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Vol.01 夏の快適さにへちまが一役を担う

昔は夏の風景でよく目にした家の縁側の外に設られたへちま棚。
風に揺らぐ葉の間からほどよい加減のゆらめく光が室内に入る光景を、懐かしく思い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
浜松市の西地域、村櫛町にあるOMソーラー株式会社は太陽の熱を住宅に取り込むなどの環境共生住宅の普及に35年以上取り組んでいる企業です。
社屋敷地「地球のたまご」は静岡県の環境学習施設としても登録されていて「子どもの頃に、学校の授業で見学したことある」という皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

OMソーラー株式会社の社屋敷地「地球のたまご」 写真提供:OMソーラー株式会社

浜松へちまプロジェクトにも参加しているOMソーラーですが、ZEH、断熱性能、全館空調、太陽光発電など、家づくりの技術の向上や私たちのこれからの暮らしのあり方、それと「へちま」には、どんな繋がりがあるのでしょうか。OMソーラー株式会社取締役、マーケティング部部長の村田さんに聞きました。

以下村田さん談:

私たちは快適な家づくりを提案する仕事をしているので、なんでも家との関係で考えてしまう。
へちまと家との関係といえば、まずタワシを思い浮かべる人が多いと思いますし、家においてもキッチンは重要な場所なので、その点でへちまとの接点はあると思います。弊社のような自然エネルギー活用を主軸とした家づくりにピンとくる人は、へちまにも感心が高い傾向にあると感じます。

夏の日差しは不快の原因

私たちが提案する快適な家の「快適」は「室温」に注目していますが、「室温」に注目した際にも、実はへちまは大いに関係があると思いました。
それは「へちまの実」ではなく、実を育てるのに生い茂る蔓や葉っぱです。皆さんにも知られる「緑のカーテン」として、快適な暮らしに役立てることができます。

OMソーラー株式会社の「緑のカーテン実施例」 写真提供:OMソーラー株式会社

最近では建物の断熱性能を上げることへの関心は高く、健康で快適な暮らしのために、とても大事なことです。
しかし、快適な室温を保つためには、実は断熱性能を上げるだけでは不十分です。
夏の強い日差しをいかに遮るかが、快適性はもちろん、電気代にも大きな影響を与えることがわかっていますが、この時、窓からの日差しを遮るのは、家の中のカーテンやブラインドよりも、家の外からの方がはるかに効果的なんです。

環境省 平成16年版環境白書より抜粋

それだけではありません。強い日差しによって外壁の温度は50℃を軽く超えてしまい、その熱がゆっくり室内に入ることで、夜、エアコンをつけても室温がなかなか下がらず寝苦しくなるということも知られています。
その対策として建物に日が当たらないように木陰が作れればいいのですが、木の生長をコントロールするのはなかなか難しいんです。

へちまは夏の快適に大活躍

そこで活躍するのが緑のカーテンです。
植物の緑のカーテンは、快適と電気代の削減の両方を叶えながら、そのほかにも様々な恩恵を与えてくれます。
ゴーヤだったら食べて嬉しい、朝顔だったら眺めて嬉しい、へちまは、アジアや沖縄ではゴーヤと同じように食べていますし、朝顔のように花も楽しめます。そのうえ、最後はへちまたわしになって台所やお風呂で活躍します。一役どころか、へちまひとつで何役になるか考えるとコスパの良さに感心します。
外側から日よけする方法としては、簾や葦簀も効果はありますが、緑のカーテンは、常に地中から水分を吸い上げてくれているので、乾燥した簾や葦簀よりも涼しくする効果が高く、まるで常に打ち水をしているよう状態になるというのも魅力です。
最近は、家の収納にも気を使う方が増えていて、いわゆる物をもたない暮らしを志向する方もいらっしゃいますが、秋になって日射遮蔽が不要になった時、簾や葦簀はくるくる巻いて仕舞うことはできますが、へちまだったら「種」という形で超コンパクトに収納できるというのも素晴らしいな、と思います。

「超コンパクトに収納できる」と、へちまの種を持つ村田さん

「楽しい」という気持ちが大事

これからの社会を考えたときに、自然環境やエネルギーの事を考えない訳にはいきません。
新しい発電技術や、大掛かりなエネルギーシステムの開発などにも期待していますが、生活者として「おまかせ」になってしまう前述のような対策だけではなくて、一人一人が暮らしの中で意識的に実践することはとても大切です。しかし、それを実現するために苦痛を伴うようでは長続きしません。だから、楽しかったり、うれしかったりと、気持ちが前向きになる取り組みをすることが大切だと思います。
緑のカーテンはエネルギーを減らしながら実践できる暮らしの知恵だと思います。

OMソーラー株式会社では、浜松へちまプロジェクトに参加して、社屋南側にへちまで緑のカーテンをつくる予定で「毎年環境教育で社屋を訪れる学生たちに、その様子を見てもらえるようにしたい」とのことです。
OMソーラーでは、見学も随時受け付けているとのこと。ご希望の場合は以下WEBサイトよりお申し込みください。


お話し:
OMソーラー株式会社 村田昌樹さん(取締役 マーケティング部部長)

浜松へちま・ミライ
Edit N. Otake
Text,Photo M. Gomyo
※提供・出典ある写真は写真下のキャプションに記載


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