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なぜあなたはヒトラーの『わが闘争』の内容が理解できないのか?【おすすめの読書術】

『わが闘争』世間では悪名高い本のタイトルの著者は言わずもがなアドルフ・ヒトラーその人です。1923年11月にミュンヘンで起こした一揆の失敗により、ヒトラーは逮捕されましたが、その獄中生活の間に『わが闘争』を執筆したのです。誰もが一度は耳にしたことがあるその本は、ナチスドイツ時代10人に1人がナチ党員であったことから、ドイツ人の10人に1人が読んだベストセラーでした。実際に『わが闘争』を読み感銘を受けてナチになった人はたくさんいます。ヒトラーを知るには、彼が後に作ったナチズムを知るには重要なバイブルとも言える『わが闘争』ですが、現代の日本で読んだ人、またその内容を理解した人は果たしてどれだけいるのでしょうか?読み進めても意味が分からない、読む気が失せたと諦める、ユダヤ人の罵詈雑言だらけで胸糞が悪くなったと放り投げてしまう人が大半ではないでしょうか?中には自分が解読不可能だったことを、馬鹿らしい、こんな本は読む価値がないと言う人もいます。あなたはなぜ『わが闘争』が読めないのでしょうか?今回はその理由について、私自身の経験を踏まえて述べることにします。これは読書術や読書のテクニックにもなりますので、ヒトラーや『わが闘争』に興味がない人でもぜひ読んでみてください。

『わが闘争』の内容が理解できなかった私

まず私自身、何を隠そう最初は『わが闘争』を全く理解できず途中で放り投げてしまった一人でした。ドイツ渡航を夢見てドイツ語を勉強する傍ら、ドイツに行くのだとしたらヒトラーやナチスについてしっかり知識を得ている方が良い、タブーを知っておこうと思い、本や映画で学ぼうとしたありふれた人間だったのです。私は学生時代に世界史が得意な科目であり、ヒトラーについて習った授業は鮮明に覚えていて、『わが闘争』の存在も当然知っていました。私は歴史人物の中でもヒトラー、第二次世界大戦のドイツにはとりわけ興味があり(ドイツ語を後に習ったのはヒトラーが理由)、その中身は難しいという噂があるものの、なんとなく自分は『わが闘争』が理解できるのではないかと思っていました。しかし、蓋を開けると驚くほど全く理解できず、落ち込みました。もういいやとお蔵入りとして途中で放り投げてそのままにしていたのです。しかしナチズムの研究に没頭した3年後に再び読むと、目から鱗、驚くことに『わが闘争』が読める、ヒトラーの言葉がなるほどと理解できる自分がいたのです。これほどまでに感激したことはありませんでした。

話が長くなりましたが、次項よりあなたが、また多くの人がなぜ『わが闘争』が読めないのか、その理由を紹介していきます。

『わが闘争』の内容が理解できない理由①電子書籍で読んでいる

あなたは電子書籍で本を読んでいませんか?電子書籍とはスマートフォン・タブレット・PCなど、電子機器で読める書籍のことです。便利な世の中になり、本を持ち歩かずとも電子書籍でいつでもどこでも端末一台のみで本を読むことができ、私も電子書籍に一時ハマりました。『わが闘争』も電子書籍に対応しており、手軽に読めることができます。しかし、便利な一方で、電子書籍は紙とは違い理解の量が大幅に下がってしまう。これは2014年ノルウェイのスタヴァンゲル大学の研究者、アン・マンゲン氏、また日本でも2022年、昭和大学の本間元康講師、泉﨑雅彦教授らの研究チームらの研究結果によって指し示されています。通常紙の本で読書をすると、脈拍数が減り、リラックスし、記憶力、集中力は高くなる一方で、電子書籍の場合はその電子機器に使われるブルーライトが目の負担になるだけでなく、睡眠ホルモンであるメラトニンが抑制され、睡眠不足になり、記憶力低下に繋がるというのです。要するに、電子書籍で『わが闘争』を読んでいると、集中力、記憶力の維持が難しいという不利な状況を作ってしまっていると言えるでしょう。

『わが闘争』の内容が理解できない理由②お金を払っていない

あなたは『わが闘争』にお金を払いましたか?『わが闘争』はAmazonでは電子書籍のKindle版が出版されていて、過去長らくKindle Unlimitedの対象になっていました。要するに無料なのです。無料だから手軽に読んでみようとする人が多く、それは良いことなのですが、だがしかし読めないのは、お金を払っていないからです。人は自払を切ったものに強い信念を持ちます。人は誰かにもらった教材より、自分でお金を出して高く買った教材の方を勉強します。質が全く同じでも、バーゲンで買ったものはそうでない定価で買った時よりも値引きとして低く見てしまいます。タダであれば価値は0円。つまり、無料の『わが闘争』は自分にとって無価値、読もうという気も薄れてしまいます。

今では『わが闘争 (まんがで読破)』がKindle Unlimitedの対象になっているようで、Amazonでは多くのレビュー投稿がついています。『わが闘争』が読めなかった人向けで入門書としては良い切り口かもしれません。しかしながら、漫画だけだと偏った解釈もあるので、結局はきちんと『わが闘争』を読んだ方が良いのです。

ちなみに、角川文庫から出ている『わが闘争』よりも東亜研究所訳出の呉PASS出版の方がおすすめです。これは文庫本ではなくずっしりと重いのですが、何よりもドイツ原文の表紙とソックリでテンションが上がります。

『わが闘争』の内容が理解できない理由③最初から読む、読破しようとしている

読書の陥りがちのミスとして最初から順番に読もうとすることです。順番に丁寧に読み最後の方に行くと、前半で語られていたことを忘れて結局何が言いたかったのか?で終わってしまうのです。本は最初から全部読もうとしなくていいのです。読破することで本を読んだ気になりますが、小説でもない本は自分の気になったところをつまみ食いのように拾っていき、自分のものにするのです。だからまず本を開いたら目次を見て自分がほしい情報がどこにあるか見てそのページを開くこと。例えば全く初めての建物に行ってエントランスの案内図も見ずに下の回から順番に回っていくなんて非効率なことはしないのと同じですよね。ヒトラー自身も『わが闘争』の中で読書の在り方を語っています。

本質的なものを保持し、本質的でないものを忘れること。

アドルフ・ヒトラー『我が闘争より』

ヒトラーは青年ウィーン時代でも、第一次世界大戦が終わった後も本を大量に読みました。ヒトラーは読書や学習はそれ自身が目的ではなく、手段であるに過ぎないと語っています。記憶すべきこととそうでないものを取捨選択し、自分の能力を引き出すために助力すべきことだと自身の経験から知っていたのです。

『わが闘争』の内容が理解できない理由④早く読もうとしている

早く読むことを意識しすぎて理解していないまま先に読み進めてしまっている、こうなれば当然本の中身は頭に入ってこないでしょう。本の文字を見れば読んだ気になるのですが、脳がその文字を理解するのに一定数の自差が生じ、脳が追いついていないのに、次にどんどん読み進めようとするとまるで理解できないのです。なぜ急ぐのかそれは本を早く読みたい、読破したい気になっているのかもしれません。既にお伝えしたように本を読む行為は読破するのではなく、情報を自分の中で取捨選択し必要なものだけ保持することなのです。

『わが闘争』の内容が理解できない理由⑤入り込まない

実はこれが一番の理由かもしれません。要するに本を理解しようという意志がないのです。当時のドイツ人は『わが闘争』を読んで感銘を受けた人がたくさんいました。第二次世界大戦中にドイツにいた日本人で、敗戦後も当時知り合ったドイツ人(SSヒトラー親衛隊や国防軍、その他一般人)と文通をしていた人の手紙を読んだことがありますが、ドイツ人の考えや精神の深さにひどく感動し、昔のドイツ人はなんて頭がいいのかと思いました。しかし、ナチ党員とは一般的に国民社会主義ドイツ労働者党というその名称から労働者の支持者が多く、彼らが果たして『わが闘争』を読めたのかと疑問でしたが、これは単に頭の良し悪しではないと考えました。読める人、読めない人両者の決定的な違い、それは入り込めたかどうかなのです。『わが闘争』を読む際に一切のフィルターを排除する、そうすることで見えてくる世界が違ってきます。「歴史は勝者によって作られる」とは、ヒトラーのライバル、イギリスのウィンストン・チャーチルが言いました。また、マスコミのフィルターによって我々は世界を見せられていて、あたかもマスコミの考えが自分自身の考えかのように映っています。要するに我々は自分自身の考えを奪われているのです。〇〇=悪、そうではないくヒトラーが目指そうとしたこと、なぜ彼はユダヤ人を敵と見なしたのか?ホロコーストの真実は何だったのか?と既存のフィルターを外し、ナチ側に入り込んで考えることなのです。

私は子どもの頃から、世間一般では悪魔、サイコパス、殺人者と呼ばれる人たちに対して関心が強く、彼らが書いた本を読んできました。そこで世間一般やマスコミが語らない新しい視点に気づき学びにもなったのです。周りにそれらの本を薦めたこともありますが、彼らはそもそも本を読まない、読んでも途中で投げ出す、読んでも理解できなかったと言います。なぜ読めないのだろう?そう思った時、入り込もう、理解しようという気があるのかどうかなのだという結論に至りました。

最後に

今回は「あなたが『わが闘争』を読めない理由」という内容について紹介しました。ぜひ『わが闘争』をリベンジしてみてください。しかしながらそれでも難しい、手っ取り早くヒトラーの考えていたこと、ナチズムとはなんだったのか知りたいという人は以下の記事がまとまっているのでぜひ参考にしてみてください。

▼【完全版】ナチズムの全てが分かる▼

▼【こちらもおすすめ】ヒトラーはなぜユダヤ人と戦ったのか?歴史が隠した真実▼

ここまでお読みいただきありがとうございました。
白狼(はくおう)ちとせ🐺


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