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私の話は私からしたいの

今期の朝ドラがおもしろい。
日本初の弁護士を描いた「虎に翼」は、伊藤沙莉が主演を務める。
素直で、思ったことはストレートに言う主人公の寅子のまっすぐな喜怒哀楽が気持ちいい。

同じ法科女学部に通うよねさんは、いつも冷たく周りとも距離を置いている。
彼女は今でいうキャバクラのような場所でボーイをしているのだが、そのお店に寅子たちが行く機会があり、そのときにマスターから「聞く? 彼女が何で弁護士を目指したか」と寅子たちが尋ねられる。

「よねさんの話を、よねさんがいないところで、よねさんじゃない人から聞くのは違うと思うんです」と寅子は断った。

今までのドラマの常識を覆すセリフだった。
そしてこのセリフは、私がずっと説明できないでいた嫌悪を言語化したものだった。


癌になってすぐ、夫に、共通の知人に私の病気のことを言わないでほしいと頼んだ。
知られたくないから、と思っていたが、違った。
私は、「私がいないところで私の話をしてほしくなかった」のだ。

私ががんと知って、彼は、彼女は、どういう反応をするのか。
どういう風に伝わるのか。
どういう空気になるのか。
どういう声をかけてくれるのか。

他人の不幸話が好きな人がいる。
そういう人のネタにされるのは勘弁してほしかった。

伝えようと思っている人には、自分の口から伝えたい。
どういう反応をするのか、自分で確認したい。
他人の酒のつまみになるのはごめんだ。


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