深いところでわかったような話
オラファー・エリアソン展を観た時、《終わりなき研究》の機械の仕組みや出来上がったドローイングのことなど、熱っぽく語って下さる係の方がいらっしゃいました。
「あ、なんか感覚的にすごくわかった気がします」と私は言いました。
「今朝ここに来る時、沈丁花が良い香りだったんです。沈丁花と同じ香りだよ、って合成されたものと違って、木にもよるだろうし、その日の気温や湿度に、私の体調も加わっているのだろうな、って。
おっしゃる通り、座標とか角度とか入力すればコンピュータで瞬時に出てくるのでしょうけど……そうか、コンピューターグラフィックスやAI画像ではどうも心が動かないと思ったら、そういうことか……」
それです!わかって下さいましたか!とばかりに、係のお姉さんの目がキラッキラしています。この機械とドローイングに携わるようになって、モノの見方が変わったとおっしゃっていました。
この機械のデータをコンピュータに入れて、どの角度でどんな力が加わったら、何秒後にどんなドローイングができるか、シミュレーションすることもできるでしょう。
でも。それが答えではないのですよね。
体験する方がいらっしゃって、そこにいた人たちも説明している様子から見て聞いて、練習と本番を固唾を飲んで見守って。振り子を動かして少し勢いがついたところで、ペンを静かに置くように手を放すと描画が始まります。
木の台に留めた紙の上で、ペンが音を立てて模様を作ります。机の上で長い線を引いているような、そんな音がします。
そういえば、先日のカウンセリング演習の後で録音を聞きながら逐語記録を起こしていましたら、クライエント役もカウンセラー役も胸元にマイクを装着したのであまり雑音は入らなかったはずですが、「カカカカッ」という音が入っていました。
何だろうと不思議に思いましたら、どうやら演習講師と観察者がメモする音のようでした。後でフィードバックする時のために、必死でペンを走らせてくれていたのですね。
さて、振り子が止まると出来上がり。美しい曲線の連続に「おぉ~!」「素敵」「綺麗」と声があがり、皆で自然と拍手しました。その場の雰囲気が、とても楽しくて、柔らかくて、ほんわかしていたのです。
コンピュータでは、そこまでシミュレーションできませんからね。その場にいる人たちも一期一会です。そこまで含めて《終わりなき研究》なのかなと思ったりして、良い体験したわ!とニコニコで帰ってきたのでした。
描いている間の音を聞いて、↓ こういうオモチャがあったなと思い出しました。
ところで最近、どうしてAmazonのリンクに写真が出なくなったのでしょうかねぇ。一目瞭然で見やすかったのに。
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