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もしかしたら、私の師匠はすごい人かもしれない

先日、バリ島から無事に帰国した。

今回は展覧会のブッキングで行ったのだが、
きちんとブッキングを完了することができた。

多くの方の協力でバリ島に行けて、ほんとうにありがたい。

私は生まれてはじめてバリ島に行ったのだが、アーティストという立場で異国の地をみれて、大変勉強になった。

本当にたくさんのことを学ばせていただいたけれど、なによりの収穫は、
「私の歩んでいる道に間違いがないのだ」と分かったことだ。

現代アート作家の師匠につかせていただいて約2年半が経つが、
師匠のアドバイスの意味が、今になって分かってきた。

師匠の作品

どうして、世の中を生き残るのに、アーティストであることが良いのか?

どうして、海外へアート活動を展開する必要があるのか?

どうして、コンテンツホルダーにならなければいけないのか?

どうして、世界情勢を頭にいれなければいけないのか?

もちろん、師匠のご指導はやってきてはいたけど、正直、意味が分かってなかった。

でも、バリ島に行ってはじめて、師匠のおっしゃっていたことに合点がいった。

バリ島は素敵な場所

バリ島は、東南アジアのインドネシア共和国バリ州に属する島。

芸能・芸術の島として知られ、早くからビーチ・リゾートが開発されてきたバリは、世界的な観光地となっている。

自然も豊かで、都市部にも、青々とした植物がたくさん生えていた。

バリ島の人も温厚で、最初に泊ったホテルでは、皆が笑顔で話しかけてくれた。

気候は高温多湿で、四季はなく、そのかわり、雨期と乾期がある。

私が行ったのは雨期だったため、一日中蒸し暑い日々が続いた。

暑すぎて、激しく動くと、頭がクラクラしてしまう。

そのため、バリ島にいるときは、半強制的にゆっくり過ごすことができた。

宿で出会ったイグアナ

自然も綺麗で、飯もうまい、人もいい。

どおりで多くの日本人がバリ島に魅了されるわけだ。

悲しいバリ島の現状

しかし、現地の方に聞いてみると、今のバリ島は、なかなか厳しい状況らしい。

コロナパンデミックを機に、観光客が激減したとか。

コロナ前にはたくさん来ていたはずの日本人観光客も、
コロナをキッカケにめっきり見なくなってしまったようだ。

確かに、バリ島で日本人は見かけなかった。

バリ島のサル。意外と穏やかだった。

ウブド付近の宿も部屋が空いてしまったり、美術館での観光客も少なくなったとか。

確かに、周辺の飲食店に入っても、お客が少なくてガラガラのところが多かった。

ただ、その代わり、インド系、アラブ系、ジャワ島ムスリムの方や、オーストリアの人たちは来ているらしい。

しかし、彼らはお店を見ても、お金を落としてくれないとか。

「コロナを機に、全てが変わってしまった。」

師匠のご友人であるバリ人は言う。

飯は美味くて、サイコーなんだけどなあ

しかも、物価が上がるのに、賃金は上がらない。

だから、ある程度の水準の教育をうけたひとは、バリ島で「仕事がない」らしい。

師匠のご友人のお子さんは、海外へ出稼ぎに行っている。

つまり、世界全体として、経済状況が悪くなってきているということだ。

こんなに自然豊かなのに…

観光業の盛んなバリ島では、世界情勢の影響をもろに受けてしまう。

でも、生活はしていかなくてはいけないし、家族を養っていかなくてはいけない。

バリ島の各地を訪問したとき、「私たち観光客にお金を落としていってもらわないと困る!」といったような、切迫した気持ちを、現地の人から感じた。

切ない話だ。

お金の使いどころがない

もうひとつ気になったのが、バリ島でお金を出したいと思うものが少なかった、ということである。

バリ島で服やアクセサリーを物色したのだが、思ったようなものがなかった。

お土産屋さんはたくさんあったのだが、売っている商品はどこも同じで、品質もそんなに良くない。

正直、日本の100円ショップで買ったほうがいいと思うようなものばかりだった。

唯一、気に入ったのはこのズボンだけ

そういう意味では、日本は良い国なのかもしれない。

服なり、アクセサリーなり、食べ物なり、どんなジャンルにおいても、安く良いものを手に入れることができる。

そして、コンテンツ大国といわれるだけあって、エンタメが充実している。

しかし、その分、日本にいると「アート」の重要性は分かりにくいのかな、とも思った。

海外では、よりよい文化・芸術を保護しなければいけないという風潮がある。

そして、とくにエリートがそれを率先して行なっている。

それに対して、日本は創作物全般のクオリティが高く、
大衆文化のものでも、素晴らしい品質が保たれている。

エリートに限らず、多くの人がよりよい創作物に囲まれているので、
日本人が芸術を保護する必要性を感じにくいのは、当たり前だと思った。

アートのいいところ

では、日本にアートがいらないのか?というと、
やっぱりアートにも良さがあると思う。

まず、アート作品は資産になる。
それも、コスパの良い資産だ。

資産には、家や車、時計といった、いろんな種類がある。
しかし、それらの資産は所有しているだけで、維持管理費用がかかってしまう。

それに対して、アート作品はものにもよるが、絵画であれば、維持管理費用はあまりかからない。

そして、アート作品には中古という概念がないので、
きちんとマーケットができれば、資産価値がどんどん上がっていく可能性もある。

師匠の作品

アートは国境を越える

そして、アートは国境を越えることができる。

はじめてバリ島にいって、なによりも困ったのがコミュニケーションであった。

まず、言葉が通じない。そして、生きてきた文化も違う。

くわえて、現地の方からすれば、外国人である我々は、どこまでいっても「よそ者」でしかない。

そんななか、師匠は自分の考案したキャラクターをプリントしたTシャツや、スマホで撮った自分の作品を現地の人に見せていた。

すると、「まあ、これはあなたが作ったの!?すごい!」といって、
ちゃっかり現地の方と楽しくコミュニケーションをとっていた。

ちなみに、師匠は英語力が無い。
びっくりするくらい、ない。

しょっちゅう、店員さんと会話が行き違っている。

それでも、作品を見せたら、グッと仲良くなってしまうのだ。

師匠の英語力はデカワ・イングリッシュ並み

アートって、すげえ…

多くのことを語らなくても、作品を見せるだけで、こんなにも伝えられることがあるんだ…

日本にいると、言語を超えたコミュニケーションの素晴らしさに気づきづらい。

なぜなら、日本では、違う文化圏のひとや、言葉が通じない相手に接する機会が少ないからだ。

まだ、観光地なら、いろんな国の方たちが来ているが、私が住んでいるのは日本の田舎。

言葉を超えたコミュニケーションの重要性に気づくのは難しい。

だからこそ、バリ島に行ってはじめて、アートの力を体感できた。

アーティストがいないと困る人がいる

また、師匠がいうには、国の経済が発展していくと、
今度は文化・芸術のレベルをあげようとする、という。

確かに、ときの権力者は、自身の権威を主張するために、美術品・工芸品を集める。

でも、どうしてそうなるのか?

バリ島にいって、ようやく意味が分かった。

バリ島にあった謎の像

国がある程度経済的に発展してくると、どこかの地点で、
他国の「生まれながらのエリート」たちと関わらざるを得なくなってくるからだ。

生まれながらのエリートたちは、小さい頃からハイクオリティのものに囲まれ、教養を育んでいる。

私のような、パンピー(一般人)とは、ワケが違うのだ。

そして、ハイクラスのひとは、下手なところにお金を使わない。
つまり、資産価値がないものには、絶対にお金を使わない。

逆に、資産価値があるものには、きちんとお金を出す。
そして、文化・芸術を保護する必要性も分かっている。

だからこそ、ナチュラル・ボーン・エリートたちと渡り歩かなくてはいけないとき、
芸術が必要になるのだろう。

だからこそ、「アーティスト」がこの世に存在するんだ。

私は師匠について2年半、ようやく師匠の言っていたことが、バリ島で分かりかけてきた。

今さら!?

しかし、その分、自分の足りないところも沢山自覚した。

まず、世の中のことを知らなすぎる!!
とくに、世界情勢に疎すぎ。

師匠が、毎日ありとあらゆる情報をとっているワケがようやく分かった。

そして、やはり、作品量。
いろんなパターンの作品を作っていく必要があると思った。

というわけで、日本に帰ってから、色んなことを調べたり、制作をはじめたりしている。

今回のバリ島での経験は、私にとって多くの気づきを与えてくれた。

あまりに刺激を受けすぎて、この経験を一言では言い表せない。

けど、ひとつ言えることは、「私の今歩んでいる道に間違いはない」ということ。

自分の道の正しさを確信できたことが、なによりも嬉しかった。

さて、やることは盛りだくさん。

自分なりに精一杯、トライしてみよう。

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