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【シニア世代】音楽人生第3章〜禁断の領域〜

旦那さんが買ってくれたレコードプレーヤーが届いた。

なぜデジタルが進化していったのか、確認する旅に出てしまった気がする。

そう。テクノロジーの進化は、面倒なことをショートカットしてきた歴史だ。

レコードで音楽を聴くための手間も、ショートカットされてきた。

レコードを聞くためには、儀式のような行程を踏む(ことを思い出した)

まず、紙のケースを包むビニールからガサガサ出す。それから、紙のケースからビニールを包むレコード本体を出す。最後にレコードを包むビニールから出す。

子ども時代、ビニールをビリビリ破ってしまったことを思い出した。

泣きたい気持ち。当時の無力感と共に蘇る心の声。

(私にはレコードを聴く資格がないのかもしれない)

レコードはデリケートな盤だ。細かい線の溝は、触ってはいけない禁断の領域。

レコード本体を出すときには、細心の注意を払わなければならない。

「ダメダメダメダメダメ」

禁断の領域を少しでも触ろうものなら、親に叱られた。

(なんであんなにムキになって叱られたんだろう?)

ふっと思う。

今、側にいるのは旦那さん。

「ここ触っちゃいけないところだよね?」と、確認しながらレコードを出す。

が、禁断の箇所を、相変わらず、少し触れてしまう。

旦那さんは、親と違って優しく教えてくれる。

「そう、そういう出し方は盤に触れるね。次に出すときは気をつけてやってみて」

「わかった」

もしかしたら、わざと私はやったかな?

そんなことないですか?わざと間違ってみること。

こんがらかっている糸を丁寧に引き出して、もう1度つなぎ直す。

リスタート。

そんなことを、どさくさに紛れて、やりたかったのかもしれない。

30年ぶりの最初の儀式を経て、ようやく空気を震わせて聞こえてきた音楽は?

松田聖子ちゃんのアルバム「ユートピア」でした。

なんとも言えない、切なくて甘い歌声と、オーケストレーション。

最高でした。

来週あたり、街のレコード屋さんに繰り出そうかな?













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