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働きやすさとはなんぞや

ひさしぶりに求人広告に関係するテーマで書いてみます。

求人広告制作の世界にいるとフタコトメには、ぐらいの頻度で出てくるキラーワードがあります。キラキラワードではありません。キラーワード。

それが「働きやすさ」という言葉。

求人広告制作以外でも近しいフィールドであれば、よく聞きますよね。人事や採用広報、採用ブランディングの現場でしょっちゅう耳にします。

ちょうどいま、2026年新卒採用に向けてのコンセプトやスローガンづくりの最盛期。わたしも3社ほどお手伝いをさせていただいていますが、どのクライアントも働きやすさについて一家言お持ちでいらっしゃいます。

また、わたしが所属している会社でも絶賛人材募集中で、わたし自身採用コミュニケーションのディレクターとして日々、さまざまな媒体社さんからの取材を受けています。その中でも働きやすさはひとつの大きなテーマとして扱われます。

ただこの働きやすさ、あまりにも流通しすぎて擦られすぎて、本当の働きやすさってなんだろう、という議論が置いていかれているような気も。

働きやすさっていうのは、要は、働く人が感じることなんだから、時代や社会の変化によって変わっていくはず。なのに、割と現場で聞くのは旧態依然というかステレオタイプな働きやすさなんだよなあ、自戒も込めて言うと。

と、いうことで師走ではありますがほんの一瞬だけ立ち止まって、働きやすさって何か、ということについて考えてみます。

働きやすさのいろいろ

そもそも働きやすさとひと言でいいますが、その中身は会社によって違います。また働く側によっても何を働きやすさと感じるかは異なるはず。

果たして自分の会社の働きやすさってなんだろう。それは本当に働きやすさなんだろうか。実際に働いている人はどう感じているんだろうか。

この問いかけを、まず採用人事側は考えるべきではないかと思います。

そうすることなくやれ競合差別化だの、やれキャッチーな表現で掴むだの、やれインターンで囲い込むだのと騒ぐのはいささか早計ではないかと。

また、どんなことに働きやすさを見出す人材を採用したいのかということもしっかりと言語化したいもの。企業が提供できる働きやすさと社員が求める働きやすさが噛み合っていないほどの不幸はありません。

仕事がしやすい、ということが働きやすさという人がいます。休みが取りやすい、ということが働きやすさというワーカーもいるでしょう。裁量が大きいことこそ働きやすさだ、と主張するバリキャリもいるはず。あるいは指揮命令系統と業務内容が明確じゃないと働きにくい、とつぶやく現場作業員がいたっていい。

業界や業態、企業のフェーズ、あるいは社員のレイヤーによって変わってくるものでしょう。

さきほどの例でいうと、たとえば入社したばかりの新人にとっては指揮命令がしっかりしていて、自分がやらなければならない業務範囲が言語化されていることが働きやすさの担保となります。

しかしその会社に勤めて20年、なんていうベテランになるとポジションにもよりますがガッチガチのマネジメントされるより裁量を大きくもらえて放置プレーされるほうがよほど働きやすい。特にプレイヤー志向の人ね。

もしかすると最近はマネジャーになりたくないという人が増えてきているから、数年するとこういうベテラン勢の層が厚くなるかもしれません。

採用時にやるべきこと

では、採用ブランディングや求人広告をつくるときに作り手であるわれわれは何をすべきか。

それはまず、採用対象者の定義をシンプルかつ丁寧にすること。

その上で世の中の見立てを出発点において、いま、その対象者に提供しようとしている採用企業の働きやすさは本当に正しく響くか、を考える。

ここ数年は働きやすさといえば猫も杓子もリモートリモートの大合唱でしたが2024年を迎えようといういま、果たしてそのままでいいのか。あるいは新卒採用においては2026年入社組になります。そのときにリモート一辺倒で働く人を惹きつけられるのか。

あるいはWebでの情報収集が当たり前のZ世代は情報に対してシニカルな態度を取りがち。声高に「夢」「笑顔」「感動」などと叫べば叫ぶほど騙されないぞというスタンスが強固になります。

それまで不動産広告の王道であったキャッチコピーを「マンションポエム」採用広告のキャッチフレーズを「採用ポエム」と見下す、あれです。

そんな人たちは果たして、有給が取りやすいことを働きやすさと捉えてくれるでしょうか。それって当然の権利ですよね、とひろゆき顔でいわれておしまいではないか。

あるいは失敗が歓迎される環境だからチャレンジしやすい、と呼びかけて本当に額面通りに受け取ってくれるでしょうか。まあこれは世代に関わらずオーバートークあるいは解釈の違いからチャレンジャーは「だから言ったのに…」という目に遭う、という様式美を極めているんですけどね。

そのあたりをしっかりと考え抜いた上で、メッセージに載せるか、それともはずすか。ここらへんの見極めは本当に大事です。これをやらないと永遠にスベリます。ハズしまくります。

働きやすさの正体

さて結論、働きやすさとはいったいなんなのか。

「休みが取りやすい」
「フレックス可」
「リモート選択可」
「裁量が大きい」
「仕事の進め方に自由度がある」
「コミュニケーションが密」
「人間関係が良好」
「教育や研修が充実している」
「評価が明確で納得感ある」

これらに共通しているのは、社員を単なる労働力ではなく、ひとりの人間として尊重していることではないでしょうか。

その姿勢が制度なり、風土なりにあらわれていることが、結果として働きやすい環境につながっているように思えます。

そうやって考えると。

比較的「働きがい」に目を向けて採用コミュニケーションを設計しがちではありますが「働きやすさ」でマッチングさせることにもう少し力を入れてもいいんじゃないか、と思う師走の月曜の夜なのでありました。

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