一方的な教師

 オフコースバンドは一度もライブをやることなく潰れた。それからエレキギターが弾きたくなり、友達から中古のギターを譲り受けた。
 高二から不眠症が始まって、恐怖に襲われた。眠れないことの恐ろしさとは、この世のものじゃない。医者が病気じゃないというから薬もなくて、眠ることができない。夜の十一時から、エレキギターの練習の時間が始まる。
 眠れない夜には勉強すれば、と思うのだが。夜にエレキギターを弾くと音が小さいので、近所迷惑にならない。親もどう思っていたのだろう。まったく無関心のようだった。孤立孤独の夜を数えた。
 どれだけ練習しても上手くならなかった。右手でピックをはじくのと、左手の指を押さえるのと、タイミングがずれている。弾けるわけがない。
 夜、頭が半分眠った状態になると、時間の進み方が早く感じる。あっという間に二時三時。窓の外が青く発光を始める。朝が開始する。
 午前四時半になると、とうとうそこで体は眠りに落ちてしまう。それから目覚めてみると午前十時である。急いで学校へ行く。
「お前はどうして学校をさぼるんだ。お前のような奴はダメな奴だ」
 教師はただ怒るばかりで、いま生徒がどうなっているか知ろうともしない。甘え怠けサボり。不登校児のことを当時は登校拒否児と呼んでいた。
 やってらんないよと、学校生活なんて適当になって、帰りのホームルームの時間にギターを弾いている。先生がしゃべっている最中に、グイ―ングイーンと鳴らしていた。
 学校に対して、公然と反抗しているのは、教師が一方的に攻撃するから。いつでも一方的に攻撃される。理解されることなんてない。

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