岸 華子

生まれつき膀胱尿管逆流症、そして15歳から血液透析開始。21歳から過敏性腸症候群も発症…

岸 華子

生まれつき膀胱尿管逆流症、そして15歳から血液透析開始。21歳から過敏性腸症候群も発症。 何があっても次の日には笑顔で前を向く! ドロドロな心も温かな心も、私の中の事実をそのまま書いていきます。

最近の記事

第40話 卒業写真と足りない単位

前の記事です▼ カメラを首から下げて、卒業写真用の楽しい様子を撮っていく同級生。 少人数なので、なかなか濃いメンバーで個性があります。ここに写真を載せられたらいいのにね。 最高の笑顔でカメラに近づいて撮られようとしてる女の子、その後ろでふざけている男の子のも一緒に激写! 最高の1枚でした。 皆それぞれに進路も決まり、卒業式の練習も始まりました。校歌の練習も。 担任の現代国語の先生である小川タカ子先生は、私達が最後の生徒とのこと。 定年退職なのです。 小川先生には、

    • 第39話 先生と面接へ

      前の記事です▼ 私は愛知県立大府養護学校高等部を卒業したら、名古屋の大原簿記専門学校へ行くことに決めました。 本当は発達心理学と哲学に興味を持っていましたが、この弱い体では、、、と色々1人で悩み、選択授業で簿記の勉強を少しできていたのと、透析で受けられない時があり中途半端なのも悔しく、行くことに決めたんです。事務仕事なら、体への負担は少ないでしょうしね。 先輩が大原簿記を卒業していたこともあり、推薦入学で書類と面接でした。 ある日、小川タカ子先生と大原簿記専門学校へ一緒

      • 第38話 薔薇の蕾の様な転校生と出来てきた自律

        前の記事です▼ 養護学校高等部3年生の頃でしたか、転校生が来ました。 担任の小川タカ子先生が 「薔薇の蕾みたいな子よ。」 と評した通りの女の子でした。色白で魅力的な顔立ち。髪は金髪に染めていました。 始めは机に突っ伏して、ちゃんと授業を受けてない様子で、心に何かを抱えてきた事がわかります。名前はイチノです。 イチノは、だんだん養護学校になれて友達も出来ました。笑顔で薔薇の花が開花していきます。 イチノの家は養護学校から近いことがわかりました。酒屋さんの娘さんでした。緑

        • 第37話 自閉症とクローン病

          前の記事です▼ 同級生にイナちゃんという男の子がいました。 病気は自閉症です。自閉症とは、人とのコミュニケーションが苦手で何かに強いこだわりをもつ特性があるのです。 イナちゃんは、朝の挨拶を皆からされても返事はありませんし声を知りませんが、地理・歴史には強く、いつもテストで90点以上をとっていました。 なので、皆から一目も二目も置かれています。 「おー!さすがイナちゃん。」 と皆から尊敬の眼差しです。 私は地理・歴史に強く興味が持てないタイプなので、声も出せないほど驚

        第40話 卒業写真と足りない単位

          第36話 出来心のリストカット

          前の記事です▼ 同じ病棟にリストカット(手首を切る=自殺未遂)をしている子がいました。 暗闇を手探りで歩いている様な人生と感じている子達ばかりなので、そんな話もあるわけです。 身近にあったので、私は本気ではなく軽い気持ちで、カミソリで自分の手首を切りました。傷さえ残らないくらい浅く。 本当に出来心ていうやつですね。 まだまだ未熟者です。影響を受けやすい所があるようでした。 駄目なものは駄目!無理なものは無理!嫌なら嫌!と言えなかった。 あとは病人同士の仲間意識が欲しか

          第36話 出来心のリストカット

          第35話 自分の思いと検査

          前の記事です▼ 思い出したので、書き足します。 5歳くらいの頃、どこかの病院でした。 母と手を繋ぎ、自分の採血の順番待ちをしていたのです。 本当はやりたくない。 その心を行動に移しました。 母の手を離し、逃げ出したのです。 ところが階段を素早く降りないといけなくて、チビな私は止まりました。 そこを母に直ぐに捕まえられ、手をギュッと持たれ、列に並び直したのです。 (私の味方はいないんだ) と思った瞬間を覚えています。 もちろん母は1回でも採血は少ない方がいいと、思っ

          第35話 自分の思いと検査

          第34話 謎多き転校生

          前の記事です▼ 転校生が来ました。 名前はミッちゃんです。背が高く髪が天然パーマの綺麗な女の子です。びっくりするほど有名な高校からの転校生でした。 ミッちゃんはとても優秀な人でした。 でも、病気が何なのかわかりません。病室のベッドには上質なクッションが何個もあります。病院のベッドと全く釣り合いません。 夜になるとラジオで英語の勉強をしていました。 何もかも別世界に見えました。 優秀なミッちゃんは友達を作ろうと頑張ります。 ですが、皆から敬遠されてしまいます。 そんなある

          第34話 謎多き転校生

          第33話 初めての人工血管

          前の記事です▼ 高等部2年生の頃、またシャントが閉塞してしまいました。 私の血管は細いらしく、成長もしてませんでした。(自己血管のシャントは、ゴーゴー血液が流れていると太く成長していくのが普通です) また、あの医師が手術をするのか?と思えば違うらしく、救急車で他の病院へ行くことになりました。 私は慌ただしく手荷物を整え、救急車に乗るべく病院の正面玄関へ。看護師も居たように思いますが、あまり覚えがないです。 救急車が到着し、救急隊員がストレッチャーを動かしなが、正面玄関か

          第33話 初めての人工血管

          第32話 皆でお葬式へ

          前の記事です▼ 同級生のシンちゃんが旅立ちました。 病気との闘いは終わったのです。 シンちゃんの部屋は換気のため、扉が開いていて私は直ぐに気づきました。 小さな頃から死に慣れていて、涙も出てきません。 私だって透析を拒否して、野菜ジュースや果物のジュースの100%のでも飲めば死にます。いつだって死は身近にあるのです。 シンちゃん、お疲れ様。 声も姿も、ずっと忘れない。 どれだけ辛かったかも、響いてきた声でわかったよ。 皆と会いに行けなかったのが残念だけど、十分ちゃんと受

          第32話 皆でお葬式へ

          第31話 病棟に響いた声

          前の記事です▼ 同級生にシンちゃんという、再生不良性貧血の男の子がいました。シンちゃんは、いつもニコニコと優しい子です。 シンちゃんは水筒に氷を入れて、学校に来ていました。冷やすのが良いのかな?よくわかりませんが、暑い日々でしたから皆が氷を欲しがります。 「僕のなのにーー(笑)」 シンちゃんは優しくて、皆から愛されていました。 シンちゃんは学校まで来ることは珍しく、体調が良ければ来ていました。そんな状態なので、来た時の授業についていくのが難しく、大変みたいでした。 「ん

          第31話 病棟に響いた声

          第30話 初めてのシャント閉塞

          前の記事です▼ 初めてシャントの音が聞こえなくなりました。普段は血液がゴーゴー流れる音が、聴診器で分かるものが、聞こえないのです。(シャントとは、透析をするために動脈と静脈を手術で繋いだ血流量が多い血管です) これでは透析ができません。 透析出来ないと死んでしまいます。直ぐに新たなシャントを造る手術になりました。 局所麻酔で手術は出来て、新しいシャントが出来ました。 でも左腕の内側を切られた汚い傷ができました。8cmほどの斜めの傷が曲げる所にできています。傷は順調に治り

          第30話 初めてのシャント閉塞

          第29話 趣味の合う友情と死をみつめる心

          前の記事です▼ 養護学校高等部から漫画の貸し借りをしていた同級生がいました。その子をフジセと言います。癲癇(てんかん)の病気で、かなり重度でした。 フジセとは漫画の趣味が合い、部屋には面白くて濃い内容の漫画がそろっていました。 重度の癲癇なので、動作が鈍くゆっくりな彼女。階段は人の何倍も時間がかかります。音楽室は別棟の3階にあり、とてもゆっくり登ってきて、頑張っていました。 「フジセ!大丈夫?」 「大丈夫ーー!」 としっかり答えてくれていました。別棟にはエレベーターが無

          第29話 趣味の合う友情と死をみつめる心

          第28話 友情ってどういうもの?

          前の記事です▼ ちゃんとした深い友情関係というのを、私は作ってこれてなくて、養護学校でそれは叶うのではないか?!と期待していた私です。 ですが話しかけてもいかず、話しかけられず過ぎていきます。 病室で同じ部屋の子達とは、程よく仲良くしていました。 そんな生活の中で、2つ年下で糖尿病のミカちゃんと動き回るようになります。ミカちゃんは良い子なのですが、あまり自分を大切にしない子でした。 他の運動が必要な糖尿病などの子達と一緒に運動しないのです。なのにお菓子を食べて、血糖値は

          第28話 友情ってどういうもの?

          第27話 主治医の薬剤ミス

          前の記事です▼ 養護学校時代の私の生活に、話を戻したいと思います。 ある日、私は風邪をひきました。 国立療養所中部病院小児科の主治医が寝る前に、ペニシリン系の抗生剤を入れた点滴を処方したのです。 ですが私は小さな頃から、ペニシリン系とセフェム系の抗生剤は、アレルギーで使えないのです。 (ペニシリン系とセフェム系の薬が使えないということは、世の中の抗生剤の3分の2が使えないということです。) 私は医師を普通に信じていて、普通に部屋で点滴を受けました。 点滴を始めて、看護

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          第26話 いらぬ説教とくれた安心

          前の記事です▼ 中ちゃんが私の母の首を絞めたのを勘づいた私は、その日の睡眠時間に自分の体を抜け出します。 そうです、幽体離脱。 中ちゃんに会ったのです。あの世とこの世の中間へ行きました。 中ちゃんは背中を向け、座っていました。 「こらっ!」 と怒る私。 どれだけ中ちゃんが私のことを思ってした事でも、実際にしてはいけません。母には母の寿命があるはずです。 その寿命の間に、私と親との関係性も変わるかもしれません。一時の思いでしていいことではありません。 ですが中ちゃんは、

          第26話 いらぬ説教とくれた安心

          第25話 あの時の会話とコロンの香り

          前の記事です▼ 中ちゃんが死んでしまう半年くらい前でしたか、話した会話で後悔している話があります。 私はある夜、寝ている時に中ちゃんが肩くらいの髪の長さの女性と、楽しそうに駐車場を歩いている夢を見たのです。その女性には青いロンパースを着せてある赤ちゃんが抱っこされていました。 その話を中ちゃんにした時は、離婚からだいぶ立ち直ってこれていた時で、私は良かれと思って話したのです。ですが、中ちゃんには良い話には思えなかったんです。 「マジで?!男なの?」 「たぶんね、青かっ

          第25話 あの時の会話とコロンの香り