野良のハナ

無計画に日本を出て十年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノラ…

野良のハナ

無計画に日本を出て十年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノラ犬のように生き、犬のケツばかり追っている人。強烈な認知の歪みの泥水の中ほふく前進中。要点を端的に話すことが壊滅的で、路上で全所持品を広げて裸で勝手に蚤の市状態の会話力で、人様を困らせています。

最近の記事

活き活きと使われるののしりの言葉

英語圏の映画やドラマで、よく「シット」とか「ファック」とか、怒りや苛立ちを表現する場面で耳にすることがあります。 テレビ番組だと「ピー」となっていて、あぁあんなにどこでも聞く言葉なのに、公共放送ではまずいんだなぁ、みんながよく使うからといって、それでも社会的に受け入れられる言葉では無いのだなぁ、と感慨深くピーを聞いたりします。 以前、アイルランド出身の女性と話していた時、何か彼女にとって不都合なことがあったばかりで、はらわた煮えたぎっている様子でした。 彼女は教職につい

    • 日本人だから知ってるでしょ?偉大なる二次元の力

      なんでもない無名のアジア人が、時に日本代表の存在になることがあります。海外で生きていますと、初対面の人が、私が日本人だとわかると、自分が持っている日本関連ネタを、「日本人なら知ってるでしょ」と豪速球で投げてきます。 私はぼんやり生きており、何にも詳しくない人間でして、その日本関連ネタに反応する筋肉を持ち合わせていません。そのため、豪速球を受け損ない、だいたい小指を折ったり鼻血を出したりするのが常です。 これまでに、お経の意味、ミフネ、パソコンのキーボード、ヒロシマについて

      • 最も重要な法律 〜由々しき言い間違い〜

        間違うことで人は学ぶ、恥をかくことを恐れるな、と言われますよね。 私は外国語の読み書きはなんとなくできるけど喋れない、という典型的な日本人です。かつ、そもそも母国語でも喋るのがあまり得意でもなく、お世辞にも会話が上手な人間ではありません。 ただ外へふらふら1人で出かけるのは苦ではないので、バーやカフェの隅っこで黙ってビールを飲むという行為をよくしていました。 私が出かけるのは、客がいなくて、安くて、Wi-Fiがあるバーです。あまり繁盛していない店か、繁盛してはいるけど開

        • ツヤ髪のナスと粋なサハラのお兄さん

          レストランは料理がおいしくても、ウエイターさんが残念だと、割り切れない気持ちになります。口に入れて舌で感じる風味と取り込む栄養分は変わらないのだから、素晴らしい料理が味わえるならウエイターは関係ないじゃないか、とはならず、やはり自分は感情的な生き物なので、全体的な体験として記憶に残ってしまいます。 飲食店の店員さんには、心が氷点下になっているのかなという人もいれば、善意でがんばってるのだろうけど何か噛み合っていなくて、空回りしているような人もいます。もちろん、私の貧困な想像

        活き活きと使われるののしりの言葉

          ポメさんの人生と平行線が交わる点

          最近は、ワイヤレスのイヤフォンを耳につけたまま通話をしている人が珍しくありませんから、そばで誰かが1人で喋っていても、まあ誰かと通話中かな、くらいに思って、あまり気にとめませんが、以前であれば、あれ?独り言かな、それともイマジナリーフレンドと会話中かな?と、意識を向けたものです。 先日、おや?これは、独り言かと思ってたけど、もしかして私に話しかけている?となったことがありました。 ある晩、近所の船長の店で、鉢植えと同化して私は中庭の端に座っていました。私はカフェやバーでは

          ポメさんの人生と平行線が交わる点

          世界はもっと適当で融通がきく

          私はとっさの機転とか、不測の事態にパッと対応するということが不得手な人間でして、もし私がアクション映画の主人公だったら、最初の爆発とかアクシデントですぐに死んでしまうので、物語は10分くらいで終わってしまいます。そんな映画、つまらなすぎて、きっと観客が返金を求めてチケット売り場に殺到しますね。 世界というものは、もっとフレキシブルで、適当で、しなやかなのだと、私は最近になり学んでいます。 アジアンスーパーマーケットに豆腐を買いに行きました。中国系の店でよく見られるように、

          世界はもっと適当で融通がきく

          アーティスト桃太郎と仲間たち、カエルの背中革命

          アーティストという人たちと話をすると、世間の常識や一般的な安定とかけ離れた生活をしていて、いろんな生き方があるのだな、と興味深くききます。 世の中には、どうやって成り立っているのかよくわからない商売や、どうやってそこまで到達するのかよくわからない職業があると思います。スズメの交尾は見たことがなくても(見たことありますか?)、スズメの繁栄が成立しているように、プロセスがわからなくてもいろんなことが事実としてあるわけです。 私は職業アーティストの知り合いがいなかったもので、そ

          アーティスト桃太郎と仲間たち、カエルの背中革命

          日本人だから知ってるでしょ?あの街って今大丈夫なの

          たびたび、日本について聞かれて、なんて言ったらいいのだろうと、私は考えてしまうことがあります。 外国の方が投げてくる日本に関する質問ボールは、通常ぼんやり生きていると予想しないような方向から飛んできたりするので、だいたいデッドボール。私は横腹で受け、拾い損ねて、あたふたと四つん這いで玉を追いかけます。 よくあるのは、出身地にまつわる小話についてです。 出会った人にどこ出身?と聞かれて、私は「日本です」と答えるわけですが、しばしば、一歩踏み込んで「日本のどこ?」と聞かれま

          日本人だから知ってるでしょ?あの街って今大丈夫なの

          壁の脱腸と気にしすぎのポリス

          最近、私が住んでいるアパートの階下の部屋に、エアコンの取り付け工事をするため業者がやってきました。階下の住人は、工事に立ち会いません。 なぜなら、彼らはイギリス人で、ここ(スペインの島)には年に2〜3度来る程度、普段は住んでいないからです。我々は賃貸で常時くらしていますが、彼らにとってはホリデーハウス、つまり別荘であり、年間の9割以上はただの無人の空間として鎮座しています。 エアコンの取り付け工事は、騒音は正直うっとうしいですが、それはいろいろお互い様でしょうから受け流し

          壁の脱腸と気にしすぎのポリス

          チップどろんこ相撲

          日本には飲食店でチップ文化がないので、アメリカみたいに最低15とか20%はチップをあげないといけないというプレッシャーにおののく必要がないですから、利用者としては気がラクだと思っています。 逆に、チップ文化の人たちからしたら、日本でとっても素敵なサービスをしてくれたウエイターさんに、チップをあげたくなっちゃう衝動は一体どう処理したらいいの、この満足感この感謝はどう表現したらいいの、となるのではと想像します。 私がただ今おりますスペインでは、チップ圧力は強くなく、みんな小銭

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          犬撫でアジア人のトゥルーマン・ショー

          知らない人から、「前に会ったことがある」と言われるのは、ひやっとするものです。自分にとっては見覚えがない人なのに、相手は自分を知っている、とても奇妙なミステリー小説のような展開です。いつどこで、どんな場面で会ったのか、子どもの乳歯のように抜け落ち、記憶から失われています。 異国の地で生きていると、どうせ誰も私のことなんて知らないし、気にもとめてないし、と、後先考えずに行動することがあるのですが、実際には人は思った以上に他人のことを記憶しているもので。 私は、完全に初対面だ

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          アーティストという人:汗ばむ陽気の日に、クールにジャケットを着続ける画家

          私はあまり自分を信じることができない人間なので、アーティストという人たちに会うと、自分を信じていてすごいなと、いつも感服してしまいます。 安定や低リスクを求める場合、通常人々は企業など何かしらの集団に属して働くことを選択するのが一般的ですが、アーティストたちは、始めは生活していけるかわからないリスクをとって、自分が創造するアートを信じて活動しているのですよね。 当然ながら、「自分としては全然良いと思わないし、やりたくないんだけど」と言いながら専業でアーティスト活動し続ける

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          船長と妄想の羊追い

          近所のカフェのマスター(船長)は、山奥に住む仙人のごとく静かに、テラスの定位置でパソコンを見ながらコカコーラを飲んでいます。定位置は端っこなのですが、入口が見わたせるので、全ては彼のコントロール下にあります。客が来れば立ち上がりカウンターにゆっくり歩いていく。 カフェは、週7日営業、平日は朝から夜まで、週末や祝日は昼から夜までです。毎日開いていて、閉まってることがありません。船長はだいたい一人で働いていますが、必要に応じてパートナーの女性も店に立ちます。そのパートナーが今怪

          船長と妄想の羊追い

          花粉症のない島のある春の出来事

          花粉症の人にとって春は、鼻が玉ねぎの薄皮のようにむけ、目も耳も喉の奥も全ての顔の穴がかゆく、唐突に湧き出した井戸のような鼻水に睡眠を遮られ、もはや何が原因で体調が悪いのかわけのわからない季節です。 花粉症がない人を、私は心から羨ましく思います。花粉症がある人には心から苦しさに共感します。 鈍い頭痛を感じながら、私は思い出したのですが、以前に南欧の島国マルタに住んでいたときは、花粉症から完全に解放されていました。人というものは過去の良い思い出が強化されてしまう傾向があります

          花粉症のない島のある春の出来事

          不思議なものを見る日

          不思議なものを見る日、というのが時々あります。妖精や幽霊が見えるとかそういうことではないのですが、私が不思議だなと思うことは、みんなは不思議に思っていないなら、それは普通のことであって、ちっとも不思議ではないのかな、という類のことです。 トートバッグ朝、近所の路地を歩いていると、向かいから、スーツを着た男性が歩いてきた。40代か50代かと思われるスラッとした細身の黒人男性で、革靴を履いて、頭の先からつま先までフォーマルな装いでしたが、首からエコバックのような布袋を下げていま

          不思議なものを見る日

          バベルの塔的アイスカフェラテの乱

          バベルの塔の神話をご存知でしょうか。そんなの常識だと言われればそれまでなのですが、犬サイズの脳しか持たない私は、割と大人になって知り、その解釈までは理解していなかったものの、印象に残っていました。 旧約聖書に出てくるバベルの塔は、天にまで届くような塔を建ていた人間を見て、神が怒り、それまで一つだった人間の言語をバラバラにして、人間が互いに意志疎通できないようにした、と言われます。神話ですが、もしそれが本当なら、学生および語学で苦労している人たちが知ったら頭を抱える事実です。

          バベルの塔的アイスカフェラテの乱