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旬杯 勝手に白果賞 俳句12句

とうけつ前の最後の大会、旬杯。

私は、昨年の十六夜杯からの参加でした。秋から夏へ。ぐるりと四季を一巡したことになります。
恐る恐る飛び込んだ大会でしたが、毎回皆さんの作品を読むのが楽しくて、あたたかな雰囲気も大好きです。
運営の皆様、素敵な大会を作ってくださり本当にありがとうございます。


今回は短歌の審査員をすることになり、ちゃんとしなくちゃと気合を入れております。

短歌だけでなく、俳句や川柳も楽しみたいなと思い、まずは、俳句一覧から作者名を見ずに、素敵だなと思った句をピックアップ。

俳句はテクニック的なことは分かりませんが、好きだと思う句を選びました。
最初、あまりに選んだ作品の数が多くなってしまいました。
感想も書きたかったので、12句にしぼりました。

結果は、、あれ?生きものが出てくる句が多いですね。好みに偏りが(・∀・;)えへっ

それでは、投稿順に発表します。



校庭に屈む子ひとり蝸牛

くーや。さん

ひとりで校庭に屈んでいる子、何をしているの?あ!かたつむり!
この子の好奇心とか、かたつむりがのろのろ歩む様とかを思い浮かべ、顔がほころびました。
いいなあ、これからも好きなものを見つめていってね。大人は邪魔しちゃだめですね。

お祖母ちゃんと電話の向こう蝉の声

友音さん


「お祖母ちゃんと」と、字余りになっているところがなんとも言えず好きです。テンポがゆっくりになる感じがして、お祖母ちゃんの声が聞こえてくるようです。
電話の向こうのお祖母ちゃんの声と蝉の声。電話越しにでも、同じ時を過ごしたいですね。


短夜や積読本が増える朝

こたろうさん

夏は夜も寝苦しいし短いし、読みたい本はあってもなかなかはかどらないかも。
でも、読みたいから本を手元に置いてしまう。結果、ああ、読めなかったー。
でも、いいのです。この先の楽しみが増えたということで。
タイトルを見てわくわくする時間も、読書の醍醐味ですよね。


夜濯や夢の重さのユニホーム

鮎太さん

夜に、ユニフォームを洗う。学生の夏の大会が終わった夜かなと思いました。
汗をたっぷり吸って重いユニフォーム。それは夢の重さでもある。
どんな顔をして洗っているのだろう、この夜に辿り着くまで、どんな日々を過ごしたのだろうと、夢にかけた熱い夏に思いを馳せました。


朝靄の果てより響く慈悲心鳥

十六夜さん

とても美しい句ですね。
慈悲心鳥という鳥は知らなかったのですが、カッコウの仲間の鳥のようです。
美しい名前で、鳥の鳴き声にこういう聞きなしをする古人の心も美しいなあと思いました。
朝靄で周りが見えない果てから、慈悲心と鳴く鳥の声が響く。ああ、この世界はきれいだなあと思いました。


病室の祖父の眉切る皐月波

理菜さん

おじいちゃんになると、眉毛が長くなりますよね。自分では切れないその眉を、孫である作者がきれいに整える。おじいちゃんはもしかしたら眠っていて、そのことに気づかないかもしれない。でも、きれいに整える。

かつて、祖母の爪を切ったり、口紅をさしたりしたことを思い出しました。

何気ない静かな情景ですが、心のこもった丁寧な接し方をしているのだろうと想像し、いいなと思いました。


終バスの《降ります》灯る夏の夜

riraさん

最終のバスの「降ります」ランプが、窓の外の暗がりを背景に、浮かび上がっています。バスの中にはどれくらい人が乗っているのだろう、それぞれの人の今日一日の思いを乗せて走るバス。
静かな車内に、いろんな人生があるのだろうなと思いました。


墓じまい読経溶けゆく蝉時雨

月草さん

山の中の蝉時雨が降る墓地を思い浮かべました。
墓じまいとありますから、都会に住む人が田舎の墓をしまうのでしょうか。あるいは、継ぐ人のいない墓をしまうのかもしれません。
様々な事情があり、長く先祖が住み慣れた土地のお墓を自分の代でしまう。ご先祖様への申し訳なさもあるかもしれません。
その切なさを感じつつ、亡き人たちとの思い出も、読経を聞きながら思い出しているのかなと思いました。


ヒメジョオン占拠す公園猫ひとり

かよんさん

可愛いです!
お花のなかに猫がひとり、でーん!
「占拠す」も、「ひとり」も、猫の存在感が、でーん!

ヒメジョオンが公園を占拠しているようにも読めるし、ヒメジョオンの咲く公園に猫が我が物顔にいるようにも読めました。

可愛い小花のお花畑のなかに猫が埋もれているから、可愛さもあって。
好きです。
猫を見つめたら、ふんっと、そっぽ向かれそう。

強くならなくてもいいよ砂糖水

美味しい蒸しエビさん

そうだよね、みんな強くなくていい。強いのは強いのが得意な人に任せて、違うほうを担当するね。
それでもいいじゃないか、ね。
そのほうが面白いし楽しいよ。

砂糖水の優しい甘さが、受容の水に感じました。


火曜日はうさぎがかりの俺、盛夏

とのむらのりこさん

うさぎがかり、あれって楽しげで意外と怖い。うさぎって噛むと強烈だし。小屋を開けるときは逃げないよう気を使うし。

でも、係だからちゃんと行く。草だって喜んでくれるよう新鮮なのを持っていく。
「盛夏」で、びしっと着地しているところに、係の仕事をやるぞ!俺!という心意気が伝わって、拍手したくなりました。



ここからは一人で歩く梅雨の月

あぷりこっとさん

すっきりした言い切りに、決意が表れています。
一人で歩くと言うと、まるで孤独なように聞こえるかもしれない。本当に孤独かもしれない。でも、自分の足で歩く、自由さと覚悟がある。
梅雨のあいまに姿を見せた月に、さあ迷うなかれ、と背を押されているようです。


勝手に白果賞 俳句編は以上の12作品に贈らせていただきます。

素敵な作品に出会えて、嬉しいです!
ありがとうございました!
((*´ω`∪))))っ フリフリ♪



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