが、危ない試合がいくつもあったので結果以上に苦しい戦いでした。ちなみに自分の負けたh井くんの相手は松村でしっかり仇をとってくれました。あいつは何故か自分が負けた相手によく勝つんですよね、ちょっと悔しいですが。

そして2回戦。因縁の相手京都大学です。今までの最高成績は自分が1回生の頃の3-4で、それ以降は2-5などが続き正直勝てるビジョンがあまり浮かんでませんでした。しかし、参謀陣が懸命に作戦を練り、チームメイト同士で研究を共有したりすることで、十分に勝算のあるオーダーを実現することができました。オーダー会議にかなり力を注いでくださり、ありがとうございました。気になる自分の相手はo久保くん。彼とは高校生の頃からしのぎを削る仲でしたが、団体戦の戦績は全敗と正直厳しい相手です。それゆえに気合マックスで臨みました、たぶん4年間で最も気合の入った1局でした。
この対局はこれからも忘れることのない、自分の中で大きな1局でした。
戦型は相手の居飛車穴熊に対して、真部流を目指すという1回戦と全く同じ戦型で、途中まで同じすぎてびっくりしてました。なので早指しでポンポン指していたのですが、以下の局面でo久保くんが長考。

「絶対45銀の筋考えてるやん」と心の中で思いながら、その後を読んでいました。o久保くんの着手は△45銀。平然な顔を装っていましたが、内心めちゃめちゃ銀を引いてほしかったです。その後局面は進み、以下の図。

この局面までは読み筋でしたが、ここでお相手の△33桂を完全に見落としていました。あまりにも痛い一手で、なんとか怪しくなる順を探しました。
ここは本当につらかったです。ただ隣の局面も苦しそうだったので、チームのためにも、諦めることもネガティブになることもありませんでした。
ここで指した手は▲26歩。△45桂に対し▲25歩と角に当てて、プレッシャーを与えます。

ここで相手は△57歩成。一番自然に見える手で、自分もこれを読んでいたのですが、ソフトいわくこの手で互角に戻ったそうです。まあ全然不利だと思っていましたけどね。ただ読み筋ではあったため、勝負形に持ち込めたと思ったのが以下の局面。

ここから自分も魅せていきます。この局面から▲57桂△55金▲45歩△56桂▲23歩△同銀▲44歩△33金▲75飛。これが次の▲45桂~▲57歩と要の桂を狙っており、形勢逆転となりました。そして進んだ以下の局面。

一手勝ちの局面だとは思いますが、明確な攻めが思いつかず受けを選択。▲79飛も悩みましたが、玉の逃げ道を作るために▲46金!ソフトいわくこの手で互角にもどったみたいですね、将棋は難しい。以下は△39角から馬を作られますが、自分はとにかく駒を埋めて、中段玉に要塞を築きました。

安全にはなったものの、相手の穴熊も固くまだまだしんどい将棋です。ここらへんからやたらとギャラリーが多くなってきたので、もしや3-3でこの対局で決まるのではと、とてつもないプレッシャーを感じてました。ここからは本当に気持ちの勝負です。絶対に負けないという気持ちを相手にぶつけながら指していました。ここで相手も△42金打。お互い魂を削るように一手一手を進めました。以降は34の地点を拠点とし、駒を貼り付け続けました。

局面は狙いであった▲34桂を実現させ、敵玉が見えてきたところ。駒が縦に並びすぎてて塔を建設してる気分でした。ここで受けが難しかったようで、そのまま押し切り迎えた以下の局面。

勝ち、そして全国を意識して手が震えながら▲24金と必至級の詰めろを放ちました。相手も△13桂としますが、▲33歩成△同歩▲12成銀から詰みがあり、o久保くんに初勝利を収めました。ただ実際チームの勝ち数は分かっていなかったので、あとは勝ってくれていることを祈りながら感想戦を行いました。結果を確認すると4-3での勝利。最後の団体戦にて全国出場を決めました。3-3からの勝利なら阪大勢から歓声上がってもいいと思ってたのに静かなのでびびってましたね。

あまりにも嬉しく、その場にいたメンバー全員と喜びを分かち合いました。4年間の苦労がようやく報われました。そして自分を主力として登板し続けてくれたことに報えて本当によかった。
他大の人からも祝ってもらえたし、後輩からは負けると思っていなかったなんて言われて涙が出るほど嬉しかったです。
会場には応援で来てくださっていた先輩の森本さんの姿もあり(森本さんは自分が1回生の時の第二代表決定戦で3-3を背負い惜しくも負けてしまったので)、自分が3-3を背負っての勝利は恩返しができたように感じました。あの時の悔しい帰り道があったからこそ勝てたと思っています。
またメンバーの松村とは1回生の頃から共に一軍戦で頑張っていて、一緒に全国に行こうと約束をしていたので、最後に叶えることができたのは何よりも嬉しく、将棋で青春ができました。

自分の対局が最後に終わったので勝負を決めたことにはなりましたが、今回勝利した4人は全員がヒーローですし、試合に出てない人、オーダーを考えてくれた人全員を含めての勝利でした。本当にみんなありがとう。
後輩たちにはあの時の空気感や全国に行けるという経験を忘れないでほしいし、今後とも継いでいってほしいです。

この後全国大会のことと、学生選手権のことを書きたいのですが一旦キリがいいのでここまでにします。文章書くのに慣れてなさすぎて思ったより時間がかかってしまってます。
もう少しで4回生でなくなるので、続きはなるべく早く書きます。

令和6年3月24日 小路優輝

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?