障害者への障害者によるいじめ
知的能力が健常者より若干劣ることを境界知能と呼ぶことがあるが、弟はいわば、知的障害の中の境界知能だ。中度と重度の間の知的障害。だから丁度よい支援を受けられる場所は少なくて高校選びも難しかった。養護学校(より手厚い支援が得られる)に行くこともできたが、結局父親の意向で支援学校に進学した。
弟は毎日眼鏡を汚して帰って来る。眼鏡についた白い汚れは涙が乾いた跡だ。家の玄関を開けるときには平然とした顔をしているのだが、父親が汚れに気づくことで、吃音持ちの弟の泥を吐くような長い語り