見出し画像

詩 老木

節くれだち苔むした
老木が立っている

枝には少し色づいた
葉をつけて
陽の光を浴びている

何箇所か切られた枝の跡
真っ黒になった木の肌が
生きてきた年月を物語る

でも葉は生命力に満ち
若木と何ら変わらない

この老木は僕に
きっとこう言うだろう

強い陽射しを避けたいのなら
わたしの枝の影で休むといい

雨風をしのぐのなら
わたしの太い幹の影に
隠れればいい

わたしはもうすぐ葉を落とし
冬に備える準備を始めるが

あなたにはその移ろいを
見せてあげよう

春になれば
わたしはまた葉をつけて
花を咲かせる準備をするが

あなたにはわたしの喜びを
分けてあげよう

そして花を咲かせることが
できたならば

真っ先にあなたに届けよう

わたしと共にいるあなたに

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?