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利賀村の自然の中で愉しむ前衛的地方料理「L’evo」冬の章

noteでも何度かご紹介させていただいた富山県南砺市利賀村にある「L’evo(レヴォ)」。

あまりに雪深く、厳しい道を通らないとたどり着けない山奥の秘境ともいえる場所ゆえ、春夏秋は制覇すれど、冬は未踏だったのですが、宿泊者へのサービス「送迎」という手を使ってようやく伺うことができました。

予想通り、あたりはすっぽりと雪に埋もれております。

部屋から見る景色は幻想的なのですが、いかんせん部屋の窓が大きいので、ブラインドを開け放しておくと暖房の効きが悪くなり、防寒しないと結構冷えます。

さて、たっぷりと雪景色を堪能したら温かいレストラン棟へ。


まず供されるのは、北陸唯一の種麹屋、福光の石黒種麹店さんの甘酒。飲む点滴といわれ、栄養たっぷりの甘酒にしょうがを加えて。麹の力で軽く体を整えたら、プロローグがやってきます。

炭の香りをつけた白エビ、山椒が効いた幻魚、レヴォ鶏の肝のムースが挟まったビーツのメレンゲ…いつもながらのレパートリーなのですが、飽きないんですよね。口どけしかり、味わいしかり。同じなのだけど確実に食べやすく、すっと身体になじむものになっている。これがレヴォだよね、という納得のスターター。

アカヤガラ。といっても魚の身はなく、ダシ(ジュ)のみ。アカヤガラのエキスがたっぷり溶け込んだ甘みのあるジュレの下はジャガイモのピュレやウニ。レヴォ流極上ヴィシソワーズです。

ちなみにワインもしっかりいただいております。
毎日富山市内から利賀村まで車で通うシニアソムリエの浅野氏セレクトのペアリング。富山の地酒、地ワインのチョイスもあるのですが、今回は富山にこだわらず、おすすめをお願いいたしました。

赤蕪。利賀村でとれる赤蕪はラペに。その下にはペースト状の入善の牡蠣が。カリッと焼いたじゃがいものカップをつまんで口に含むと、それぞれのうまみが溶け合いながら広がって、脳内にその美味しさが駆け巡り思わずにんまり。


月ノ輪熊。熊と花と野菜。里山の滋味を噛みしめるごとに味わえる。

香箱ガニ。内子とカニの身をたっぷりと白子にかけて。レヴォ的鍋を食べているのような、この時期ならではのごちそう。

アオリイカ。薪の香りをまとわせたアオリイカは絶妙な火入れで貝のジュとよく合う。

大門素麵。砺波市柿里の半生の大門素麺をアルデンテにゆでて。黒部のヤギのチーズとふきのとうのオイルでいただくのですが、これがくせになるんですよ。わんこそば的におかわりしたいといつも思う外せない一品。

L’evo鶏。レヴォの名前を冠するスペシャリテ。だけれどいい状態の鶏ができなくてしばらくお休みしていたとか。久しぶりに復活したという今回のL’evo鶏は今までになく脂の乗りがよく、いつものL’evo鶏らしくないというけれど、これはこれでいい。ジュワーッと広がる脂と肉のうまさがいままで以上に感じるのだから。

虎魚。いつもスパイスを効かせて焼き上げる虎魚を、今回はさらにココナッツミルクを加えてタイカレー風に。ちょっとライスが食べたいな、と思った一品。


猪。やわらかくとろける上質の肉。猪の野趣あふれるイメージが払しょくされた一皿。ここまで猪のクオリティを上げるのはさすが。


洋梨。

あんぽ柿。
いつもちょっと多いし甘さが強いな、と思うレヴォのスイーツ。でも今回どちらもさっぱりしていてするりとお腹の中に。特に甘いイメージのあるあんぽ柿にマスカルポーネチーズを合わせることですっきりと仕上げられていて、干し柿嫌いの私にとって驚きの美味しさでした。

次の日はもちろん、たっぷり朝食をいただいて。

冬のレヴォを心ゆくまで堪能したのでした。

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