【短編】想いは届く、いつかきっと。(5,330字)
「雫、いいね! 一分二十秒」
「はい!」
「昨日は一分二十二秒だった。昨日より二秒縮まっているぞ。自信を持て! いい感じで伸びてるぞ」
「はい!」
雫は揺れる波紋の真ん中で誇らしげに胸を張ると、吉田に白い歯を見せた。
「五十の壁ターンがスムーズになってる。自分でも手ごたえがあるだろう?」
「はい。タンッて壁を蹴ったとき、壁から伸びてきた応援の手がシュンッて勢いをつけて送りだしてくれた感じがしたんです」
「相変わらず脳内お花畑なのな」
雫は嬉しかった。吉田の口から発される言