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パワハラ上司が降格した話

私の直属の上司(女)は色々とキツい人だ。
いつもムッツリ仕事をして、下手なタイミングで話しかけるとキレられたりする。そして女にはキツく男には甘いタイプだから、男性に話しかけられれば愛想よく対応する。
上の人間には体裁がいいが年下や部下には横暴でふてぶてしい態度。The 嫌な先輩って感じの人である。

そんな上司が、役職持ちからパート社員へ降格させられることになった。昨年転職してきたばかりの私にとって驚きの人事異動だったが、どうも私の前にいた人たちが件の上司のパワハラのせいで辞めていったということもあり、会社側ももう限界だったということらしい。

人事についての発表があった時、私はなんだか平家物語みたいだなあなんて考えていた。猛き者もついには滅びぬ、なんてまさに今のこの状況そのものじゃないか。

祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢の如し。
猛き者もつひには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。

「平家物語」第一巻「祇園精舎」より

職場恋愛は目立たないようにしてください。

上司がそのまた上の上司と恋人関係にあったことも、上司のパワハラを助長していた。(不倫ではない)
部署内の力関係は完全に、

上司の上司≧上司>>>>>>>>>>>>>その他  

という形になっており、上司カップルには誰も何も言えない。パワハラをかます上司を注意する人も居らず、パワハラされても相談する先がない、地獄のような状況。そりゃ人も辞めていくわな。

その上司カップルは恋人関係にあることを公言はしていなかったけれど、隠す気もあまりないようだった。
昼休みに2人でランチに行くとかならまだいいが、出張は必ず2人で行き、有給を同じ日に取って休み、1人で事足りそうな外出も2人で行く。私と同い年の子どもがいるような40代50代の部署内のトップ2人が、高校生の部内恋愛みたいなことをしているのを見せられ、しんどさは日に日に増していく。
そんな時に役員との面談があった。

役員、動きます。

役員もよく分かっているようで、私や同期の子たちがパワハラ上司にキツく当たられているのを知っていた。上司カップルの関係についても把握しており、改善したいと思っているようだった。
役員には、私の名前を出してパワハラ上司に注意をしていいか聞かれた。名前出した方がパワハラ上司にもダメージが入るかなと思って、私は名前を出すことを了承した。
何をどう注意するのかは分からなかったが。

その後、注意だけだと思っていた私は衝撃の降格人事に度肝を抜かされた。

部署内で発表された時、パワハラ上司は、しっかり怒っていた。いや、むしろキレていた。
あんたたちのせいでこうなったと言わんばかりの態度で「この人事の理由は、言われると困る人がいると思うのでここでは言いませんけど。」と嫌味をいう始末だった。

ただ、その後表立って当たってくることはなくなり、大人しくなった。態度が強い人ほど打たれ弱いというのは本当だったのか。

パワハラ、バイバイ

パワハラ上司とはいえ1人の人生をぶち壊したことに変わりはなく、多少の罪悪感はある。
ただ、これは私のせいなんだと考えるのは傲慢なんじゃないかとも思う。

会社だって、入社数ヶ月の小娘の言い分を丸呑みにした訳じゃないだろうし、それだけで役職持ちの人間をパート社員に降格できる訳もない。
それでも、私が周囲に与えた影響はちっぽけだが確かにあったんだな、と思える経験だった。

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