学芸美術 画家の心 第48回「エドゥアール・マネ ボートのアトリエで描くモネ 1874年」
この絵はいったいどこがいいのだろうか。よくわからないまま長い年月が過ぎてしまっていた。
しかし、この学芸美術で模写を始め、モネやマネ、他の多くの有名な画家の素晴らしい絵を模写することで、画家の人となりやその時代背景、画家自身の心の内を伺い知るようになった。
今では誰もが知る印象派の雄であるモネだが、この当時のモネ(26歳)は世に知られることなく貧乏絵描きであり、この船をアトリエとして使い、川面に映る光の移ろいや揺らめきを写し取っていた。
一方のマネ(34歳)はモネの筆致を好ましく思い、モネと愛妻のカミーユを誘い、ボートに乗ったふたりをマネがモネのタッチを真似してでこの絵を描いた。
この年に第1回の印象派展が開かれたが、マネはこの絵を出展しなかった。出展したならば必ず入選したに違いないのだが。
ではマネはどうして印象派展に出展しなかったのか。それは、権威あるアカデミー(サロン)に入選することを第一に考えていたからだ。
マネも本音では、従来のサロンの絵は古臭く、これからはモネを筆頭とする印象派だとわかっていたのだが、頭と行動は違っていた。ちょうどその端境期(はざかいき)に位置する貴重な作品ということになる。
ちなみにこの絵はモネにプレゼントされ、1884年に1150フラン(160万円)で売りに出され、1899年に1万フラン(1400万円)で転売された。
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