かわかわ

noteは、自分への教養の種まき。主に東京国立博物館(トーハク)を散歩しています。

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日本最大級の東京国立博物館の見どころ【6月6日現在】

東京国立博物館(トーハク)は、収蔵品数が約12万件、そのうち国宝が89件で重要文化財が649件(2023年4月現在)という、日本最大級の博物館です。そんなトーハクは、毎週、…

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8か月前
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国宝2振と無数の重文の刀剣が見られる、今季のトーハク

東京国立博物館(トーハク)の刀剣の間……1階の13室では、5月28日(火) ~8月25日(日)の期間で、国宝2振が展示されています。 その1つは、渡邊誠一郎氏から寄贈された…

かわかわ
1時間前
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トーハクにあった! 松花堂昭乗の家……の立体絵図面

東京国立博物館(トーハク)には、現在、江戸時代に作られたという立体絵図面…起こし絵《八幡山瀧本坊茶立所座敷共建地割》が展示されています。模型が好きなわたしは「お…

かわかわ
1日前
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もうすぐ『超・日本刀入門』展が始まります! 静嘉堂@丸の内 国宝・重文9振 撮影OK

丸の内にある静嘉堂美術館では、6月22日(土)~8月25日(日)の会期で、『超・日本刀入門revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ』展が開催されます。同展のチラシによれば、…

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3日前
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静かに“やまと絵”を鑑賞したい人におすすめな、上品な泉屋博古館へ

泉屋博古館は、雨の似合う美術館。先日わたしが行った特別展『歌と物語の絵』の報道向け内覧会も、昨年の木島櫻谷の特別展の内覧会と同様に、雨が降っていました。地下鉄の…

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6日前
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久しぶりに『東京国立博物館の見どころ』を紹介する……と言いつつ、自分のnoteの目次ページのようなnoteを更新しました。トーハクの毎週の展示替えペースに、ちょっとついていけていないのが現状です……すごいなトーハク。

https://note.com/hakubutsu/n/nfc155dcbaf60

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7日前
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群像を生き生きと描く、前田青邨の出世作《神輿振(みこしぶり)》……東京国立博物館

目まぐるしく展示替えされる東京国立博物館(トーハク)の総合文化展……いわゆる常設展……は、月に数回通っていても見飽きることがないどころか、見逃してしまう展示品も…

かわかわ
9日前
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狩野派2代の狩野元信が描いたかもしれない《囲碁観瀑図屏風》 @東京国立博物館

狩野派の2代である狩野元信の作と言われる屏風を、東京国立博物館(トーハク)で見るのは、今季で3〜4回目になります。現在展示されているのは、重要美術品に指定されてい…

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10日前
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【フィールドワーク】『たけくらべ』の街の祭りに参加してきました

『たけくらべ』と言えば、樋口一葉の代表作です。 何が書いてあるのかさっぱりわからないけれど、読んでいるとぐんぐんと先へ進みたくなる調子(ノリ)の良い文章です。同…

かわかわ
13日前
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ほんとに⁉︎ 黄檗宗の著名僧の筆蹟がズラリッ! @東京国立博物館

現在、東京国立博物館(トーハク)には、《黄檗山高僧書巻》という書跡が展示されています。黄檗山ってなに? とか、高僧って具体的には誰なの? など、気になることは色々…

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2週間前
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小野道風が記した国宝の「勅書」 @東京国立博物館

特に尊王攘夷が吹き荒れた江戸幕末を舞台とした時代劇では「勅許(ちょっきょ)が くだったぞ!」などといったセリフが聞かれますが、その勅許を記したのが勅書(ちょくし…

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2週間前
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池大雅と妻・池玉瀾の作品を見てきました@東京国立博物館

これまで何度か言及したことのある、NHKの正月時代劇『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』では、伊藤若冲を主軸として円山応挙や池大雅が出演していました……(なぜ与謝…

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2週間前
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わたしも思いました…これは呉春の傑作です。《山水図屏風》@東京国立博物館

東京国立博物館(トーハク)の近世以降に描かれた、屏風絵のラインナップが一新されました。 「良いなぁ」って感じる絵は、その日その時の気分によって異なることがありま…

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2週間前
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久隅守景さん筆の《鷹狩図屏風》…東京国立博物館 画像アーカイブ

久隅守景さんといえば、東京国立博物館(トーハク)所蔵の国宝《納涼図屏風》が、最も知られている作品です。家の軒端に作られた夕顔棚の下で、家族3人が夕涼みしている様…

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2週間前
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伝 岩佐又兵衛筆の《故事人物図屏風》…東京国立博物館(非公式画像アーカイブ)

東京国立博物館(トーハク)で、4月から展示される作品として、楽しみにしていたものの1つが、岩佐又兵衛の作品と伝承されている《故事人物図屏風》でした。すぐに見に行っ…

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2週間前
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東京国立近代美術館の常設展って贅沢ですね

数カ月ぶりに東京国立近代美術館(東近美)へ行ってきました。目的はMOMATコレクション……常設ではないけれど、いわゆる常設展……収蔵品展ですね。やっぱり自分は、近代…

かわかわ
3週間前
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日本最大級の東京国立博物館の見どころ【6月6日現在】

東京国立博物館(トーハク)は、収蔵品数が約12万件、そのうち国宝が89件で重要文化財が649件(2023年4月現在)という、日本最大級の博物館です。そんなトーハクは、毎週、平常展の展示替えがあり、いつ行っても新鮮な気持ちで見て回れる……逆に言うと「トーハクには、これが展示されているから見に行く」というのが難しいです。 ということで、ここでは「トーハクへ行ったら、今日はこれが見られる」という、過去noteで記した見どころを、(できるだけ毎週)更新していきたいと思います。 な

国宝2振と無数の重文の刀剣が見られる、今季のトーハク

東京国立博物館(トーハク)の刀剣の間……1階の13室では、5月28日(火) ~8月25日(日)の期間で、国宝2振が展示されています。 その1つは、渡邊誠一郎氏から寄贈された《刀 相州貞宗(名物 亀甲貞宗)》で、もう1振が《短刀 相州行光》。正直、「こちらが国宝で、こちらが無指定の理由」……つまりは価値の有る無しが、まだ分かっていませんが、分かっていないからこそ、国宝や重要文化財のラベルが貼ってあるものをできるだけ見ておきたいと思っています。 ちなみにトーハクの13室の展示

トーハクにあった! 松花堂昭乗の家……の立体絵図面

東京国立博物館(トーハク)には、現在、江戸時代に作られたという立体絵図面…起こし絵《八幡山瀧本坊茶立所座敷共建地割》が展示されています。模型が好きなわたしは「おぉ〜」と感嘆したわけですが、その詳細をnoteしておきたいと思います。 《八幡山瀧本坊茶立所座敷共建地割》というタイトルを簡単に言えば、石清水八幡宮のある男山に住んでいた松花堂昭乗の瀧本坊の茶立所の座敷などの見取り図……という感じでしょう。ぜんぜん簡単ではないですね。まぁとにかく、松花堂昭乗が住んでいた建物を立体絵図

もうすぐ『超・日本刀入門』展が始まります! 静嘉堂@丸の内 国宝・重文9振 撮影OK

丸の内にある静嘉堂美術館では、6月22日(土)~8月25日(日)の会期で、『超・日本刀入門revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ』展が開催されます。同展のチラシによれば、「日本刀の黄金時代」と称される鎌倉時代を中心に、平安~南北朝の古名刀を特集するということ。 ■国宝・重要文化財の9振を展示 静嘉堂文庫は約120振の刀剣を所蔵しているそうですが、その中には、国宝1振を含む重要文化財9振があります。今展では、9振全てが展示されるほか、織田信長や滝川一益、直江兼続などの戦国武将に

静かに“やまと絵”を鑑賞したい人におすすめな、上品な泉屋博古館へ

泉屋博古館は、雨の似合う美術館。先日わたしが行った特別展『歌と物語の絵』の報道向け内覧会も、昨年の木島櫻谷の特別展の内覧会と同様に、雨が降っていました。地下鉄の神谷町駅からアークヒルズと泉ガーデンタワーの谷間にある細い道を歩いていくと、雨で濡れた艷やかな美術館が見えてきます。 わたしが同館を訪れたのは2回目。昨年の木島櫻谷展でも感じたのが、小さいけれど、とても上品な美術館だなということ。特別展の展示点数こそ多くないし、国宝や重要文化財の指定品も多くありません。それでも、とて

久しぶりに『東京国立博物館の見どころ』を紹介する……と言いつつ、自分のnoteの目次ページのようなnoteを更新しました。トーハクの毎週の展示替えペースに、ちょっとついていけていないのが現状です……すごいなトーハク。 https://note.com/hakubutsu/n/nfc155dcbaf60

群像を生き生きと描く、前田青邨の出世作《神輿振(みこしぶり)》……東京国立博物館

目まぐるしく展示替えされる東京国立博物館(トーハク)の総合文化展……いわゆる常設展……は、月に数回通っていても見飽きることがないどころか、見逃してしまう展示品も少なくないです。 週末の空いている時間帯……17時以降に行って、これだけは見たい! と狙いをすまして観てきたのが、前田青邨さんの《神輿振(みこしぶり) A-10555》です。これまで何度か前田青邨さんの作品を(トーハクだけで)観てきましたが、この絵巻もすばらしいものでした。 大正元年(1912)に描かれた今作は、解

狩野派2代の狩野元信が描いたかもしれない《囲碁観瀑図屏風》 @東京国立博物館

狩野派の2代である狩野元信の作と言われる屏風を、東京国立博物館(トーハク)で見るのは、今季で3〜4回目になります。現在展示されているのは、重要美術品に指定されている《囲碁観瀑図屏風 A-11689》。 解説パネルには“伝”狩野元信筆と記されているので、必ずしも狩野元信さんが描いたのかは不明なのでしょうが、まぁ彼が生きた時代……本格的に戦国の世になりつつある時に描かれた屏風であることは間違いないのでしょうし、狩野派がこうした絵を描いていたことも疑いないのでしょう。 どう戦国

【フィールドワーク】『たけくらべ』の街の祭りに参加してきました

『たけくらべ』と言えば、樋口一葉の代表作です。 何が書いてあるのかさっぱりわからないけれど、読んでいるとぐんぐんと先へ進みたくなる調子(ノリ)の良い文章です。同じような土地で書かれた池波正太郎の、一文が短くて歯切れの良い文章も好きなのですが、樋口一葉の『たけくらべ』も名文だなぁと感じてしまいます。 太字にした場所は、どこも数回から数十回は前を通り過ぎたり、境内の中に入ったことのある場所ばかり。樋口一葉記念館が近くにあるのは知っていましたし、なんなら選挙で投票所として指定さ

ほんとに⁉︎ 黄檗宗の著名僧の筆蹟がズラリッ! @東京国立博物館

現在、東京国立博物館(トーハク)には、《黄檗山高僧書巻》という書跡が展示されています。黄檗山ってなに? とか、高僧って具体的には誰なの? など、気になることは色々とあって、調べてもみたのですが、まだ雰囲気くらいしか分かっていないため、今回はスキャンしてきた写真と、引用文のみで構成していきます。 そもそも調べていくうちに、これが真筆だとしたらもっと注目されていても良いんじゃないかな……でも実際にはそれほど注目されていないから真筆ではないのでは? という疑念もあったりと……でも

小野道風が記した国宝の「勅書」 @東京国立博物館

特に尊王攘夷が吹き荒れた江戸幕末を舞台とした時代劇では「勅許(ちょっきょ)が くだったぞ!」などといったセリフが聞かれますが、その勅許を記したのが勅書(ちょくしょ)ということになるかと思います。 現在、東京国立博物館(トーハク)には、《円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書》という国宝が展示されています。非常に分かりづらいタイトルですが、分かりやすく記すと、こんな感じです。 「醍醐天皇が円珍に、僧の最高位である法印大和尚の位を贈ったよ。あと、これからは円珍を『智証大師』と呼

池大雅と妻・池玉瀾の作品を見てきました@東京国立博物館

これまで何度か言及したことのある、NHKの正月時代劇『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』では、伊藤若冲を主軸として円山応挙や池大雅が出演していました……(なぜ与謝蕪村は外されたんですかね?)。わたしが江戸時代の京都画壇に興味を抱いた、きっかけになったドラマと言っても過言ではありません。 東京国立博物館(トーハク)は展示替えが頻繁に行なわれますが、いつ行っても、この3人のいずれかの作品が、少なくとも1点は見られます。6月30日までの今季の屏風・襖絵の部屋では、友人の与謝蕪村

わたしも思いました…これは呉春の傑作です。《山水図屏風》@東京国立博物館

東京国立博物館(トーハク)の近世以降に描かれた、屏風絵のラインナップが一新されました。 「良いなぁ」って感じる絵は、その日その時の気分によって異なることがありますよね。呉春……そんなに好きだったかなぁと思うほど、今朝見た時には、すごく良い絵のように感じました。 ■呉春の傑作《山水図屏風》 2年ぶりに見る呉春の《山水図屏風》は、以前よりも描かれた世界の中に、飲み込まれるように感じました……というと言い過ぎかもなとも思うのですが、ほかに良い言い方が思いつきません。(↓2年前

久隅守景さん筆の《鷹狩図屏風》…東京国立博物館 画像アーカイブ

久隅守景さんといえば、東京国立博物館(トーハク)所蔵の国宝《納涼図屏風》が、最も知られている作品です。家の軒端に作られた夕顔棚の下で、家族3人が夕涼みしている様子を描いた作品です。月を眺めている、みんなが穏やかな表情が、ほっこりとする雰囲気が良いですよね。 久隅守景さんといえば、この《納涼図屏風》が思い浮かぶし、《納涼図屏風》といえば久住守景さんが思い浮かびます。 ただ……わたしの中で、久隅守景さんって、この作品しか思い浮かばないんですよね。同図の解説パネルには「狩野探幽

伝 岩佐又兵衛筆の《故事人物図屏風》…東京国立博物館(非公式画像アーカイブ)

東京国立博物館(トーハク)で、4月から展示される作品として、楽しみにしていたものの1つが、岩佐又兵衛の作品と伝承されている《故事人物図屏風》でした。すぐに見に行ったのですが……noteするまえに、5月19日に展示替えとなってしまいました。 見た時には、さすが! という感じでした。「伝」なので、本当に岩佐又兵衛さんが描いたのかは怪しいところですが、これが本人作だろうと、岩佐工房のスタッフが描いたとしても、岩佐さん関連の人が描いただろうことは、確かなのではないでしょうか……って

東京国立近代美術館の常設展って贅沢ですね

数カ月ぶりに東京国立近代美術館(東近美)へ行ってきました。目的はMOMATコレクション……常設ではないけれど、いわゆる常設展……収蔵品展ですね。やっぱり自分は、近代美術といっても日本画か日本画の系譜にある絵画が好きだなぁと改めて思いました。 ■透明感が良い鏑木清方(かぶらき きよかた) トップバッターは、鏑木清方さんの《初冬の花》。東近美には、この方の作品がいくつあるんですかね。いつ行っても、必ず1点は作品を見られるのがうれしいです。 作品名となっている「初冬の花」とは