シンプルな文章で独白を丁寧に綴る【感想文】「ブラックボックス」(群像2021年8月号)砂川文次
(ネタバレあり)芥川賞候補作「ブラックボックス」読了。芥川賞はまったく守備範囲ではないのだが、作者の砂川文次氏は元自衛官という経歴が気になって前回ノミネート作「小隊」から注目している。本作前半はメッセンジャー業務についてのあれこれが丁寧に描かれて面白い。後半は刑務所に入った主人公の内省と独白に磨きがかかって、さらに読み応えがあった。徹底的に刈り込まれた文章が心地よい。他の候補作は未読だが、芥川賞選考ではどう評価されるのか。ところで、p265上段「シフトを大目にいれていたから」